ある晴れた日に第418回
富士山に歓声あげる僕ら乗せ修学旅行車激しく傾く
フクシマの悪夢また甦り天災は忘れた頃にやって来る
我ながら良く出来た文章が消えちゃったなかったことにして別の文書く
欲望を押さえられなかったと君はいうその欲望を私に寄越せ
台風が迫る川辺に立つススキ背筋を伸ばして生きんと思う
うな重を一気呵成に平らげて懸案事項を終えたるごとし
ロースかつを一気呵成にたいらげて息子は大事業を成し遂げたりき
煙草にもPeaceという名がついていたかつて我らが求めし平和よ
テレビ欄と死亡告知と「猫」を読み捨てられていく今日の朝刊
宝籤は当たらないけど障がい児は大当たりしたねと二人で笑う
できるだけ知的に見えるポロシャツを知的障がい者の息子と探す
人世は大一番の連続で我らは負けるが勝ったりもする
ニュースとはいえどおおかたは悪しき知らせ良きニュースのみ伝える新聞はないか
県道204の道端で死んでいたのは三太郎3本足の可愛いタヌキ
アルバムを見ながら昔の私は綺麗だったんだと呟く今でもあなたは綺麗ですよ
成長はもういい加減で諦めてみんなで仲良く分かちあいましょ
穂村氏の「近現代短歌」解説面白すぎてちびちびと読む
さて、わかっていただけますかねえ、この本のほんとのおもしろさを
生協の指定商品を買ってあげるお兄ちゃんがあまりにもうれしがるので悲しくなる
もう一枚妻が掛けてくれたるタオルケット忝しとあたたかく寝る
さてどちらが莫迦だろう安倍蚤糞を選んだ日本国民とトランプを選んだアメリカ国民
いそいそと太平洋を渡ったポチ公が親玉ブル公のケツの穴を舐める
らあらあと騒いだ後は速やかにトランプ大統領にも慣れていく我ら
11時から4時半まで歌舞伎みてダリ展見れば疲労困憊
ダリ、ダリ、ダリ、お前は誰だ。ダリ、ダリ、ダリ、お前は無。
南仏のアルルの真昼に咲き誇る2本の向日葵生と死の花
我ながら拙しと思う歌なれど出来れば誰かに聞かせたしと思う
勢は勢いよく塩を取りに行く制限時間はいっぱい 蝶人