蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話第332回
「フェーバーさん、12月になりましたが、何か一言。」「何もないね。」12/1
最近では殆ど見かけなくなった沢蟹が道端を這っていたので、道路の下を流れる滑川の土塊の上に投げ落としたのだが、そのまま数日間動かず、やがて姿を見なくなってしまった。そういう日常の些事がいつまでも気になる。12/2
10月24日早朝、今井和也氏、肺炎にて卒す。齢八十八。余のリーマン時代の比類なき上司なりき。深甚なる感謝と哀悼を捧げます。12/3
立教大の倉田徹氏語れり「香港は希望に満ちた絶望の場所」
さすれば、我らが住むのは「絶望に満ちた絶望の場所」なるか。12/4
アフガニスタンで1600本もの井戸を掘るなんて、他の誰が出来るだろう。そんな傑出した偉大な人物をこの世から抹殺するとは!12/5
クラシックの演奏会で(協奏曲の独奏者に対してもだが)、もうプログラムが終わっているのに、執拗にアンコールをせがむ客はみっともない。さっさと引き上げていた吉田秀和氏夫妻の姿が、懐かしく思い出される。12/6
突如始まった公凶放送の「大震災予告番組」。確かにいつやって来てもおかしくはないのだが、いま鳴り物入りで放送する番組でもない。お前が公共放送なら「桜を見る会大特集番組」をやるべし。12/7
是枝裕和監督の最新作「真実」の製作ドキュメンタリーを衛星放送でみたが、撮影を振り回し演出に口を出す「大女優!?」カトリーヌ・ドヌーヴの高慢さに頭にくる。黒澤や大島渚なら前夜の撮影が遅いと翌朝遅れるなどの俳優の我儘は許さないだろうな。12/8
アフガンの民草の生存のために灌漑工事の先頭に立つ中村哲医師の在りし日の姿を映像でみているうちに、それが旧約聖書に出てくるモーセの英姿と重なってきた。12/9
カール・ベーム指揮ウイーンフィルによる「第9」の演奏を、家も潰れよという大音響でCDで聞いたら、無事にお祓いと年越しが出来たような気持ちになりました。12/10
天皇とか天皇家の誰それが伊勢に行ったとか陵に参拝したとか大嘗祭とかに参加したとかいうてるけど、これらの行為は「象徴天皇」の行事と無関係。まして我々が生存して悪戦苦闘している世界とは何の関係も無いなあ。12/11
「負ける建築」の隅研吾が、コンペで勝ちまくる不思議。指揮者のドダメルと同様、いったいどこがいいのかさっぱりわからんずら。12/12
今から誰かに恋をして、一緒になって、子を育てながら、死ぬまで生きていくなんて、想像しただけで胸蓋がる。歳をとるというのはそういうことだ。12/13
べルリン・フィルの「デジタル・コンサートホール」でテオドール・クルレンティスが指揮するヴェルディの「レクイエム」を視聴する。途中でソプラノのザリーナ・アバーエフがムジカ・エテルナ合唱団の中に入って歌い出したのには驚いたが、何も起きない普通の演奏だった。12/14
11日、フランス映画社の柴田駿さん、慢性閉塞性肺疾患で卒す。齢78歳。世界の名画を紹介し、若い才能を発掘、支援した功績は大きい。もういちど試写会であの懐かしい笑顔と会いたかった。哀悼。12/15
それにしてもコンマスはじめオケのメンバーはかなり居るのに、小澤、佐渡以降ベルリン・フィルに日本人指揮者が客演しないのはどういうわけだろう。彼ら以上の演奏ができる男女のマエストロはたくさんいると思うのだが。12/16
アンナ・カリーナも死んじまったかあ。79歳だったかあ。まだJLGは生きているけど、やっぱりそのうちに死ぬんだろうなあ。そして実際に死なれてみると寂しいだろうなあ。12/17
