あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

国立西洋美術館で「北斎とジャポニスム」展をみて

2017-12-16 10:12:11 | Weblog


蝶人物見遊山 第265回

いつものように、泰西名画をうやうやしく観賞するていの、普通の展覧会、ではない。

かわりに、葛飾北斎の「北斎漫画」を左に、それを模したと思しきおふらんすの作品を右に並べて、「さあどうだ、おらっちが誇る純国産の大家、北斎はんは、先進国の西洋諸国に古今未曾有の圧倒的な影響を与えたんだ。どうだ凄いだろう。ざまみろ」と自慢しているような奇妙奇天烈な展覧会。
個々の作品の芸術的な素晴らしさなんか、はじめからしまいまで出る幕がないという異常さである。

確かに北斎を先頭とする江戸時代の浮世絵作家の作品は、ゴッホやモネ、ドガなどの絵画をはじめ、ガレの工芸品などにも大きな衝撃と影響を及ぼしたが、それをまるで国際犯罪捜査の収穫品のように得意そうに見せつけるやりかたに、なにやら明治以来の西洋コンプレックスの裏返しのような隠微なカオスを感じた。

なかには北斎の「凱風快晴」とウイーンの「アン・デア・ウイーン劇場の屋根」の絵を並べて、「「まだら雲」と「まだら雪」がそっくりだろう」と自慢したり、セザンヌのサント=ビクトワール山と北斎の富嶽を並べて、「どうだ似てるだろう」とやったり、ほとんど牽強付会すれすれの展示物まで登場するので、「その嘘ほんまかいな」と思わず眉に唾してしまった次第である。

都美術館といい本館といい、上野の森は空前のジャポニスムブームで恐れ入谷の鬼子母神。確かに19世紀の後半に印象派の画家などを中心に時ならぬ日本ブームが巻き起こったのは美術史上の事実だが、それはほんのいっときのうたかたの夢のごときものであり、後期印象派がすたれて表現主義などの新潮流が台頭してくると、ジャポンのジャの字も出てこなくなった。

それなのに140年も経ってから、ジャポニスム、ジャポニスムと鬼の首でも取ったようにらあらあと騒ぎ立てるのは、昨今の安倍蚤糞の危険な愛国主義に棹差そうとでもいうのであろうか。こんないっけんアカデミックでその実無内容で時代錯誤な凡企画に比べたら、御近所の美術館でやっている「怖い絵」展のほうが、はるかにまともでましな企画と思えるのだが、馬渕館長はん、大丈夫でっか?

なお本展は来年1月28日まで開催中。


 結局は「どちらともえいえない30%」が政治を決めているのかも知れない 蝶人


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半蔵門・国立劇場で通し狂言「隅田春妓女容性(すだのはるげいしゃかたぎ)」をみて

2017-12-15 15:34:08 | Weblog


蝶人物見遊山 第264回



並木五瓶作の傑作らしいが、どこがそうなのかはさっぱりわからんかった。
ともかく中村吉右衛門扮する武家くずれのいなせな頭巾姿の侠客が、主家への恩返しのために大金を借りたり、その金が用立てできずに甥を殺してしまったり、最後の最後に悪役の中村歌六とサシで決闘してやつけたり、いろいろせんでもええような苦労をする噺であるが、浪速の実話をもとにしているらしい。

借りた100両の金策に万策尽きて大川端で出会ったのが、男の女房に届けようと100両を懐中にした義弟。その義弟を殺して大金を奪ってしまい、あとから泣いたり喚いたりして悔みに悔やむのだが、それまで一度も女房の弟と面識がなかったというのが、いくら江戸時代とはいえ不自然極まりないので、どうにも感情移入できなかった。

かてて加えて、私の定席は3階席の最上段の右端なのだが、そこに陣取った大向こうのオッサンが、脚本を見ながらひっきりなしに「播磨屋ああ!」「京屋ああ!」「萬屋あああ」などと大声で叫びまくるのだが、それが時々間違っているので、私のみならず周りの大いなる顰蹙を買っていた。
まだ新米見習い中だと思うが、迷惑千万。両両あいまって観劇の楽しみを著しく削いでくれた。

でも、いつもは含み声で何をしゃべっているのかさっぱり分からない吉右衛門が、今回は珍しくちゃんと声を出していたのは、最近勲章をもらって気をよくしているせいだろうか。やればできるのだ。
その他の出演は、又五郎、菊之助、歌昇、種之助、米吉など。前半に雀右衛門、歌昇、種之助が「今様三番三」を踊った。なお本公演は来る26日までずら。

    韓国を激しく嫌う人たちも弥生時代にそこから来た人 蝶人


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高橋順子著「夫、車谷長吉」を読んで

2017-12-14 11:00:48 | Weblog


照る日曇る日第1016回




車谷長吉に「純愛物語」という作品があるそうだが、これは亡き夫の3周忌に霊前にささげられた妻、高橋順子による献身の「純愛物語」で、涙なしには読めない、見事な見事な大人の恋の物語であります。

当時43歳の長吉選手は、遠くから一目ぼれした44歳の順子さんに手書きの絵入はがきを1988年9月以来、全部で11通送りつけるのですが、その詞と絵が混然一体となった詩的な絵葉書が素敵です。彼は平安時代の貴族のごとき古式豊かなスタイルで、憧れの思ひびとへの接近を図ろうとしたのでありませう。

最後の絵手紙が届いてからも、じつにさまざまな事件があいつぐのですが、ついに男の妄想執念が通じたようで、女は、遠く離れて出家しようする男に向って、「この期に及んで、あなたのことを好きになってしまいました」と告白するのです。

