
照る日曇る日第1406回
アメリカから帰国してからは故郷熊本と東京を往復する日々の道行とその都度ののるかそるかの言動と物想いを書きつづった詩人のエッセイで、けっこう気軽にツラツラ書き飛ばしてきた文章が、突然終始するところがちょっと詩的である。
「Hey,you bastards! Im still here!」(ちくしょう、あたしはまだ生きてるんだ。)という副題がついているが、これは映画「パピヨン」で大海原から脱出しようとするスチーヴ・マクイーンが叫ぶ言葉で、その「I」を伊藤さんは「あたし」と叫んでいるわけだ。
彼女は東京では大学生に文学を講じているようで、その慣れない授業の実態がありのままに書かれていて、なんか大変そうである。
阿呆莫迦もいれば優秀な生徒もいる大教室やゼミで、教壇から喋るのはまあいいとしても、シラバスをこさえたり、それにふさわしい内容をでっちあげたり、毎回設問したり、それにいちいちリターンしたり、試験問題をこさえて何百枚というそれを徹夜で採点したりする労苦は、いくらギャラが良くって、彼らに対する愛情があっても、一度やったらもう沢山な労働で、私なども何回Hey,you bastards! Im still here!と叫んだことか分からないずら。
アベノマスクまだ来ないけどその経費アベの事務所で負担するべし 蝶人