蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話第339回
○業界組合総会/組合長のあいさつ
本日は、第23回全日本眼鏡製造販売組合の総会にご臨席の栄を賜りましてありがとうございます。私は、組合長の高橋淳一であります。*1
近年わが業界も、内外の経済環境変化の荒波が打ち寄せて参りました。私どもは、かねてより日本の眼鏡作りは世界一であると自認しておったのでありますが、最近は東南アジア、中国製の格安品が氾濫し、価格競争力のみならず品質面においてもレベルが高くなっておりますので、産地におきましてもなお一段の技術開発とコストダウン、そして不断の企業努力が必要かと存じます。
幸いわが業界が世界に誇るチタンフレーム製品につきましては、その技術的優位性を当面維持できるのではないでしょうか。*2
「武士は喰わねど高楊枝」という格言もございます。*3
参加組合各位におかれましては、何卒チタンフレームの金型製法の海外技術移転を断固自粛されまして、最後の牙城を死守して頂きますよう、格段のご賢察とご配慮をお願い致しまして総会開会のごあいさつにかえさせて頂きます。
○ アドバイス
1眼鏡業界にも技術革新と価格革命の国際競争時代が訪れようとしている。組合長が総会の冒頭で警鐘を打ち鳴らす。
2若干唐突ではあるが、年配の方がやや古めかしい言葉遣いでスピーチする時にこうしたことわざを引用すると、不思議に説得力が出るものである。2自動車、電機、半導体など、いまわが国のすべての製造業がかかえている問題である。
コロナ禍も老いの寄り道螢飛ぶ 蝶人