蝶人物見遊山記第226回
鎌倉交響楽団でも第9演奏会はやっているのですが、ここではいつのまにか肝心の合唱の歌詞がドイツ語ではなく私の大嫌いな中西礼という人物による奇妙な日本語訳で歌われるので敬遠して、今回はじめて隣町逗子の「第9」を聴いてみました。
鎌響と違ってコンマス以下メンバーが若いので、パンフレットをみると演奏は1989年に結成された湘南ユースオーケストラという団員資格10歳から25歳の青少年主体のオーケストラでした。
「第9」では年長の市民メンバーも加わっていましたが、道理で演奏が若々しくてエネルギッシュ。ミスもほとんどなくベートーヴェンの晩年の大作の素晴らしさを心ゆくまで堪能させてれくれました。
指揮は前澤均という人で、どことなく朝比奈隆を思わせる白髪の老人でしたが、曲の勘所をよく押さえた小澤やアーノンクールやような不自然な作為のない素直な指揮ぶりで好感が持てました。
第4楽章の合唱で主役を果たしたのは市民合唱団でしたが、徳永洋明氏の指導がよっぽど優れていたのか、女性の圧倒的なボーカルが管弦楽と一体になってホールを揺るがせ、アマチュアならではの感動的なコンサートになりました。
再三再四に亘って力説しているように、こういう曲はブロムシュテット指揮N響の無感動なへたれプロの下らない演奏なんかを聴くよりも、こういうアマチュアや学生による一期一会の熱演のほうが百層倍も心に届くのです。
ちなみに座席わずか160席の逗子文化プラザなぎさホールの音響は素晴らしく、鎌倉芸術館はもちろんサントリーホールや神奈川県立音楽堂のかなり上をいくものでした。
「第9」は今年第3回目ということですが、これからは毎年このホールで聴きたいと思ったことでした。
「虐殺」から「殺害」へ。良かったな朝鮮人はむごたらしくは殺されなかったらしい 蝶人