音楽千夜一夜 第398回
1920年生まれのイタリア人指揮者のグィード・カンテルリは、1956年11月24日未明、パリ発の飛行機が郊外で墜落し、36歳で不慮の死を遂げましたが、その8日前にスカラ座音楽監督就任が発表されたばかりの死は、世界中から惜しまれました。
この9枚組のCD(9枚目は彼の演奏を偲ぶドキュメンタリー)には、彼が死の直前までフィルハーモニア管弦楽団を振ったベートーヴェンやモザールをはじめ、シューベルト、シューマン、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキー、ドビュッシー、ラベルなどの貴重な演奏を聴くことができます。
彼の最後の録音となったベートーヴェンの交響曲5番には、第1楽章が欠けています。NYフィルへの客演を終えてからキングズウエイホールで録る予定だったと伝えられますが、それが実現される日はついに訪れませんでした。
その5番も7番も、師と仰いだトスカニーニのそれを思わせる雄渾な表現です。
死ぬときはわいらあたった一人やたのんまっせみすてんといて 蝶人