闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.583
アメリカの田舎町から貯金をくずしてはるばるベネツィアにやって来た、もう若くはないけれど異国での素敵な出会いにあこがれるヘップバーン。私も彼女とおなじようにカメラを抱え、同じルートでフィレンツェから列車でこの永遠の水都を訪れた日のよろこびを懐かしく思い出しました。
およそ半世紀前の映画ですが、この有名な街の名所のあちこちを、舌舐めずりしながらキャメラに定着した監督の執念は、異常なものがある。あまつさえその功なり名を遂げた有名女優を平気で運河に突き落とす名監督はすごいな。
念願通りに想い人と巡り合えたヒロインは、しかし彼に病気の妻君があると知って身を引く。汽車は出て行く煙は残る。ついに手渡されることの無かったクチナシの花が哀れである。
台風で相模湾遠く流れたか天然ウナギの三郎よいずこ 蝶人