その手紙に対する男の「もし、こなな男でよければ、どうかこの世のみちずれにして下され。お願いいたします。私はいま、このように記し了えて、慄えております」という赤裸の返信が胸を打ちます。

かくて運命の糸に結ばれた彼らは、長吉48歳、順子49歳の1993年の秋に結婚し、驚天動地、天波乱万丈の同行2人の道行きは、2015年5月17日の日耀日まで、およそ21年に亘って続くのです。

が、新書館から待望の全集を出したあとの車谷長吉の最期の日々は、もう死を願っていたとしか思えません。愛妻の献身的な支えあればこそ、なんとかその日まで生き永らえることができたのでせう。

 なんでもかでもマイウーと叫んでいる君 たまにはマズイというてみよ 蝶人

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ナボコフ・コレクション第1巻「マーシェンカ、キング、クイーン、ジャック」を読んで

2017-12-12 10:40:17 | Weblog


照る日曇る日第1015回


2作ともロシア語からの直接の初邦訳というが、英語訳も読んだことがないナボコフ選手20代の若書き中編小説であった。

表題の「マーシェンカ」というのは、主人公の憧れの初恋の女性である。若き日にロシアの故郷で「好きにして」とまで言われたのに、結局なぜだか「振って」しまったのだが、それから幾星霜、人妻となった彼女がベルリンの同じ下宿にやってくるというので、やけぽっくりに火がついて妄念が燃え上がるのだが、結局その寸前に思い返して遠くへ去ってしまう。

あまりにもあっけない結末だと文句を言う批評家もいたそうだが、これは主人公の判断の方が正しいと私は思います。阿呆莫迦亭主から彼女を略奪して一緒になろうという無謀な計画が彼らを幸せにするはずがない。

次の「キング、クイーン、ジャック」は田舎からベルリンとおぼしき都会にやってきた若者が、美しい人妻と相思相愛の仲になって、2人で共謀して邪魔な亭主を殺そうとして果たせず、突然人妻が死んでしまうというお噺であるが、サスペンスドラマのようにぐんぐん引っ張っていく筆力はさすが。

前作と同じように結末には多少の不満も残るが、ないよろもかによりも、「縷々物語ることの快楽」のようなものが、そこここに垣間見えて、それが作者の非凡さを雄弁に物語っているようだ。

 年寄りはどんどん死にゆき若者はどんどん年寄りとなりどんどん死にゆく 蝶人



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「六花」2号「奥村晃作氏への16の質問」を読んで

2017-12-11 10:21:58 | Weblog


照る日曇る日第1014回

俳句誌「六花」2号2017年12月号には、「奥村晃作への16の質問」がその回答とともに掲載されていて、これらを通読すると、この偉大な歌人の人柄がおのずと浮かびあがって来るようです。

座右の1首が氏の恩師である宮柊二の
  おそらくは知らるるなけむ一兵の生きの有様をまつぶさに遂げむ
であることは、なるほどと頷けますが、好きな芸能人が、マイケル・ジャクソンと美空ひばりという答えには驚かされました。

美空ひばりはともかく、氏がマイケル・ジャクソン!の虜となって、手に入る限りのCD、DVD、書籍を購入し、あまりにも夢中になって体調を崩し、数日間寝込んでしまったという逸話には、氏の若者のような柔軟な感受性と熱情があますところなく体現されているようです。

氏においては、実作よりも短歌和歌の研究が先行したそうですが、「式子内親王論」を書き上げたときには「頭髪がごっそり抜けてしまった」というのですが、それくらいものすごい集中力の持主なのでしょう。

和歌・短歌史を通観するために、「近世和歌研究会」を結成し、当時暗黒状態にあった江戸時代の和歌を徹底的に研究されるなかで「ただごと歌」の先駆者、小沢濾庵との出会いもあったのでしょうか。
歴史の過去を徹底的に精査して、その深部に沈殿した宝玉と遭遇する道行には、かの正岡子規を思わせるところがありますね。

氏が、「心は限りなく深く、韻律は美しくいくら読んでも飽きることがない」と高く評価されている「古今和歌集」を改めて紐解きたくなりました。

氏によれば、1955年に文語短歌に「句跨り」のレトリックを導入した塚本邦雄が、前衛短歌の時代を切り開き、その30年後の1985年に俵万智が塚本に倣って「句跨り」を導入することによって、コロンブスの卵さながらに文語短歌とミックスした「口語短歌」が一挙に成立。
そして俵万智の偉業から30年後の2015年、これまた土岐友浩の「Boothleg」の跨りレトリックによって、「完全な口語短歌」が成立したようです。

一問一答は「旧人のわれらはミックス短歌で終わりますが、今の10代、20代、30代の若い歌人は口語短歌の時代を生きるでありましょう。」と結ばれていますが、果たしてどうなるのか。
いずれにせよ、今年81歳の偉大なる歌人の矍鑠たる歩みからは、当分目が離せません。

  タンカーとイージス艦がぶつかればいまのところはタンカーが勝つ 蝶人


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シリーズ偽主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々満載挨拶スピーチ実例集!」No.16

2017-12-10 10:37:07 | Weblog


蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.275



新社屋落成式/建設会社社長のお礼のスピーチ

テーマ=独自の企業ポリシーで景気後退を乗り切る決意を示す

本日は皆さまご多用中のところ、山川建設株式会社の新社屋の落成式にご出席たまわりましてありがたく厚くお礼申し上げます。

私は、このほど代表取締役社長に就任いたしました山川啓一郎と申します。どうぞよろしくお見知りおきのほどお願いいたします。

*①さて弊社は、創業以来約半世紀、わが国の国土建設、インフラ整備の一端を担って、数々の高速道路、公共建築、飛行場・港湾設備等々を建設してまいりましたが、かねてより本拠地であります東京本社が手狭であるうえに老朽化し、皆さま方にたいへんご迷惑をお掛けしておりました。

