照る日曇る日 第1283回
こないだ5篇を読んで面白かったので今度は全短編に挑戦。短編集「すべて上昇するものは一点に集まる」と後期作品の「パートリッジ祭」「なにゆえに国々は騒ぎ立つ」を収めている。
前半では表題作のほかに「グリーンリーフ」「森の景色」「長引く悪感」「家庭のやすらぎ」「障害者優先」「啓示」「パーカーの背中」「よみがえりの日」の9編が入っているが、(「森の景色」「家庭のやすらぎ」「よみがえりの日」は既読)本篇のハイライトはやはり「障害者優先」だろうか。
オコナーの小説には悪魔の生まれ変わりとしか思えない毒者と、その陰画とでもいうべき先天的善意者が登場して、その行き違いがとんでもない悲劇を招くが、この作品もその典型だろう。
できそこないの息子を放り出して赤の他人の障害者に入れあげた超絶的な善意の人は、最後に強烈な報いを受けるのである。
表現の自由を守るということは命を賭けんと出来へんちゅうこと 蝶人