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照る日曇る日 第1395回
王党派の肖像画家ヴィジェ=ルブランと革命派の歴史画家ダヴィッド、2人の男女の生き方と西欧絵画史、革命の大波に激動するフランスと西欧社会の転変を、200点の図版解説と共に鮮やかに論じ切った著者畢生の力作である。
前著「フランス革命の身体表象」は、さながらジェンダーの鎧に包まれた美術武闘の書のようで、いささか鼻白む点もなきにしもあらずであったが、本書ではさらに一歩を進めて、もっと具体的に同時代を代表する男女の画家を対置させ、かのプルタルコスの「対比列伝」のような双輪叙述スタイルを採用したことが成功につながっている。
これで図版がもっと大きなカラー版であったらとそれだけが惜しまれるが、1冊でフランス絵画と革命の要点をずばりと抑えた名著の誕生を、著者の亡夫であり、小生の愛読書「東京の地霊」の著者である鈴木博之氏も、さぞかし喜んでおられることだろう。
「こ、こ、これにどうしたらいいのか書いてないボクちゃん最高責任者なんだけど」蝶人