時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

アール・デコのお邸 「アーキテクツ/1933 Shirokane」

2014-12-23 | 古い建物 のこと





1933年(昭和8年)に建てられた「旧朝香宮邸」 現:東京都庭園美術館
三年間の改修工事を経て、さらに美しくなった御邸へ。

ここを最初に訪れたのは、二十代の頃。
「デ・キリコ展」を観に来た時。
ジョルジョ・デ・キリコの絵の中には、とても印象的な直線の建物とアーチの連続が描かれている。
その絵の中の世界観と、この建物が不思議なほどシンクロしていて
絵の世界と現実の世界の境界線が曖昧になって行くような・・・
奇妙な感覚がとても面白かったことをよく覚えている。

あれから、年数を置いて、度々訪れるたびに
新たな発見があり、年齢を重ねると見え方も変わるのだなあ・・・と実感する貴重な場所。

いつからか、ここのラジエーター・カバーのうつくしい文様にとても魅かれるようになった。







新館では、改修の様子のドキュメンタリー映像が上映されていて
腰を据えてじっくりと観る。

建物の保存は、たくさんの職人さんたちの職人魂に支えられている。
ラジエーター・カバーの修繕の熟練した職人技。
ラリックの芸術品のシャンデリアの解体・清掃・組立も大勢の手で慎重に。
外壁の塗装も1933年当時の施行方法を忠実に再現。。。

ひとの手の生み出すものって・・・!
とても感慨深い。

今回は、「内藤礼」さんの「ひと」も巡りながら建物の中をくまなく歩く。
あまりに長い時間を過ごしたので、来た時とは窓からの光の入り方が変わり、
思いがけなく美しい影の芸術を発見!





この影の出方もちゃんと計算されつくして制作されたのでしょうね。
(この陽だまりソファーでまったり本を読んで、うたた寝してみたい・・・)
と思うのはわたしだけではないでしょう。

そうそう。影といえば。

 

この度、新しく建てられた「新館」へ続く渡り廊下は観モノ。

この陰影によって硬い大理石が柔らかな革ソファーのように見えるから不思議です。

 仕掛けの主は凹凸を付けた大ガラス。

光の入り方によるので、これも時間限定アートですね。まんまるじゃないところがいいなあ。
角度によっては、ちょっとハートになるのね。

東京都庭園美術館 旧朝香宮邸  は、見どころがあり過ぎて
古いモノ好きな、写真バカとしては、もう きりがありません。

ぜひ一度この建物の中に身を置いてみてください。きっとまた来たくなります。







古い建物が、こうしてたいせつに保存され
後世に残されてゆけるのは
世の中が平穏であってこそ。

古き良きものは、永遠にそのままであってほしい と願います。

保存の御尽力に
そして、こうしてまた訪れることができることにも、こころより感謝です☆

 


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