照る日曇る日 第1285回
陸軍のエリート将校たちの反省会だというが、いったい何を反省しているのか最後までよく分からない。いちおう対米戦争はすべきでなかったと思っているようだが、こんな底の浅い反省では、もう一度同じ状況に直面したた、またぞろ同じ過ちを犯すにちがいない。
陸大上がりの優等生が頭の悪いヤクザの暴論に引き摺り回され、たまに正論を吐く奴が出てきても直ちに前線に飛ばされてしまうので、上下左右の「空気」に忖度しまくっているのはいまの世の中と同じ。
陸軍と海軍は終始てんでんばらばらで、お互いに勝手なことを妄想しており、これでは到底戦争できる組織の体をなしていない。結局統帥の要である「天皇様!」(と彼らは発音するのである)が介入しなければ、開戦も終戦もあり得なかったということで、昭和天皇の戦争責任は旧日本帝国の人間の中でもっとも重いと断言できる。
それにしても、中国との負け戦で疲弊し切っているのになんで新たに米英蘭を敵にする必要があるのか? 仏印を侵略すれば英国のみならずアメリカが黙ってはいないと分かっているのに。国力は昭和13年が最高でそれ以降は弱体化し、対米格差は圧倒的で戦争どころではないと5歳の子供でも分かり切っているのに。
それでもハノイを占領したらたちどころにアメリカからの石油が止まって指導部全員がパニクり、あと2年しかエネルギーがないから今しか戦えないと主張する海軍に押し切られた持久戦派の陸軍が、一発屋五十六のハワイ空襲を許してずるずると開戦してしまうという出口なしの道行は、たとえば現在の日韓紛争にも通底する無知で無能で能天気で無責任な国家経営の姿である。
犯人も犯人でないわたくしも追っているのよ監視カメラは 蝶人