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キマグレ競馬・備忘録

競馬、MLB、スポーツ観戦、趣味など気になる事を書いています。

本「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」

2012年12月08日 | Book

フランスの作家ジャン=クロード・カリエールとイタリアの中世学者・哲学者・作家でもあるウンベルト・エーコの対談集。
タイトルは電子書籍の普及を意識して「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」となっているが、翻訳者によると原題は「本から離れようったって、そうはいかない」ということになるらしい。確かに電子書籍について語り合った部分もありますが、それよりも書物がどのような歴史を辿ってきたか、古書を収集する楽しみ、今後の本のあり方などについて、本に纏わる出来事やエピソードを交えて様々なテーマで語り合っています。
例えば、現在持て囃されている電子書籍については、メディアに依存するために賞味期限が限られてしまうという欠点があります。以前は主流だったフロッピーディスクやCD-ROMなどは、それを読み取る機械そのものが絶滅してしまうと内容の復元が不可能となってしまい、データは永久に失われてしまいます。また仮に機械があっても、その機械を動かす動力源(つまり電源)が無い場合も、内容を確認することができなくなってしまいます。
それに対し、紙は最も保存に適した媒体であり、紙の書物は車の車輪と同じように最も完成されたメディアと言うことができます。博覧強記のフランス人とイタリア人の対話ですが、日本では知名度の低い人物について語られていたりして、少々分かり難い部分もあります。書物に対する様々な見方や面白いエピソードが紹介され、本好きの人にはとても面白い内容になっています。
本の装丁も素晴らしい。内容も本もとても気に入りました。


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