「これでも詩かよ」第32番&ある晴れた日に第164回
夜、風呂の中で、何年振りかでDANG-KONGを洗いながら、思う。
キングコングのDANG-KONG、マントヒヒのDANG-KONG、ニッポンザルのDANG-KONG、そしておらっちのDANG-KONG。
DANG-KONGは男根、DANG-KONGは弾痕、DANG-KONGは断婚、そしてDANG-KONGは男魂。
男子の生きる力の根源は、おのれのDANG-KONGの生命力そのものにある、のではなかろうか。
DANG-KONG。それはちょっとした刺激でどんどんどんどん大きくなってジャックの豆の木のように勇ましく天空に向かう。
DANG-KONG。しかしそれはまた原因不明のなにかによって、あっと言う間に萎んで、突如ぐにゃりと地に垂れる。
DANG-KONG。それは歳と共に若き日の勢いを失い、二度と帰らぬ旭日青天、万象惟明の栄光を懐かしむ。
キングコングのDANG-KONG、マントヒヒのDANG-KONG、ニッポンザルのDANG-KONG、そしておらっちのDANG-KONG。
DANG-KONGは男根、DANG-KONGは弾痕、DANG-KONGは断婚、そしてDANG-KONGは男魂。
匹夫の生の喜びも悲しみも、この随意筋と不随意筋とのはざまで不穏な動きをしめす一匹のDANG-KONGの秘めたる情動と俱にある。
いまのいままで、人世の根幹は大脳前頭葉の奥底でほのかに浮かぶ抽象的な観念の表象にある、と妄想していた乃公は、それが大いなる迷妄であると、はじめて悟った。
かくて今日、わたくしの性と精と生の根拠が、このしなびた器官に横たわっていると突如電撃的にかくにんした私は、改めてそいつを愛おしく握りしめたことであった。
キングコングのDANG-KONG、マントヒヒのDANG-KONG、ニッポンザルのDANG-KONG、そしておらっちのDANG-KONG。
DANG-KONGは男根、DANG-KONGは弾痕、DANG-KONGは断婚、そしてDANG-KONGは男魂。
毒水を静かに呑むや秋の海 蝶人