音楽千夜一夜 第449回
オランダの指揮者、ベイヌム(1901-59)はナチ協力者のメンゲルベルクの後任でロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団のシェフを務めたが早世し、その後をヨッフムトハイテインクが継いだ。
ブラームスの1番やブルックナーの7番、マーラーの4番などを含むこの9枚組のCDは、すべてかつて英デッカから発売されていたモノラル録音であるが、シベリウスを除いてあのデッカの腰の低い重量感のあるレコードの音は再現されていなかった。
歳をとってボロボロになり果てた私のロバの耳には、最新コロナウイルス型のリマスター盤よりも昔懐かしいレコード録音の方が美しく、力強く響き渡るのである。
コロナには目を瞑りつつ皐月尽 蝶人