あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

葉山美術館「柚木沙弥耶」展、「みえるもののむこう」展と表参道スパイラル「さとう三千魚」展について 

2019-07-27 13:01:14 | Weblog


蝶人物見遊山記 第313回

先週帰宅した息子と3人で久しぶりに葉山の美術館へ足を伸ばしましたら、ことしなんと97歳の染色家、柚木沙弥耶氏の「鳥獣戯画」をはじめとする型染布、絵本原画、立体作品などの力作をみせられてあっと驚きました。

御年97歳のことし製作された「鳥獣戯画」の自由と奔放にも圧倒されましたが、とりわけ2014年のアルシュ紙にモのタイプされたひまわりの5つの連作シリーズ(「ひまわりの花開け」「若いひまわり」「誇り高きひまわり」「去りゆくひまわり」「老いたひまわり」)は、まさに作家の人生そのものを象徴するような崇高な精神性にみちあふれ、かのゴッホの名作と並ぶ東西の最高傑作と申せましょう。
2018年に製作された「いのちの樹」「歓喜の歌」というタイトルを持ち、その名通りの光線を放射する巨大な型染もとても100歳目前の老人の作品とは思えず、その前に立って感嘆するほかはありませんでした。

9月8日までの同展には5名の若手女性作家による「みえるもののむこう」展も併催されていましたが、三嶽伊紗の動画をのぞいて私の心を騒がせる作品は皆無でした。

列島を台風が、関東地方を猛暑が襲った昨日26日は、夜7時から表参道のスパイラルビルで「浜風文庫」主宰者の詩人、さとう三千魚さんのトークイベント「自己に拘泥して60年が過ぎて詩を書いている」が開かれたので顔を出しました。

人柄通りにいかにも木訥な語りのなかに、詩人のこれまでの人世の歩みと詩への真摯な取り組みが滲み出ていましたが、「自分を裏切る言葉が出てくるまでは詩を書いたとはいえない」、「自分の中の自分が喜んでくれる詩を書けたかどうかが勝負である」といった片言隻句に大いなる刺激を受けたことでした。

  家壊す黒人の額に光る汗微笑みながら「コンニチハ」と言う 蝶人
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする