照る日曇る日 第917回
塵挨に包まれて空も見えないえんとつ町を舞台にした童話ずら。
しかしプロットにしても作画にしてもその全体に漂う既視感と既読感、うさんくささの正体はいったいどこにあるのだろう?
ハロウインの夜に配達中の心臓がゴミ山に落ち、そこから本作の主人公のゴミ人間が誕生するというのがはじまりなのだが、ハロウインが大嫌いな私はそこでもう脱落。その後の物語の展開もなんだか無理矢理おはなしにでっち挙げた人工的な作為が鼻につくし、都市工場の夜景を参照し、最新の3D技術だかを駆使したアニメ映画のような挿絵も嘘くさくてついていけない。
そこで版元を調べてみたらようやく謎が解けた。幻冬舎!だった。
いかにもな本屋が戦略的にでっちあげた、どことなくいかがわしいハイテク絵本というところなり。
亡き友の誕生日の知らせ届きたり遥か彼方の電脳界より 蝶人