ある晴れた日に 第502回
まなかいに浮かびし母の面影に丹波言葉で語りかける今朝
とめどなく流れる水を見つめつついたく泣かれし日曜の朝
ただ一度われの頬を打たれしことありき祖父の死を悲しまぬわれを
コウ君が捨てたと恨んでいた歯ブラシが出てきたコウ君ごめんね
妻君が買うてきたばかりの琺瑯を台無しにしてしもうた奥さんごめんね
自殺したフランケン高島が夢にきて「経哲草稿どうだった?」と尋ねる
限りなく黒に近き灰色を白だと白だと言い抜けていく
麻生安倍自民文科省は酷いけど羽生と羽生藤井くんとセリーナちゃんが凄いのでおらっちも負けずにぐあんばろうとぞ思ふ
待ち待ちてついに桜は咲きたれど政界ばかりは真冬の寒さ
校長に若き女性も数見えて日本列島千本桜
左側の2番目の足から歩くアリ熊谷守一しかと見届く
安倍からもトランプからも逃げのびよ逃げろよ逃げろてんでんこ
人が死ぬああ人が死ぬ人が死ぬ 今度は誰だおいらはいつだ
首相夫人が肝を入れても役人が忖度せぬと思えるほどの鈍感
アッキーが足を運べば役人が忖度せぬと誰が思うか
一度聞けば分かるニュースを朝昼晩繰り返すのがメディアの仕事か
仕事なぞてんでできない障害者でも自動的に雇用される世になればいいのだが
李相花(イサンファ)と小平奈緒が肩を組みリンクを巡る姿忘れじうるわし
この国の未来は暗いね若者の多くが自民を支持しているらし
小型車のプレートの黄色が嫌だとはキチョウもカボチャもきっと言わない
ほんとうに80歳を超えたるか翁は玲音ときらきらロック
仔犬のごとく小さきフグリをぶら下げて半世紀超えて生き延びてきたり
われわれは道路の真ん中を走れるんだ園子温の映画が教えてくれた
今日来るか明日来るかと案じつつ何もしないで震災を待つ
神々よ我らから災いを取り除き給えトランププーチン安倍蚤糞
「反原発」を封じて外相になれる人いずくにありや政治家の信念
来週はすっかり忘れてしまうのでこれでもかこれでもかと追悼するテレビ局
ほれみなよあっという間に忘れ去る死んだばかりの有名スタア
狼が息絶えし日の寒さ哉
おおかみが身罷りし日の寒さ哉
九十八の狼去りて2月尽
梅咲けど青鮫見えず庭の中
兜太氏に1句選んで欲しかった金子兜太死す98で
早すぎる死亡通知を嗤いつつその翌日に金子兜太逝く去る死す
フランス語の「鍵」は女性名詞なり男性名詞と思い込んでたが
トウモロコシを一粒一粒はがしつつ丁寧に食べるうちの奥さん
「詩人にね、なりたかったんだ」と告白すれば静まり返る我が家の茶の間
限りなく黒に近き灰色を白だと白だと切り抜けていく
またしてもパスワードを忘れ去りわがパソコンに侵犯せんとす
今年またモンシロ見たるうれしさよ蝶よ花よと楽しげに飛ぶ 蝶人