*②本日念願の本社新社屋が、ここ東京品川の新ビジネスゾーンに誕生し、ようやく肩の荷をひとつ下ろすことができたと社員一同ほっとしておるところでございます。

*③皆さまご承知のように、今世紀に入りましてからは世界的な景気後退とわが国経済の失速、とりわけ公共投資激減の影響をまともに受けまして、建設業界ならびに弊社の前途にもいささか暗雲が立ちこめてまいりました。

しかし本格的なグローバル競争の時代を迎えた建設業界において、ますます重要なのは、いかに自社の個性と独創性を世界に発揮できるかということだと思います。

*④弊社の企業理念は「虚存」ですが、これは「物事の真に肝要なところは虚にのみ存す」という老子の有名な言葉からとりました。
建築物の本質は、屋根と壁と柱ではない。それらによって取り囲まれているいっけん空虚な空間こそが生命の泉なのだ、と老子は唱え、この考えは、私見ながら帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトの生涯の教えとなり、僭越ですが、わが山川建設の構造建築の基本コンセプトともなっています。

お客さまがそこで暮らし、生活される空間にいかにいのちを吹き込むことができるか――建設業者の使命はその1点に尽きる、と私は思うのです。
そして不遜にも、この「虚存」という企業哲学ある限り、山川建設は不滅であると私は信じている次第です。

*⑤よくことわざに「新しい酒は新しい袋に入れよ」と申しますが、新社屋が完成したからといって肝心の社員が新しく生まれ変わらなければなにひとつ進歩はありません。

社員全員が本日誕生したこの最新型の袋、立派な器に恥じない内容のあるお酒、芳醇なワイン、熟成された銘酒に変身して、皆さまに何杯でも何杯でもおいしく味わっていただくこと。それが、これからの山川建設の宿題です。

どうか今後ともご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。


○ スピーチのポイント
① 業界の環境、企業の現況についての簡単な紹介解説からはじめてみましょう。
② 新社屋は会社都合だけではなく、顧客便宜のために完成したことを強調するほうが社外関係者にアピールできます。
③ 業界環境をさらにくわしく解説しましょう。
④ 機会あるごとに企業理念をアピールして、消費者、関係者、株主、社員の共感を獲得することも重要です。
⑤ よく使われることわざですが、社員を新酒にたとえて心機一転をうながせば社内のモラルアップにもなります。

 これはヤバイいつでもなにかアマゾンで買い物していないと不安で不安で 蝶人
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宮崎駿監督の2本ずら

2017-12-09 10:40:37 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1261、1262


○宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」をみて

陸にすむ人間と海にすむ生物との友愛を描く宮崎選手得意のファンタジー映画。
愛すべきキャラ、ポニョが初めて登場するシーンについて苦心惨憺していたようだが、そのシーンは出てこなかった。


○宮崎駿監督の「となりのトトロ」をみて

複雑怪奇に機能化された現代社会にあって、その対極としての緑と慰安のヒンターランドを希求するわれわれの心根を夢の理想像として感動的に描きだす。
まさに宮崎選手の独壇場ずら。

  若者はなべて自民を支持するという鴈首揃えて地獄へ行きな 蝶人

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佐藤正午著「月の満ち欠け」を読んで

2017-12-08 11:44:17 | Weblog


照る日曇る日第1013回


夭折したわが子が、2代、3代、4代と、さながら月が満ち欠けを繰り返すように彼岸と此岸を幾たびも渡って蘇る。その再生が子供のみならず死せる愛妻にまで及んでいたことを知って愕然とするところでこの奇跡的な夢物語が感動的にストップモーションすると、なるほどそんな塩梅に誰もが輪廻転生を恒常的にに繰り返すようになれば、生も死も、いまよりずっと豊かで楽しいものになるに違いないと思ったことであった。

手垢にまみれた輪廻転生譚も、三島由紀夫の「天人五衰」の原型からずいぶんとカジュアルになり、ポピュラーに垢ぬけてきたものよ。

まあチベットのダライ.ラマなんかはそういう仮説を前提にして生まれ変わりを大捜索しているわけだが、それを全地球的視野で展開することになるわけだ。

それにしても、イアン・スチーブンソンの「前世を記憶する子供たち」をはじめ数冊の参考文献、そして与謝野晶子と吉井勇の短歌を効果的に駆使して、よくもこんな緻密なサスペンスフル人情ドラマを書いたものだ。最後の数ページは圧巻。されど章や節を表示する時計の針や月の満ち欠け図の意味はいくら考えても分からなかった。



   瑠璃も玻璃も照らせば光る人あれどわれはさしずめ嚢中の錐 蝶人
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桐山襲著「パルチザン伝説」を読んで

2017-12-07 17:47:32 | Weblog


照る日曇る日第1012回



手足や視力を喪いながらも、親子2代にわたって反権力闘争に挺身していく筋金入りの革命家の兄弟一家の、なんだか一場の夢のように美しくも果敢ない抵抗小説である。

物語の題材としては、1973年の東アジア反日武装戦線の東京丸の内の三菱重工爆破事件や74年8月14日の天皇お召列車荒川鉄橋爆破未遂事件などを踏まえてはいるのだが、作者の視点は、それを敢行するパルチザンの孤独な心根の奥深く分け入っているので、それが読む者の心を揺り動かす。

ある意味ではロシアのドストエフスキーの「悪霊」やロープシンの「蒼ざめた馬」、大江健三郎の「セブンティーン」にも比すべきテロリストの物語であるが、彼我の決定的な違いは神のある無しで、本書の主人公である「昭和の丹下左膳」や「決意した唖者」たちが、自らと等しい生命価値を有するはずの「殺戮されるべき敵」について、神と生存を賭けた対話を行うようなスリリングな心理劇はついに登場することはない。

