:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★ 私の「インドの旅」総集編(6)a) 自然宗教の凋落

2021-10-17 15:06:31 | ★ インドの旅から

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私の「インドの旅」総集編(6)

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 自然宗教の凋落

今回のテーマはごく手短に終わりたい。

     (1)導入

     (2)インカルチュレーションのイデオロギー

     (3)自然宗教発生のメカニズム

     (4)超自然宗教の誕生―「私は在る」と名乗る神

     (5)「超自然宗教」の「自然宗教」化

     (6)神々の凋落

       a)自然宗教の凋落

        b) キリスト教の凋落

        c) マンモンの神の台頭 天上と地上の三位一体

     (7)遠藤批判

     (8)田川批判

     (9)絵に描いた餅は食えない

                    (10)超自然宗教の復

     

(6)神々の凋落       

a)自然宗教の凋落

奈良東大寺のお水取り(修二会)風景

 事柄をごく単純化して言えば、自然宗教の神々、八百万の神々、は原初の素朴な人間が、普段は豊かな恵みをもたらすが、いったん荒ぶると大きな災厄を引き起こす大自然の脅威を前にして、その圧倒的で制御不能な自然の力に畏怖の念を抱いてその背後に神を思い描き、その人間が投影した神と何とか折り合いをつけ、願わくばより多くの恵みをひきだし、禍は極力遠ざけたいという願望が生み出したものだった。言い換えれば、自然に対する人間の無知と、自然を人間の欲望に合わせて制御し支配したいという下心から生まれたものでもあったと言うことができるだろう。

 そこから社寺・神殿が建立され、神の像が刻まれ、神官や祭司という専門職が生まれ、加持・祈禱・歌舞・奏楽などが発展した。そして、制御したい自然の脅威のタイプと手に入れたい恵みの種類に対応して、神々の数は限りなく増えていった。八百万の神とはよく言ったものだ。その神々の系譜は人間の歴史と共に古く、太古からその萌芽はあっただろう。

 しかし、この4-500年の間のに、今日的な意味における「自然科学」が生まれ、今もなお加速度的に進歩しつつある中で、自然界のメカニズムの科学的解明も飛躍的に進んだ。

 今回ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎氏の地球温暖化の研究は良い例だが、温暖化に伴う様々な脅威が神々の仕業ではなく、科学的に説明のつく自然現象であり、その対処法も神々への祈祷やお供えによってではなく、人間の科学技術で制御・対応できるものであることを証明した。

 その結果、迷信は駆逐され、自然宗教も存在理由の多くを失っていった。こうして、自然宗教の凋落は既に始まり、今も急速に進んでいる。今残っているのは、長い歴史のあいだに蓄積された莫大な遺産の慣性力によって支えられた儀式や祭りの行事として続いている面が大きい。

 その典型的な一例が、コロナ禍退散の儀式として注目を集めた東大寺二月堂の修二会であることは、このインドの旅の総集編(3)「自然宗教発生のメカニズム」(8月24日)に詳しく書いたので、思い出していただきたい。

 b)の「キリスト教の凋落」は、気合を入れて書き始めたが、内容が多岐にわたるので、ひとまずここで区切ることにした。

 (つづく)

 

 

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6 コメント

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Unknown (M)
2021-10-19 09:30:50
「地球温暖化」問題は、政治や利権に左右されるという意味で、新型コロナと同じくアヤしいテーマですね。

真鍋博士に、神が真実の探究を助けたか、悪霊が金銭欲、名誉欲その他でそそのかしたか、両者がどのように働いたのか、興味深いです。
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Mさんへ (谷口 幸紀)
2021-10-19 11:17:27
現実に地球規模で実に多くの人が病み、苦しみ、死んでいく。
よくもまあ、そんな言い方ができますね!
地球温暖化を、コロナのパンデミックを、名誉や私腹を肥やす人のことなどどうでもいいではないか。
いずれも神様が許していること、神様が送ったもの。
畏怖の念をこめて、まじめに対処すべきことではないかと思います。
返信する
Unknown (M)
2021-10-19 13:04:57
現実に、気候変動やコロナ問題で、苦しみ、亡くなる人は多くいます。
人間(たち)や政府が対処を誤って、苦しみを大きくしてるのでは無いか⁉️
誤った背景として、金銭欲、名誉欲、支配欲が作用してるのでないか⁉️
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Mさんへ (谷口 幸紀)
2021-10-19 14:16:18
気候変動やコロナ問題で多くの人が苦しみ、飢え、死んでいく事実に目を向けていただいて有難う。
人間の欲がそれに乗じて人類の苦しみを増大させているとすれば、それは人災であり罪でしょう。
その罪を見て人を責めるのは自由ですが、その背景にある問題との真面目な取り組みを軽く見るのは大きな誤りではないでしょうか。
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Unknown (M)
2021-10-19 14:36:30
私の表現が良くなかったのかも知れません。
対処を誤ってるのでないかと他人を責めるというより、真摯な努力ではあっても間違った他人に追従したら自分の身が危なくなりますし、間違いに追従する人が多くても自分が迷惑します。

私も困るよ、間違いを信じたらアナタも困るでしょ、皆で困るでしょという気持ちが、とてもあります。
まして真摯な努力でなく、他人のエゴイズムに振り回されるのは真っ平です。
もちろん真鍋博士がそうだと言いたいのではありません。
でも、まずは批判的にみる必要があります。

新型コロナのワクチン開発に関しても、各国の施策まで左右するほど権威のある雑誌、The New England Journal of Medicine に掲載された論文、というより編集者に、金銭その他が大きく影響していると、話題になりました。それをどう捉えるかは、自分や他人の健康にも、他の面でも重大な問題です。
金銭欲その他は、どうでもいい事ではないんです❗️
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Unknown (M)
2021-10-20 13:00:42
これだけは言いたいです。

現状認識がご自分と異なるからといって、こちらが「現実に地球規模で実に多くの人が病み、苦しみ、死んでいく」ことに目を向けていないと決めつけられたのは、心外でした‼️
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