
照る日曇る日第985回
内田百聞の「日没閉門」から円城塔の「銀河帝国衰亡史」まで18人の作家による19編が収録されている。
面白く読めたのは、野呂那暢の「鳥たちの河口」、幸田文の「崩れ」、富岡多恵子の「動物の葬禮」、村上春樹の「午後の最後の芝生」、堀江敏幸の「スタンス・ドット」、川上弘美の「神様」と「神様2011」、円城塔の「銀河帝国衰亡史」で、詰まらなかったのは金井美恵子の「月について」、向井豊昭の「ゴドーを尋ねながら」、稲葉真弓の「桟橋」であった。
有名な長編小説は読まれやすいが、短編の佳作はなかなか読む機会がないので、こういう目利きの編集者が薦めてくれるアンソロジーは貴重である。
この本で初めて知った野呂那暢と円城塔の作品を、できれば一度くらいは目を通しておこうと思った次第です。
私が短歌をひねるその間妻はせっせと便所を掃除す 蝶人