しかし唾棄すべき政治テロルを扱いながら、それを見事な文芸作品にまで昇華しえた本作品に対して、その真価を読み取ることなく誹謗中傷、虚偽捏造のフレームアップを行って単行本化を阻止した「週刊新潮」、これによって惹起した右翼の妨害に脆くも屈した河出書房、そして著者にも版元にも無断で勝手に書籍化した第三書館の夜郎自大な著作権違反は、いま思い返しても許し難い暴挙であった。

    唾棄すべき週刊誌を出している書肆より文芸良書を購いにけり 蝶人

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高木正幸著「新左翼三十年史」を読んで

2017-12-06 10:42:02 | Weblog


照る日曇る日第1011回



小嵐九八郎の「新左翼死人列伝」を読んで本書のことを知り、内ゲバのことが気になってページをめくる。
内ゲバによる最初の死者は1970年の、中核派が革マル派活動家を殺害した海老原事件であるが、それ以降のあらゆる党派を含めた内ゲバの犠牲者は、本書が刊行された1988年8月の時点で83名である。
その内訳は中核派の革マル派活動家殺害が45名、解放派の革マル派活動家殺害が22名、革マル派の中核派、解放派活動家殺害が15名、その他マル青同の同士リンチ殺人1名となっている(連合赤軍メンバー12名のリンチ殺人などは除く)。
本書は今からざっと30年前に書かれた本だから、その後死者の数はもっと増加し、いまもなお時々新聞の雑報で報じられたりしてすたることがない。
むかしは政治思想の異なる党派が殺し合っていたが、比較的最近では、同一党派内の対立勢力同士で殺害を繰り返していると知って、言葉を失った。
ひとはいつでも見解を異にする他人を、いくぶんかは憎むものだ。そしてその憎しみが嵩じて増殖していくと、いつの間にか他者は不倶戴天の敵として対象化されて、その死を願ったり、みずから手を下したりしてしまう。
いったん敵を殺せば、敵は報復と称して味方を殺し、その報復のために殺戮が続き、この連鎖はよほどの契機が出現しない限り未来永劫にわたって途切れないことに理屈の上ではなってしまう。
ひとはひとをあやめてはいけません。されどいったいいつまでこういう不毛な殺戮地獄が続くのだろう?
今も昔もイデオロギーの対立は、お互いの存在を抹殺しないかぎり、解消されないのだろうか?
みんな違ってみんないい。かつて金子みすゞが夢見た世界は、ついにこの地上では訪れないのであろうか。

   12345678910 1時間おきに小便するわれ 蝶人

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独メモリー盤「ハンス・クナパーツブッシュMR2245,22462枚組」CDを聴いて

2017-12-05 10:50:44 | Weblog


音楽千夜一夜 第402回


 久しぶりにクナを聴いた。1962年4月14日と63年5月10日ににケルンでライブ収録されたブラームスの交響曲3番とブルックナーの7番。どちらもクナ選手の18番だが、なぜだかいつものようには心弾まず。いったいどうしてこんなに淡白で燃えないのかとだんだん腹が立ってきた。オケのケルン放送交響楽団が、親分のいうことを聞かないのかな。
 クナはスタジオより実演で燃えるタイプだが、曲によってはまるで冷徹な外科医の絶対失敗しない手術のような演奏をする時もあるから、まあしゃあないか。
 それとも、この節の全地球的気狂い現象に、おらっちの耳と心が汚染されている証拠かもしれないな。
 「指輪」と「パルシファル」と「全オペラ」以外のほぼ管弦楽曲全曲!を収録した彼の70枚組の「クナ・コレクション3」をいっきに衝動買いしようかと思っていたのだが、その衝動がどっかへいっちゃった。しばらく様子をみようっと。

  バーキンが儚く歌う「ロストソング」あれには多少の思い出がある 蝶人
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夢は第2の人生である 第49回

2017-12-04 10:18:50 | Weblog


西暦2016年師走蝶人酔生夢死幾百夜


突然家の中に大きな蛇が入ってきたので、ゼンチャンもコウチャンもケンチャンも大騒ぎ。お母さんが大蛇の上に座布団をかぶせたので、私はその上から岩を落としてやろうと思ったが、念のために座布団の下をそっと覗いたら、それは大蛇ではなく人間の顔だった。12/1

某国との平和友好条約が締結され、その記念式典が開催された。私はその祝祭コンサートの演奏をする一員なのだが、最高に盛り上がったコーダの部分で、携帯の呼び出し音をうまく鳴らせるかどうか自信がなくて、ひどく緊張している。12/2

私の目の前で、前田嬢が、あほばかナベショーの横暴と徹底的に戦っている。じつに偉い。立派な女性だ。12/2

最近会社へ行っても、リュウホウ部長もイマナカ課長もいない。事務のヤスナガさんに聞いても「さあどうしたんでしょうねえ」と言うばかりなので、近所の居酒屋を探したら、朝から飲んだくれていた。12/3

兄貴が、おらっちのスケをこましたので、おらっちも、兄貴のハクイスケを、2回こまして、倍返ししてやった。12/7

私は、私に、致命的な毒液を注射しようとした、電通の営業の男を、投げ飛ばし、崖から突き落として、九死に一生を得た。12/8

久しぶりに海づりに行ったら、タイやヒラメがどんどん釣れるので、驚いていると、海から死んだ祖父が出てきて「わしは、じつはコヤナギルミという童話作家だったんだ」というたので、驚いた。12/9

