西暦2016年霜月蝶人狂言畸語輯&バガテル―そんな私のここだけの話 op. 246
しばらく前は起伏のある長い夢を見たものだが、歳をとったせいかぶつ切れの短編ばかりになってきたので、なぜか寂しい。11/1
三笠宮の葬式代がおよそ2.8億かかるそうだ。いま日本の人口がだいたい1.2億だから、私もだいたい2円くらいは負担する勘定になる。別に払いたくはないのだが。11/2
「ミヤネ屋」の宮根と「みんなのニュース」の伊藤、BSフジの「プライムニュース」の反町なんとかが嫌いだ。だいいち顔が人間というよりは獣のようで、見るに耐えないし、喋りがしつこくて内容も聞くに堪えない。安倍蚤糞と同様、一日も早く引退してもらいたいものである。11/3
孤独なおばさんは、たまに外に出ると自分勝手なおしゃべりに夢中になって、それがいかに周りに迷惑を掛けているのかが、てんで分からない。11/4
スチーブン・セガールが米ロの両国籍を取得した。彼がどのような新たな沈黙の指令を受けたかは分からないが、すべて人がすべての国の国籍を取得すれば、国家が無化されてよろしいのではないか。11/4
「あぜくら会」の会員になった。歌舞伎は楽勝だが、文楽の3等席は猛烈なネット競争で、やっぱり取れなかった。残念無念なり。11/5
維新といい民進というが、所詮は自公と一つ穴のムジナ、平成大政翼賛体制である。11/5
先日の朝日俳壇に「八月や六日九日十五日」という句の入選が取り消されたという雑報が載っていた。これは昔から有名な句で荻原枯石という人の作品らしいが、稲畑汀子という選者はそんなことも知らずに選んでしまったらしい。11/8
これを「到底プロの業とはいえない」と指弾することもできようが、毎日毎日何千何万と押し寄せる投稿葉書に全部目を通し、たった10句を選ぶ仕事は誰がやっても大変だろう。つい上手の手から水が漏れたのではなかろうか。11/8
思うに選者の多くは、限られた時間に要領よく秀句を選ぶために、まずはすでに実績のある投稿者の作品に目を通し、しかる後にその他大勢の作者の葉書を見るのではなかろうか。かくして毎回常連の作品が多くなるのではなかろうか。
「ここのところは“無”だ。」ラファエル・クーベリック(ウイーンフィルとのブルックナーの4番のリハーサルから)。
仰向けに寝そべったまま彼女の脚を見上げ、わたしはこの不朽のせりふを吐いた。「ベイビー、わたしは天才で、わたし以外誰もそのことを知らないんだ」。そして彼女が紺不朽のせりふで答えた。「ほら、床の上から起きあがって座るのよ、この大馬鹿者!」中川五郎訳・チャールズ・ブコウスキー
わたしは自分だけの神と呼べるものに自分自身を投じた。単純明快さという神に。より簡潔に、より寡黙になればなるだけ、過ちを冒したり嘘をついたりする可能性は少なくなる。中川五郎訳・チャールズ・ブコウスキー
ゴーリキーは革命の後書くことが何もなくなってしまった。ドス・パソスは金持ちになって理髪師のような顔つきになり、今わたしがいるところの向こうにある丘で死んだ。中川五郎訳・チャールズ・ブコウスキー
セリーヌは偏屈な変わり者になって、笑い方を忘れてしまった。ショスタコーヴィッチは決して変ることなく交響曲第5番を作曲し、その後に続いたあらゆる交響曲の中でそれを何度も何度も繰り返し作曲し続けた。中川五郎訳・チャールズ・ブコウスキー
おや、子ブタのように醜く肥って莫迦丸出しのような仕草をしていた真木よう子が、急に美人になったなと驚いてよく見たら、沢尻エリカだった。いやNHK「アナザーストーリー」のMCの話。ザ・プロファイラーの岡田もいい加減で交代してくれないかな。11/16
メイラーはカポーティと同じように知的なジャーナリストになった。パウンドはどんどん暗くなっている。スペンダーは書くことをやめ、オーデンもやめ、オルソンは大衆に施しを乞うた。中川五郎訳・チャールズ・ブコウスキー
エイブラハム・リンカーンは黒人たちを憎み、フォークナーはコルセットを身に付けた。ギンズバーグは自らの音に吸い込まれて打ちのめされてしまった。そして老いたるヘンリー・ミラーは、いつまでも絶倫でシャワーの下では日本人の美女とファックし続けた。中川五郎訳・チャールズ・ブコウスキー
天才とはきっと深遠なことを単純な表現で言える能力のことなのだ。言葉は銃弾で、言葉は太陽の光で、言葉は運命や断罪を突き破って飛び出してきた。わたしは言葉と戯れた。わたしは縦にも横にもどりらにも読める短い文節を書こうとした。わたしは遊んでいた。遊ぶ時間は重要だ。中川五郎訳・チャールズ・ブコウスキー
わたしは長くてとんでもない見習い期間を過ごした。左にワイン、右のラジオからは、たとえば、モーツアルトが流れる中、タイプライターの前で死ぬべく、わたしはいくつもの陥穽が待ち受ける苦境を耐え抜こうとしたのだ。中川五郎訳・チャールズ・ブコウスキー
キンジニヤニヤ猫の声すればよ! ここは袋の御用ねずみよ! 中上健次「紀州」古座より
トランプからはTPPジョーカーを、プーチンからは北方ミサイルを突きつけられる。これで大甘ちゃんの安倍蚤糞外交も進退極まったな。11/23
天気予報なんておおかた外れるから莫迦にしていたのに、とうとう本気で降ってきた。みるみる道路に雪が積もって来た。車で桜ケ丘まで送っていったのだが帰り道は大丈夫だろうか。11/24
最近75歳になった萩本欽一氏がコントを指導し、みずからも演ずるNHKのテレビ番組をみたが、いやあすごい切れ味だった。お笑いからはすっかり引退してしまったと思っていたが、それはビートたけしの話で、現役の第一線がらくらく務まる。11/25
この季節になると喪中葉書が続々届くのだが、それをぼおうと眺めていると、われわれは自分が「死にゆく1匹の動物」であるという不動の真実から目を逸らしているからこそ、安気に暮らせているのだ、ということが分かる。1/26
キューバ革命の英雄、カストロが90歳で亡くなった。僚友で同志のチェ・ゲバラの方が圧倒的に人気があるのはよく分かるが、もちろんボロボロになりつつ長生きした方がよほど苦労したのである。1/27
最近ヤオフクにのめりこんでしまった。入札締め切りの間際に500円積み上げて競り落とし、ライバルたちにザマミロとアカンベーをする快楽はなにものにも替え難いが、その代わりにいつのまにか高い代償を支払っていることに後になって気づくのである。1/28
本音を言おう言おうとしても、なかなか言えないのは、それを言うことによってかろうじて平衡状態を保っている己の人格が、裂したり、凍結したりしてしまうことを本能が懼れているからだ。1/29
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵を見ていると、肩が凝ってくる。絵ってそんなもんじゃあないだろがあ、と言いたくもなる。11/30
「化石詩人」の下らない歌が朝日に出てる負けじとおいらも下らない詩を書く 蝶人