キマグレ競馬・備忘録

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本「街場のマンガ論」

2011年12月26日 | Book
内田樹のブログエッセイ本。マンガの効用についての考察。井上雄彦、マンガの中の日本語、少女マンガ、オタク、宮崎駿など。脳科学の観点でマンガの効用を説く養老孟司との対談集を含む。
マンガを読むにもリテラシーが必要で、特に少女マンガの世界は無意識を記号化したものが見られ、独特の読み方が必要になる。意識したものだけが記号化される少年マンガとの違いはそこにあるらしく、マンガは好きでも、少女マンガは苦手な人も多い。養老孟司も対談の中で、少女マンガの話になると無口になってしまうのが面白かった。
内田樹はマンガを読むことで、脳の中での画像と文章の並行処理能力が身に付くと説く。子供の頃からマンガを読む日本人には、その優位性があるという。確かにマンガ好きにはとても面白い内容ですが、このような考察を今の若い世代はどう思うだろう。ちょっとオジサンの理論みたいな感じもある。だいたい取り上げられたマンガが80年代以前に流行ったものが多い。90年代までは、娯楽が少なくて電車でマンガを貪るように読む人が多かったが、今はスマートフォンでゲームやネットで遊ぶ人のほうがはるかに多い。内田樹が言う日本人のマンガリテラシーの優位性も、これから低下していくのではないかと思う。それよりも、音楽を聞きながら、ゲームをやり、マックを食べながら、普通に歩いている現代の若者は、異次元の並列処理をやっていることになります。それが普通になる時代が来ているような気もします。

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