幕府から選ばれた10名の男女は、下にも置かない厚いもてなしを受けたのだが、「1対の男女でも親しくなれば命はない」と厳命を受けたので、ひどく緊張を強いられていた。12/10

今中課長から「君は関連会社へ出向してくれ」といわれ、今の会社に飽き飽きしていた私は喜んで、まずは偵察にといそいそ出かけたのだが、そこでじつに不可思議な女と出くわした。12/10

コンサートが終わって、会場から出てくる群衆の中に、死んだはずの義母を見つけた。神宮プールを覗きこんでいるので、きっと私の死骸が浮いていないか心配しているのではないかと思って、私はおずおず「おかあさん」と声を掛けた。12/11

すると彼女は驚いた顔をして、「あらマコトさん、どうしてこんなところにいるの?私はミエコを探しに来たのよ」というので、「ミエコはここじゃなくて、逗子のプールで泳いでいるんですよ」と教えると「あらそうなの」と答えたその顔は、ずいぶん若かった。12/11

今年の世界図書館展は、アフリカで開かれたのだが、書籍の展示が天地さかさまになっているので、修正するのに半日掛かった。食堂へ行っても、食事も水さえないので、私はどうしてこんなところまでやって来たのか、と我が身を呪った。12/12

運転などやったことがない私は、女をスピードカーに乗せ、ひしと抱きしめたまま、山から野原へ、野原から街へ、街から海へ、ドドシシドッドと全速力で疾走したが、不思議なことに、誰にも出会わず、何物とも衝突しなかった。12/13

大混雑のレジで、私は誰かの財布を拾った。中に入っていた5千円札をこれ幸いとこっそり引き抜いて、それで勘定をすませようとしたら、担当のオヤジが「ちょっと待ってください」と言うので、小心者の私はびくっとした。12/13

新宿まで進出してきた中国軍を、わが連隊は奮戦して銀座8丁目まで押し返したので、彼らは、東京湾から撤退していった。12/14

「おいらはCMをウオッチするために、これまで民放ばかりみていたので、いましばらくはNHKだけみることにしているんだ」というと、テツちゃんが「こないだやっていた「たきやかな夜」というドラマみましたか?」と尋ねた。そんなの聞いたこともない。12/15

万能の人工知能アンドロイドをプレゼントされたので、私は、こいつをローマ時代の奴隷のようにこき使ってやろう、とひそかに考えた。12/18

私は破産してしまったので、来年3月まで、キンサンギンサンのために勤労奉仕をするように命じられた。12/19

私の膝に倒れ伏した芸者の松坂慶子が、「わたし、もうどうなってもいいの。今夜ここに泊めてください」と泣きながら訴えたのだが、うぶな私はどうしていいか分からず、うんともすんとも答えられなかった。かくして運命の決定的瞬間は過ぎ去った。12/20

行動計画表を見ると、午後2時に鎌倉ではなく相模原を出発することになっていたので、私は郷土防衛軍第8連隊を率いて、急遽相模原に向かった。12/21

「冬場は火事にならんように、火の用心をするんじゃよ」と、そのお爺さんは何度も警告していたのに、わたしたち子供会の落ち葉焚きが原因で、街は丸焼けになってしまった。12/24

セイさんと一緒に帰り支度をしていたら、赤ちゃんを連れた若い女性が、わたしたちになにやかにやと話しかけてくるので、「うざったいなあ」と思いつつも、なかなか可愛い顔をしているので、むげに振りきることもできず、いつまでもうだうだ関わっているわたくし。12/25

永代のデザイナーとショーを見物していたら、松平さんが「あなたずいぶん昔のスーツを着ているのね?」と揶揄するようにいうたので、「ええ、昭和10年代の古着です」と答えてしまった。本当は80年代のコムデギャルソン・オムの残骸だったのだが。12/28

隣の家との隙間に3.15平方メートルの土地を持っていたのだが、ついもののはずみで、「御主人に差し上げてもいいですよ」と言ってしまったことを、私は朝まで後悔していた。12/29

NYの美術館から10枚のスケッチの発注を受けた田中君が、あっというまに訳のわからない心象画を描き上げるのを、私は茫然と見つめていた。12/30

判決が下り、私は海に突き落としたばかりの武者人形を、たった一人で海底から地上に引き揚げなければならなくなった。12/30

橋本氏と別れた後、プラットホームで電車を待っていると、赤ちゃんを連れた若い女が、どこかへ連れて行って欲しい、とねだるので、映画を見たりお茶をしたりしていたが、ずいぶん遅くなって電車も終わってしまったので、ホテルに入って寝た。12/31

私が浅草公園から引っ張ってきた風来坊シェフの超お買い得弁当は、物凄い売れ行きである。100名様限定の「さわこの初恋弁当」などは、それこそあっと言う間に売り切れた。12/31

   竜王戦は羽生優位を伝えているが3勝1敗では勝負は分からぬ 蝶人


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すべての言葉は通り過ぎてゆく 第52回

2017-12-03 10:13:15 | Weblog

蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話 op. 274



いつのまにやら「自己批判」、「自己否定」、「自己解体」という内省的な言葉は死語となり、能天気な「自己肯定」や「自己第一」だけが、らりらりらああんと世間をまかり通っている。11/1

ドジャースは29年ぶりの王者を逃した。ダルビッシュ、やっぱり駄目だったなあ。第3戦でも早々とノックアウトされ、絶不調が続いていたのだから、ロバーツ監督は別の投手を起用するべきだったずら。11/2

又吉直樹の「劇場」を読もうとしたが冒頭の3行で躓く。こういう青臭い前振りは今でも学生小説によくあるが、短歌にするならともかく、本論にはまったく不要の前戯である。それでも我慢して読み進んでみたが、とうとう投げ出してしまった。デビュー作の「火花」はとても面白かったので期待したのだが、これは私にはてんで駄目ずら。11/3

