闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.2029~2033
1)シドニー・ポラック監督の「ザ・ファーム法律事務所」
グレシャムの原作をポラックが巧みに劇化。最後まで引っ張っていく手腕はさすが。トム・クルーズとハクマンはよいが、ホリー・ハンターはいまいち。
2)岡本喜八監督の「ジャズ大名」
出だしから詰まらなくてもう見るのはよそうと思ったが、我慢しているとだんだん面白くなり、最後はハチャメチャになる。アナーキーであって、パンクでもある。面白い映画はたくさんあるが、アナーキーかつパンクな映画は数少ない。
3)ジョン・ヒューストン監督の「天地創造」
1966年の米伊合作映画で名匠ヒューストンが演出とナレーションを担当し、なおかつノア役で出演もしている。若き日の黛敏郎がもっともらしい音楽をつけているので驚く。原題は「バイブル」。旧約聖書を要領よくヴィジュアル化しているが、どんな映画に出てもエヴァ・ガードナーは目を引く。
4)セシル・B・デミル監督の「十戒」
なんというてもエジプトを逃れたイスラエルの民の前で紅海が割れる光景は物凄い。こういうのはデジタルじゃないほうが、却ってリアルに見えるのである。この頃のヘストンはライフル銃なんかを担いでいなくて良かったずら。
5)ヴィスコンティ監督の「山猫」
大舞踏会が果てた朝ぼらけ、公爵邸を出ると、金星が瞬いている。そしてバートランカスター演じる没落貴族が、「いつになれば金星と向かい合って心ゆくまで眺める日が来るのだろう」と呟いて街角の暗闇に消え去ると、大団円となる。大監督ならではの大芝居だ。
文月尽と詠めばそのとき文月尽く 蝶人