あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

国立劇場で「文楽若手会」を鑑賞して

2019-07-03 10:57:51 | Weblog


蝶人物見遊山記第311回


先月の28日に半蔵門で開催された公演はなかなか楽しめました。
演目は「義経千本桜」から「椎の木の段」「小金吾討死の段」、「すしやの段」、そして「妹脊山婦女庭訓」の「道行恋芋環」。

「妹脊山婦女庭訓」は、まあほんのつけたりという形ですが、歌舞伎の役者に負けじと人形を踊らせようと猛烈な勢いで回転する橋姫役の吉田蓑太郎の躁演が見ものだった。足遣いの黒子は汗だくだくだったけど。

「義経千本桜」ではやはり「すしやの段」のドラマツルギー(忠君に殉ずる親子愛の悲劇!)に耳目が釘付けにされまする。

いがみの権太役の吉田玉勢、若葉の内侍の桐竹勘次郎などが健闘していましたが、全体としては人形よりも豊竹靖太夫、亘太夫、竹本小住太夫などのヴォーカル陣が圧倒的に充実していて、これからの文楽界には大いに期待できそうです。

当日は大先輩の人間国宝、吉田和生、2代目吉田玉男も顔をみせ、幕が下りるとすぐに楽屋にすっとんで行きました。きっと厳しい批評を下すのでしょう。


   萎れゆく躑躅の花の奥深く麝香揚羽は蜜に溺れる 蝶人

コメント
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