国民および私に何の断りもなく、トランプの娘に何十億もポンと呉れてしまう安倍蚤糞を絶対に許してはなるまい。11/4

南海ホークス、優勝おめでたう。大洋ホエールズも2倍以上の安打を放って健闘したがあと1歩及ばなかったが、低めの速球を本塁打にした内川の一打が光る。選手層は差があるのに、監督の力量は意外にもラミレスの方が上だった。11/5

米国の大統領と日本の首相というご立派な肩書から、もっとも遠いところにいる2人が、トランプと安倍蚤糞だろう。11/6

わがプロ野球界が、大リーグに右に倣えして、「2ストライク3ボール」の表示を、ゆえなくして「3ボール2ストライク」に改めたのも、この国がアメリカの奴隷であることのひとつのしるしだろう。11/7

トランプの尻馬に乗って北への圧力を「最大限に」強化しているそうだが、本当に戦争が勃発して、北朝鮮がお前の官邸や我が国の原発にミサイル攻撃を仕掛けてきた場合の責任はとれるんだろうね、安倍蚤糞よ。11/8

NHK衛星放送の海外ドラマ「クイーン・メアリー2」を見ていたら、ヒロインの女王が乱入した兵士たちによって強姦されてしまった。果たしてこれは史実なるや否や?11/9

冬の到来を控えて、居間に燈色の絨毯を敷いたら、ぱっと眼を射て、なんとなく生きる意欲のようなものが、湧いてきた、かな。ありがとう燈色。11/10

最近は再放送の民放ドラマを「ティバー」で見物している。「陸王」「ドクターⅩ」が 抜群だが、「ユニバーサル広告社」、「民衆の敵」、「ハケンのキャバ嬢」もなかなかいけます。酷いのは「秘密諜報員エリカ」。なんで栗山千明はこんなんに出たんだろう。11/11

しかしなんだなあ、日本も、アメリカも、世界じゅうどこを見渡しても気違いどもが夜郎自大をやらかす荒涼たる冬景色で、これからいったいどうやって生きていったらいいのか、中原中也じゃないけど「ボーヨー、ボーヨー、前途茫洋」の心地す。11/12

1962年6月21日、シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団が奏でるモザールの交響曲第35番ハフナーの第2楽章。私たちは音楽の調べに耳を傾けながら、その時タングルウッドの青空をゆっくりと流れてゆく白い雲も目にしている。11/13

液体の入ったビール瓶で人の頭を殴れば死にいたることもありうる。ということを脳裏にちらと思い浮かべつつも、エイとぶん殴ったのか。大関に戻った方がいいキセノサトより遥にマシな横綱だと思っていたわが不明を恥じるのみ。11/14

与党80分野党160分! 与党の80分はノイズに過ぎないから、こんな短時間で加計の闇を暴けだろうか? 絶対に不可能だ。なんで審議を拒否しないのか不可解。11/15

「世界の指揮者}小澤征爾の師は、かの有名な斎藤秀雄だが、彼の指揮法は父秀三郎の英文法解釈を音楽に適用したもので、音を名詞や動詞や形容詞などと同じように細分化された音素に還元し、その音素の特性を演奏に反映しようという要素還元主義に立脚している。11/16

だから小澤のひとつひとつの音は音符通りに正確無比に表現されるが、音素と音素が連鎖して展開する音楽の有機的な流れの精神的な意味は等閑視される。福岡伸一の生命論を援用すれば、音楽は流れの中の淀みにあり、その音楽を微分積分して分けることは、音楽を殺すことになる、のである。
もちろん小澤とて再現音楽の本質が指揮者の脳内に確立されたその曲のイデアにあることは熟知しているのだが、いかんせん彼の前頭葉で生産された音楽像自体が貧弱な代物なので、それをいくら世界一の音楽テクノクラート(例えばサイトウキネンやN響)が精巧無比に再現してもなんの芸術的感銘も放射せず、いたずらに空虚な音塊に堕すのである。

朝日新聞の「異論のススメ」の著者は、毎回いわゆるリベラル派の考え方に対して雲の上の高みからあれやこれやの難癖をつけ、最終的には安倍蚤糞の政策に軍配をあげて得々としているが、たまには保守派や自分自身に対する「異論」を突きつけてはどうだろう。11/19

世界やら世間のことはさておくとしても、ちっぽけな自家内は春夏秋冬常に内憂外患、一喜一憂、拓郎じゃないけど、人間なんて吹けば飛ぶよな存在だと思わずにはいられない。束の間の平安を大事にしたいものなり。11/20

安倍蚤糞が阿呆莫迦トランプの娘に呉れてやった57億円があれば、社会福祉の経費もだいぶ助かるのだが。しかし、こういうお金って、彼奴が誰の許しもえないで勝手に使っても構わないのか。11/21

まともな横綱は、私の嫌いな白鵬しかいないことがよーく分かった。来年は心機一転、横綱・理事としての必要十分条件に欠ける日馬富士、鶴竜、稀勢の里、貴乃花を「排除」にして初場所に臨んでほしい。11/22

ところがギッチョン、頼みの白鵬も「まとも」どころか、相撲の最低のルールすら自分勝手に踏みにじる最悪の横綱だった。協会は本日からこのヤクザを直ちに出場停止にして厳罰に処し、日馬富士、鶴竜、稀勢の里、貴乃花とともに来場所から「排除」してほしい。11/23

天皇の退位についての話やら日程やらが「粛々と」進行しているようだが、天皇制の廃棄や止揚についての話や日程がどこからも聞こえてこないのは残念だ。憲法改定の議論においてもしかり。11/24

