闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.584
ペレストロイカを象徴する作品といわれているようですが、そんなことはどうでもよろし。
陽気なスターリンを思わせる独裁的な市長を巡る悲喜劇で、どこかドストエフスキーやチエーホフやゴンチャロフの小説を読んでいるような気持ちになってしまう不思議な映画で、ここには映画をみることの原初的な恐ろしさと楽しさがふたつながらに備わっている。
特に主人公の市長のキャラクターがいつ度もたら一生忘れられないくらい強烈で、夢に出てきそう。にっこりわらって人を斬る、とはこういう人物をいうのだろう。
グルジアの映画ではあるが、最高最良のロシア映画に数えたいな。
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長き夏漸く果てたしるしとて一尾一六八円のサンマ賞味す 蝶人