ある晴れた日に 第573回
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女たちの尻にいくたび敷かれてもめげずに撥ねる返すハズキルーペ
風説に堪えて地獄に墜ちる人嬉しかったのは今日の快尿
天皇制の可否などについては誰一人言いだすこともなく親睦会閉じたり
天皇制に触れたる歌の一首なく新聞歌壇は無難に推移す
一凶の巨悪に迫る一首なく新聞歌壇は身辺を雑記す
松林堂のおねいさんが「鉄道関係の本はこちらに移しました」と耕君にいう
ゼロ6つ並んでいたり超有名コピーライターの請求書に
「佐々木さんのだからきっと変な子ですよね」と言うた男の名前忘れじ
絶対に電通の社長になるというておりしが専務にまでなったフルカワ氏
「上司は関係ない佐々木さんが私のクライアントです」と断言せしマツオさん
「おめえさんいい加減でパンツをはけよ」と擬気をゲキを飛ばせしはヨシダ君
本人の名前を呼ばず「You」などと呼びかける奴はやっぱり嫌いだ
天人倶に許さざる罪我にあり腹に収めて煉獄に落つ
丹波焼みたりで頒つ夏の夜
10万回テストを成功させた人「挑戦させよ」と上司に迫る
大坂と錦織負ければマスコミはいと速やかに「全英」を去る
日本選手が出るときだけ報道し出ないときはしないマスコミ
当代の人気力士ばかりを取り上げて凋落力士は忘れるマスコミ
家壊す黒人の額に光る汗微笑みながら「コンニチハ」と言う
「おはよう」と声を掛けても返事がない障害者を刺した植松被告
君と僕どちらが先に逝くのかなさはさりながら楽しく語らう
のど自慢の最後を締めるプロ歌手の唄のうまさを初めて知りぬ
萎れゆく躑躅の花の奥深く麝香揚羽は蜜に溺れる
アクアてふ立派な名前をつけながら水色の車一台もなし
100円で買った時計が遅れだし1週間後に定時に追いつく
格安の航空券はアバウトでロンドン、パリ、ミラノ同一料金
厳重に梱包されたあの中に三種の神器がほんとにあるのか
令和てふ上からの平和に黙々と従いながら死ぬゆく民草
人口は日本全国で減りながら一部の都市にいそいそ流れる
復興に五輪は役に立つのだろうか 考えているうちに大臣辞める
10名の訃報を伝えたり19年2月13日附の朝日新聞
いい靴を履けば歩きが楽しいがそんな靴には巡り会えない 蝶人