蝶人物見遊山記第202回
近現代の日本画はどちらかというと苦手なので、普段からあまり見物しないのだが、大宣伝とネームバリューにつられて覗いてみて、やっぱり後悔してしまったずら。
確かにその描線は明晰で、清方には遠く及ばずとも色だって悪くはないんだが、それがどうした。絵描きとしての腕はすでに15歳にして完成していて、それがさしたる成長もなく90過ぎても延々と続いていったんだなあ。
有名な黄瀬川陣とか「源氏挙兵」「飛鳥の春の額田王」なんかを見ても、余白を上手に使った緊張感のある構成は巧みで、タッチは精確にして清潔とは思うものの、画面に対峙して動的な感興が湧かず、心はただただ冷え込むのみ。
珍しくも会場にある百余の作品のうち、ただの1点も欲しいとは思わなかった。こんなことなら同じ時間を国芳に振りむけたかったなあ。くそったれ、金返せ。ええ腹が立つ。
日本語をブツ切りにする安倍晋三国家国民もブツ切りしている 蝶人