若者は本当に右傾化しているのか | |
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インターネットテレビなどでときどき見かける古谷経衡氏、若い方の著書である。書名は知っていてちょっと気にはなっていたが、思い切って購入。
マスコミでは若者は右傾化しているという。永遠のゼロの人気や、サッカーで日の丸を振り熱狂する若者が多い。都知事選で田母神氏に人気が集まる。ネット右翼が過激な書き込みをする。いずれも私自身も感じているものだ。そして著者は、一つ一つデータを挙げて反論する。
まず、インターネットは、若者のものか、これは違う、ネット利用の平均年齢は何と38歳、40歳近い。もうネットができて随分経ってる。ネット世代は若くないのである。30歳代、40歳代が中心だ。ネット右翼は若者ではない。
次に、永遠のゼロは、戦争回帰ではなく、単に映画の作りこみがよくできていて、見ていて面白いから。別に戦争回帰として観てるわけではない。サッカーだって、面白いから熱狂してるだけだ。もともとの左翼や右翼が勝手に意味を見つけて自分の都合のいい方に解釈してるだけだ。
田母神さんの支持だって、数字上は確かに20歳代では田母神さんの支持割合が多いが、これはもともと選挙に行く率は20歳代は低く、そのため、田母神さんが目立っただけで、実数は30歳代以上の方が多い。木を見て森を見ずである。
もし若者が保守化しているなら、若者の最も重要な課題、「貧困化」に対してはどうなんだろうか。産経新聞に代表される「保守」は、憲法改正などは熱心だが、「若者の貧困」に関してはまったく意見が発信されない。なぜだろうか、著者が分析すると、保守世代は、貧困とは無縁の高齢者層なのだそうだ。だから若者の貧困化には全く反応しない。反応するのは、共産党や社民党などだそうだ。そういえばそうだね。
最後に著者は、ソーシャル保守という概念を提唱するが、私にはどうもピンとこない。とにかかく貧困化する若者を都合のいいように、保守そして憲法改正の勢力に利用するのはやめてもらいたいものだ。