照る日曇る日 第1055回
1959年9月7日にヴィクトリア・ステーションの前で、「がつがつとパン屑をついばむ」を仲間たちに混じって、「ひとり背に首をうずめてうごかぬセピアいろの鳩」を見出した著者は、
主よ 一羽の鳩のために
人間 が くるしむのは
ばかげてゐるのでせうか
という3行で、「同情」という題名の詩を終えています。
ここには、他人(たとえそれが動物であっても)、の弱さや苦しみに敏感な女性の繊細な心のトレモロが、詩人、というよりは敬虔な修道女の日誌のような生真面目な筆致でつづられているようです。
ところで、本書に収められているのは、没後20年にして発見された著者30歳の折の詩だそうですが、いずれも純粋無垢な世界の初々しい開陳であるとはいえ、完熟したプロの詩作のレベルからはほど遠い、未熟と言えば未熟な作品です。
恐らくは公開をためらっていたであろう試作習作の数々を、長い眠りの暗闇の奥底から掘り出され、いきなり白日の光の下に晒された著者は、喜ぶよりも恥ずかしさの余り、いささかうろたえているのではないでしょうか。
財務省防衛省及び安倍内閣木っ端微塵に解体すべし 蝶人