学生の頃、「国破れて山河あり・・・」という杜甫の漢詩を暗記させられた記憶があります。試験対策で暗記したものですが、杜甫の人物像やこの詩がどのような背景で詩を詠んだのかは全く覚えていませんでした。
この本は杜甫の人生と詩を対談の形でわかり易く紹介したものです。白表紙に詩人の絵が描かれた表紙は、とても雰囲気が良くて、本棚にこういう本が並んでいると壮観だろうと思います。内容は対談形式で、詩や人物像についての質問に著者が答える方法で書かれています。
杜甫は官僚になることを目指して、若い頃から多くの人に働きかけ、人生の節目で詩を作っています。有名な李白とも1年半ほど行動を共にして詩作を行い影響を受けましたが、李白とは詩の方向性が違っていたようで、その後2人は別の道を歩むことになります。
数多くの素晴らしい詩を作った杜甫ですが、私が気になったのは、高校時代に暗記した「春望」という詩がどの場面で詠まれたかということでした。
波乱万丈の杜甫の人生の中で、この詩は安録山の変という中国が混乱した時代に書かれ、戦乱で荒れた国を想う気持ちを詠んだものでした。試験勉強で覚えただけなのですが、このような解説本で、その歴史的背景を知ると詩の持つ重みが増します。詩を学ぶのであれば、歴史的背景まで理解するとより親しみやすくなると思います。
ちなみに、最近経済的に大きく発展した中国ですが、もし彼が今の時代に生きていたらどのような詩を詠むのだろうと考えてしまいました。