永田和宏氏が登場するというので、何年振りかで「NHK短歌」をみたら、短歌とは縁もゆかりもないようド派手な顔した司会者が、いきなり手を振り、体を揺すって歌を唄いだしたので、驚いてテレビを消した。NHKも短歌も、いったいどうなっているんだろう。11/25

その後も「ティバー」で民放テレビドラマを見物している。いちばん力が入っているのが「陸王」で、原作の面白さと役所広司の熱演に泣かされる。マンネリと戦う「ドクターⅩ」も捨てがたいが、「民衆の敵」の虚実皮膜から目が離せないずら。11/26

我が家と隣の境界線が曖昧だからといって、ただちに腕っ節や裁判に訴える人は少ないだろう。そもそも時代を超える超絶的所有権など、地球上のどこにも存在しないのだから、土地や島や海の領有権を眼の色を変えて争うのは、愚かなことである。11/27

この国の政治や経済について言いたいことは山ほどあるが、いちばんヤバイと思うことのひとつは身近にある老老介護の問題で、精根尽きはてて死にゆく老人とその介護者たちの悲惨な現況に、阿呆莫迦安倍蚤糞が寄り添っているとは到底思えない。11/28

安倍蚤糞のような右翼にせよ、新左翼系の左翼にせよ、到底実現実行不可能ではあるけれど、とりあえず遠大な努力目標として掲げておこうというのが「革命」という言葉である。11/29

草を食うても邁進する北朝鮮のミサイル開発は、もはやとどめようもないのに、相も変わらず狂犬の驥尾に付して「圧力圧力」と莫迦の一つ覚えのようにキャンキャン喚き散らすだけの哀れな安倍蚤糞。それが政治なら、これほど楽な仕事もないわいな。11/30


  モモちゃんもマルヤマさんも辞めました我が家の行きつけキシモト歯科 蝶人
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なにゆえに第47回~西暦2017年神無月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2017-12-02 11:08:36 | Weblog


ある晴れた日に 第487回



なにゆえにあっと言う間に霜月になる八百万神が帰ってきたから

なにゆえにラミちゃん立派に勝負ができた凡事徹底「マタ明日ガンバリマス」

なにゆえに車のスペアキーが無くなったどうして探せばいいのだろう?

なにゆえに拉致被害者が帰ってくる「最大圧力」者に頼んでも駄目でしょうが

なにゆえに北朝鮮を口実に武器セールスをする軍事同盟はもう止めよ

なにゆえに瀬戸際政策に加担する一億の命を危険に晒して

なにゆえに「なにゆえ短歌」を続けてるプロパガンダが乗りやすいので

なにゆえに耕君はやたらトイレにいく泌尿器科で見てもらおうか

なにゆえに質問時間を減らしにかかる野党つぶしの与党独裁

なにゆえにキセノサトはころころ負ける横綱の責務を分かっていない

なにゆえに加計獣医学部が誕生する安倍蚤糞への忖度の賜物

なにゆえに都政に専念もう君についてくる者なし

なにゆえに電車はギンギンに冷房す我らは冷凍魚にあらず

なにゆえに彼の死因がかくも気になる自殺であったかなかったか

なにゆえに日馬富士問題は紛糾するどうも貴乃花が怪しい

なにゆえにコロコロ負けるキセノサトどっちが横綱か分かりゃしない

なにゆえにローラン・エマールなんか取り上げる昔の音楽家の番組じゃなかったのか

なにゆえにシュターツカペレ・ドレスデンのビデオに眼を凝らす世界一美しいビオラ奏者が映っているから

なにゆえに冬の葉山で立ち泳ぎしている夏菜に「おのれの欲の海で立ち泳ぎしてな」と言われたので

なにゆえに相撲界は連続不祥事件を起こす安倍蚤糞の陰謀を覆い隠すため

なにゆえにまだ歯茎が腫れるさすがの名医もメスを投げたか

なにゆえに奥歯の腫れが収まった横須賀の名医真価を発揮す 

なにゆえに貴乃花は協会を拒む一門率いてプロレス業界へ

なにゆえにリゴレットの「女心の歌」をアンコールするディ・ステファノの最高音は出ていない

なにゆえに「2対8」が「5対9」になってしまうあんたが安倍蚤糞に反対票を投じなかったから

なにゆえに北朝鮮はミサイルを打つ相撲ボケ連中に冷水浴びせる

なにゆえに11月は走り去るこんな日本を見たくもないから


  お馴染みの「最大限の圧力」ですか ポチでも言えるぞワンワンワン 蝶人


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西暦2017年霜月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2017-12-01 10:18:47 | Weblog


ある晴れた日に 第486回

――「運慶展」をみて詠める

三〇分待ちて平成館に入りけり興福寺中金堂再建記念運慶展
運慶は平安末期から鎌倉を代表する本邦第一の仏師とか
運慶の父康慶が鮮やかに彫琢したる四天王像
運慶が造りし二体の毘沙門天 時政の願成就院、義盛の浄楽寺に
運慶の毘沙門天に踏まれたる二匹の邪鬼は大仰に反る
天の邪鬼ゆえ楽しくもあるか運慶の毘沙門天に踏みつけられて
踏む者はアーリア人にして踏まれるはドラヴィタ人とする説もあり
執著を無きものにしたバラモンの無著菩薩の尊顔拝す
中国に寒山拾得インドに無著世親超俗の悟り開きたり
興福寺四天王像の多聞天ミケランジェロのダヴィデと張り合う
快慶は運慶の弟にあらずして運慶の弟弟子なり
堪慶が明恵上人に刻みたる子犬愛らしムクによく似て
亡き父の疾風怒濤を懐かしむ堪慶康弁の寂しき洗練
運慶をちょっぴり馬鹿にしていたが古今無双の彫刻家なりき 
父運慶の疾風怒濤遥かなり子堪慶康弁の洗練
ああ運慶 君のそのエランヴィタール爆発し本邦初のシュトルム・ウント・ドラング輝く

