
西暦2016年弥生蝶人狂言畸語輯&バガテル―そんな私のここだけの話 op. 227
生涯の終わりごろ、ブラームスが目も眩むほどの速さでヴァイオリン協奏曲を振りはじめた。そこでクライスラーが中途でやめて抗議すると、ブラームスは「仕方がないじゃないか、きみ今日は私の脈拍が昔より速く打っているのだ。!」と言った。シャルル・ミュンシュ「指揮者という仕事」
グルックはこう言っていた。「少し速すぎたり、少し遅すぎたりすると、すべてが台無しになる。プレストはアンダンテではなく、アダージョでもアレグロでもない。音楽はそれ自身のテンポをその音楽の中に持っている」。シャルル・ミュンシュ「指揮者という仕事」
指揮者と独奏者の息が合わない場合、指揮者は彼の感情に逆らって演奏する独奏者の後についていく以外にすべはない。シャルル・ミュンシュ「指揮者という仕事」
右手は音楽をいわば「線で描き」、左手は色彩を「与える」。ジュピターの頭から飛び出すミネルヴァのように、音楽があなたの頭脳から完全に武装して飛び出すほど強烈に、あなたの頭脳に中に音楽が刻み込まれているようにしなさい。シャルル・ミュンシュ「指揮者という仕事」
聴衆から口笛を吹かれてもマンチェスターと違って喜びなさい。メキシコで聴衆がコンサートの終わりに物も言わずに立ち上がったら、それは極度の満足のしるしであり、アンコールの催促である。シャルル・ミュンシュ「指揮者という仕事」
マドリードで拍手喝采を受けてもごくありきたりの成功かもしれないが、アムステルダムで受ける控えめの称賛はもしかすると今まで誰も受けたことのないような熱烈な称賛かもしれない。シャルル・ミュンシュ「指揮者という仕事」
マラソンのペースメーカーなんていつ頃から走っているんだろう。こういう卑劣な黒子役など返上して一選手として走れば優勝できるんじゃないかしら。3/7
日本死ねと思う人がいるということは、もう実際に日本は死にかかっているということだろうな。保育園があろうがなかろうが、現政権下の日本は瀕死か臨死状態にある。3/8
壊れやすい自閉症児者を健全な?健常者に叩き直してやろうとする体育会系の支援者ほど始末に負えないものはない。彼等はもう二度と取りかえしがつかない精神的、場合によっては肉体的なダメージを与えていることに気づかず、よしとしているのだ。3/8
誰もが「食っちゃあ寝、食っちゃあ寝」している。別に悪いことではないさ。それが俺たちの生活というものだ。3/11
2時半ごろに市役所から「2時46分に黙祷してください」なるアナウンスがあったが、余計な御世話だ。死者への黙祷は、行政とはまったく無関係な極私的行為。したいと思う人がそれぞれの心の中で行えばいいのだ。内閣府の音頭取り広告も気狂い沙汰なり。3/11
時々無性にランパルのフルートの音が聴きたくなる。ハーメルンの笛吹き男をどこまでも追いかける子供のように。3/13
自民党、内閣府と癒着した広告代理店が公報、選挙戦略を担当し、安倍蚤糞のテレビ出演や発言、スピーチを管理したりタレント、芸能人やスポーツ選手に選挙への出馬を唆したりしている。3/14
ああいえばこういう、こういえばああいう。結局相手を論理では折伏できないと悟った瞬間に相手は敵と化し、敵をこの世から抹殺したくなるのだ。3/15
勝っても負けても金がらみの野球とは、いかにもナベツネ読売成金虚人体質そのもの。新しい監督も去年まではこういうおぞましい儀式に喜んで参加していたのだ。君たちにはプロ野球の敷居を跨ぐ資格はない。一日も早く解散せよ。3/15
今から40年以上も昔のことだが、私が神奈川県の自閉症児者親の会が主催する絵画展のために考えたキャッチフレーズ「ミロより優しく、ゴッホより激しく、ピカソより純真!」がいまなお各地で使われていることを知ってとてもうれしい。3/15
花粉症で内科へ行ったついでに血圧を測ったら、最高192、最低117、脈拍75だった。いつもは170台なのにこれはちと高すぎるようだ。3/17
ちょっと気になって足元に転がっているCDを調べてみたら、フルトヴェングラー指揮ミラノスカラ座の「指輪」全曲に黒い穴があいて再生不能になっているではないか。急いで他のも調べてみたらあちこちにカビが付着している。これはやべえ。どうしよう。3/19
地獄に落ちた日本のプロ野球なんかもう絶対に見ないつもりだが、そのかわりに今年の相撲は最高に面白い。その最大の殊勲者琴奨菊には、今場所もぐあんばあって貰いたいが、その発奮ぶりに刺激を受けた稀勢の里の活躍に注目したい。3/20
相撲の楽しみは、細部にある。時間一杯の仕切りに入った琴勇輝が放つ「ホッ」という隼のような一声、塩を握った琴奨菊のイナバウアー(私はひそかにコトバウアーと呼んでいる)を見聞きする楽しみは何物にも替えがたいほどである。3/20
反自公連合が自公に負けない大野合戦線を形成し、三原じゅん子とか今井絵理子とか乙武 洋匡より少しはましな統一候補を出して参院選に勝利することが、いまなによりも重要である。3/22
自民党の「緊急事態条項」が可決されたら、一党の一時的な党首の裁量で国民の自由や基本的人権が蹂躙され、憲法に違反する法律や条例がなんでもかんでもまかり通ることになる。安倍蚤糞が狙う「合法的」ファシズム独裁体制を許してはならない。3/23
信仰の統一によってではなく、行動の統一によって末法の世に対峙したのが重源だった。長谷川宏「日本精神史」
横綱相撲を取るのが、横綱の仕事である。それが出来ない人物は、首にするしかないだろう。3/28
我が国の「成年後見制度」には大きな欠陥がある。障がい者の意思を尊重していないし、ひとたび後見人と交わした契約は、障がい者側からは破棄できないのをいいことに後見人による財産搾取事件が頻発している。今のままでは絶対利用してはならない。3/23
バーンスタイン指揮マーラー全集のNYフィルによる旧録音を、「日本死ね、中国死ね、ロシア死ね、トランプ死ね、偽イスラム国死ね!」と叫びながら、陋屋の屋根も吹き飛ぶくらいの大音響で次々に聴いていく。新録音よりこっちの方がいい演奏もある。3/23
天皇支配の論理と現世肯定の物語というねらいも担い手も異にする論理と物語が、随所で不協和音を響かせつつ共存し、そこに古代人の精神の矛盾に満ちた発露を見てとれるのが「古事記」という書物なのだ。長谷川宏「日本精神史」
「万葉集」が憶良の長歌11首、短歌53首をふくむことは日本最古のこの歌集の幅の広さと懐の深さを示すものといわねばならない。長谷川宏「日本精神史」
日本精神史を広く眺め渡すと批判の論理を研ぎ澄ます最澄の論法よりも、包み込む・包み込まれるという空海の論法の方が主流をなすといえるかもしれない。長谷川宏「日本精神史」
神さびた「山の極楽」とでもいうべき浄瑠璃寺のたたずまいは、平等院鳳凰堂の豪華絢爛な「里の極楽」の美とは別種の、清浄にして穏和な美を映し出しているといってよい。長谷川宏「日本精神史」
なにゆえに突如胃腸を襲うこの激痛そろそろ年貢の納め時か 蝶人