テレ朝「やすらぎの郷」は世にも珍しい後期高齢者専用番組。棺桶に両足を突っ込んだ老俳優をじゃんじゃん登場させ、亡くなったらただちに「徹子の部屋」で追悼してもらいつつエンドレスで放送してもらいたいずら。12/18
冷たい雨がシトシト降って、あんまり生きていく気分になれないなあ。いつものようにベートーヴェンのV協奏曲の出だしの太鼓が鳴るとこ、交響曲4番の「出だしを聞いてみたがあんまり効き目がないのう。コウチャン、ケンチャンはどないしとるんやろな。12/19
NHKのFMで毎年恒例のバイロイト音楽祭の放送をやっている。今夜はティーレマンの指揮で「トリスタンとイイゾルデ」だが、イゾルデ役のヘトラ・ラングの声に違和感がある。火曜日は同じティーレマンの「ローエングリーン」だったが司会の林田理沙がローエンの「エン」を一音下げて発音するのが気になって、集中できなかった。12/20
1992年3月31日のベルリンフィル&チェリビダッケの一期一会の演奏を視聴す。ブルックナーの7番の交響曲の第2楽章の後半が、こんなに精妙極まり無い音楽だったとは夢にも思わなかったなあ。12/21
朝日の「文化・文芸」欄に、フランス映画社の柴田駿氏を悼む蓮寶重彦氏の「ゴダールの旗のもと出会った」と題する感動的な文章が掲載された。しかし映画担当の石飛記者はなんでもっと早く映画欄で自らの弔文を載せないのか甚だ疑問なり。12/22
「М-1グランプリ」は、「ミルクボーイ」や「かまいたち」より3位の「ポコパ」の方が斬新かつ魅力的で、圧倒的に面白かった。特に松陰寺太夫が左向きになって、シュウペイが「こっちが正面だったのか」と言うた時、コント55号の衝撃と重なった。彼らを審査員が1人も支持しないのは謎だ。12/23
いま一番面白い番組はNHK-BSの「ガイロク-街頭録音」かなあ。それにしてもあんな乱暴ともいうべき取材に応じて、自らの過去をあけすけに語る行き擦りの民草の人世模様に驚く。12/24
NHK-BSの「空港ピアノ」をみていると、この楽器が人世の喜びや悲しみと深く結びついていること、そして世界には、私たちの知らない数多くの人々が、実に様々な思いを抱きながら暮らしていることが如実に窺い知れて、殊の外印象深いものがある。12/25
古くはチベット、最近は香港人への弾圧も酷いが、中国のウイグル人へのそれは、かつてのナチスヒトラーの民族皆殺し政策を思わせる。その元凶たる習近平を「国賓」待遇で迎えるという安倍蚤糞は頭がおかしいのではないか。12/26
IR)とはIntegrated Resortの略称で邦訳すると「統合型リゾート」で、それは何かというと「国際会議場・展示施設などのMICE施設、ホテル、商業施設(ショッピングモール)、レストラン、劇場、映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などと一体になった複合観光集客施設のことで、カジノとは何の関係もない。12/27
おぎゃあと誕生する赤ちゃんの数が、とうとう90万人を切った。私腹を肥やし専横を極める超右翼ファシスト安倍蚤糞の夜郎自大への絶望と反発が、この数字に象徴されている。12/28
群衆雪崩で群衆崩壊して安倍蚤糞が政権丸ごと押し潰され、地獄の底に呑みこまれれば万々歳ずら。12/29
こないだこけて手足に出来た傷に、阿蘇製薬の防水・防菌の「クイックパッド」を貼ったら水泡が潰れず、カサブタも出来ず、速やかに治った。広島・長崎に原爆が落とされた時に、せめてこれがあったならと、詮無いことを思った。12/30
京都の立命館大学の理想は、卒業生がアメリカ大統領になることだそうだ。この国が完全な米属州になることを、人材のグローバル化と意識的、無意識的に取り違える底抜けの愚かさと時代錯誤には呆れるほかはない。12/31
人死なばただちにそれを記入するウイキペデイアは閻魔大王 蝶人