――ゴッホ展をみて詠める (*は展示作品名)
我が国の浮世絵がゴッホに及ぼした影響を探る展覧会とぞ
広重や英泉がゴッホの造形に影響を与えたそれがどうした
「ジャポニスム」なんちゅう言葉は災いだ君の頭を灰色に汚す
絵というは黙ってみれば分かるもの妙な知識は鑑賞の妨げ
「巡りゆく日本の夢」なんかどうでもよろし無念無想で画幅に向え
「美は僕たちに沈黙を強いる」小林秀雄の名言身に沁む
幾たびもまた幾たびもこの青緑ゴッホの色はあまりに美し
青緑黄白黒赤茶美しすぎてバックハウス弾くベーゼンドルファーの音色
「アーモンド」*一樹百花斉放なれば三千世界一度に開く
「草むらの中の幹」*がばと身起こし 生への賛歌 歌うこの時
アルルなる六畳一間の「寝室」*に盤踞するシングルベッドの独白を聴け
アルルなる黄色い部屋に盤踞するシングルベッドの独白を聴け
部屋の前ゴッホがキャンバス拡げれば机が歌い椅子踊り出す
「オリーブの園」*のうちなるオリーブ天に憧れ地を這いまわる
「下草とキヅタのある木の幹」*よ画家の心を緑が満たす
友は去り「蝶舞う庭の片隅」*に包帯捲ける絵描きがひとり
サン=レミのサン・ポール・ド・モソル病院に「ヤママユガ」*一頭静かに憩う 
描けども描けども買い手現れずフィンセント斃れテオも斃れる
医師ガッシュの息よりゴッホ作品の大量購入を勧められしがなんで買わなんだ山本發次郎
ダ・ヴィンチもフェルメールもなににせんゴッホの一枚あらばよし 

――加藤治郎「歌集 噴水塔」を読みて詠める
12年1月から14年12月までの350首を収めた第9歌集
ある個所は岡井隆風またある個所は寺山修司されどまぎなく加藤風の最新歌集
ある時は修正アララギまたある時は柔軟口語さすがは「ニューウェーブ短歌」の元祖なり
90年代は遥に遠くニューウェーブ10年代には新古典となる
ニューウェーブの後には新波来て大波小波超ニューウェーブ来襲
ヌーヴェルヴァーグ去りニューウェーブも去りて海は凪ぎ大航海者尽く死滅す
むらぎものこころに響く低音は全首を貫く孤独と不安
伝統を変革する者の常として最新変革者共と戦わねばならぬ
14年1月28日尊父死しその日より始まる父との対話
ちちのみの父死しここだも歌生まる父子を嘉して賦活する歌
フィクションで父の死詠みし者ありき あれらはただのフィクションだった
在りし日の父上偲びて歌生まる末尾の晩歌本書の白眉
父看取り父を喪い父想う末尾の詠草茂吉の響き
茂吉より心に沁みる挽歌あり父の死すでに虚構にあらず
ポップとは命を賭したサーカスよジャンプできねばピエロとなるのみ
たそがれの夕べを迎えおもむろに歌人はおのれの晩歌を呟く
三十年歌い続けてきたのだからたまには喉腫れ咳も出るだろう
教科書に加藤治郎(一九五九~)と記されて没年はまだ夏雲のなか 加藤治郎
三十年歌い続けてきたとしても明日も新たな歌うたうべし 

――恒例作品
貴乃花白鵬鶴竜稀勢ノ里みな引退せよ相撲界のため 
「広告がゼロの雑誌は気持ちがいいね」と広告一筋の男いうなり 
「しっかり」とか「丁寧に」とか連発する人を私は絶対信用できない
あなたが嫌いなのではありませんあなたのそのイデオロギーが嫌いなんです
N響を解説者みな褒め上げるなんでも「マイウー」のタレントと同じ
こんなんで加計の闇を暴けのるか与党80分野党160分
セリーグの3位が1位と勝負して下剋上とはいまどき珍し
キセノサトそれでもお前は横綱か格下相手にころころ負けて
「忠犬」は何十億ドルの戦闘機などを「狂犬」から買うと約束したそうだ
鎌倉の中央図書館の受付ですんごい美人を見かけたような 
なんとまあ「逗子岡崎」が閉じるというこれからカーテンどこで買うのか
ごみ袋を突き破りそうなので大きな骨は捨てなかった白石容疑者
背走しまた背走しジャンプして逆シングルで飛球をキャッチす
平凡なフライをひとつ捕ることが少年の日のこよなき喜びなりき
創業者急死して内紛続くという大戸屋にて昼食を取る
あんたたちだからいったじゃあーりませんかあべのみくそはあくまだって
それでもなお日産の車を買い続け安倍蚤糞に投票する人
古稀過ぎて初めて人を憎みたり総理大臣安倍晋三の莫迦
「風呂桶の裏側を洗わなければだめじゃないの」とうちの奥さんがぼやいてる
「時間があるようでない」てふ三井住友カードの広告不愉快千万
デモ指揮のクニヨシ君は「突っ込めえ」と叫びながらわが隊列に飛び込みたり
最前列よりもっとうしろに警棒乱打樺美智子もおそらく3列目
アベはんとトランプはんがおるかぎりわいらあついに救われへんやろ
曇天に北風吹きて胸重し嗚呼この国も「黄昏の時代」か
平成も間もなく終わりそうなので西暦1本に切り替えませんか


  こっそりと図書館美人を見に行くがどこにもいないさみしく帰る 蝶人
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