あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

半蔵門にて通し狂言「菊一座令和仇討」をみて

2020-01-16 11:18:18 | Weblog


蝶人物見遊山記 第328回


四世鶴屋南北の原作「御国入曽我中村」の中身はともかく、一枚看板をこれほど夜郎自大に塗り変えるとは、国立劇場も菊五郎もけしからん。

確かに尾上菊五郎一座総出演の年頭興業には違いないが、出てくる奴出てくる奴、なんだか生気も根性も芸への精進もなく、チンタラチンタラうわべだけのお芝居をなぞっている。じつに不愉快極まりない狂言だ。

ゆいいつの収穫といえば、2幕目で私の住いの近くの「朝比奈切通福寿湯」の場が登場したくらいか。

鎌倉時代から明治の終わりまでこの峠は殷賑を極めた街道筋で、昼夜を問わず多くの商人、旅人たちで賑わったから、茶屋、旅籠はもちろん、銭湯の一つや二つあってもおかしくは無いのである。

なお、この芝居は今月27日までやっているが、ことさら見るべき値打ちもないのでお勧めしない。


  どいつもこいつも「1日1日集中」ボキャブラリーの貧しき関取 蝶人
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岡野玲子著「コーリング2」を読んで

2020-01-15 13:28:42 | Weblog


照る日曇る日 第1341回


国王ドリードから遣わされて来た謎の魔術師ミスランは、サイドルに騎士コーレンからの求愛を退けて「ドリードの妃になれ」と迫るが、どういう風の吹き回しか「俺の女になれ」と豹変する隙に、サイベルに斃されてしまう。

こいつも北国の「久米の仙人」だったのだろう。

  「俺様は宇宙から来た植松だ。こんな野郎生きている価値がない。」 蝶人
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岡野玲子著「コーリング1」を読んで

2020-01-14 22:06:22 | Weblog


照る日曇る日 第1340回

パトリシア・マッキリップ原作の「エルドの忘れられた獣たち」による漫画化。
エルドの山奥で、伝説の獣たちを手懐けている謎の美少女サイベル。

彼女は魔術師オガムの娘だったが、突然訪ねてきたサールの騎士コーレンから赤ん坊タムローンをしぶしぶ受け取ってしまったことから、波乱万丈の物語が幕を開ける。

   照ノ富士と宇良が帰ってきましたよ大相撲初場所 蝶人
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ウィリアム・スタイグ文と絵・おがわえつこ訳「みにくいシュレック」を読んで

2020-01-13 11:37:06 | Weblog


照る日曇る日 第1339回


超醜くて悪臭芬々のシュレックが行くところ、人々は辟易して遠く逃げ出し、ために主人公はいっそう得意になって「自分第一」を剥き出しにするので、人々は余計彼を嫌い、彼は余計己のありように自信を抱く。まるでどこかの国の指導者のようだ。

全世界を我が物顔で闊歩したシュレックは、そんな自分に超お似合いの醜い女性に出会って結婚する。までたし、めでたし。

これまたどこかの国の指導者の姿のようだが、見方によっては、シュレックとは我々自身の裸の姿なのかも知れない。
まっこと怖い絵本です。


「手をつけ」と待ったをかける行司あり待ったをかけない行司もあるでよ 蝶人
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岡野玲子著「陰陽師12 天空」を読んで 

2020-01-12 13:24:42 | Weblog


照る日曇る日 第1338回

謎の陰陽師、道満法師こと知徳法師と安倍晴明の射覆対決の時は時々刻々と迫り、いよいよ晴明の人世はそのクライマックスを迎えようとしている。

しかしこの本邦平安朝の物語に古代エジプト、プトレマイオス朝のアレクサンドリア図書館や当時の美貌の哲学者ヒュパテイアが登場するのどうしてだろう? もしかすると真葛は彼女の生まれ変わりなのか?

謎は謎を生み、風雲を孕んで最終巻へ!


 NHKから国民を守ってもらいたいがその党首のなんといかがわしきこと 蝶人


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聖書協会共同訳旧約聖書「申命記」を読んで 

2020-01-11 13:21:32 | Weblog


照る日曇る日 第1337回

エジプトを出てから40年間荒野と砂漠の中を放浪した挙句、神から特別に指名されたとっておきの預言者モーセは、ツィンの荒れ野にあるカディシュのメリバの水のほとりで、アロン共々神に逆らった罪で、モアブのネボ山の頂上で命を絶たれる。

当時モーセは120歳であったが、「目はかすまず、気力も失せていなかった」と「申命記」の筆者は記すが、その末期の目には、遂に彼だけには踏破が許されなかったヨルダン川の西岸に位置する、エリコはもとよりエルサレムやベツレヘム、ヘブロンなど、乳と蜜の流れるうまし郷が、はるばろと遠望できたことだろう。切歯扼腕、残念無念とはこのことか。

人類史上初めて神と人とが一対一で真向かうことが唯一許された最愛の預言者さえも、どうしても許さなかった創造主の非情なまでの峻厳と、それゆえの人の命の哀れさが、時空を越えた無常を漂わせる幕切れである。

 神々はおおかた死にて「神対応」という時の神のみわずかに生き残るらし 蝶人

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聖書協会共同訳旧約聖書「民数記」を読んで

2020-01-10 12:12:03 | Weblog


照る日曇る日 第1336回

モーセとアロンを操る神に率いられたイスラエルの民は、エジプトを脱出はしたものの、蜜と乳の流れる故郷カナンの地に辿りつくどころか、同じところを行ったり来たり、しかもその間愚かな?民草が反抗したり、邪宗に魅入られたり、呑み食い出来ないとエジプトに帰ろうとするなど、神と人との関係は一筋縄ではいかないことを証明するかのように試行錯誤を繰り返しながら、それでもようやくヘブロン辺りまでやってくる。

ここで気になるのは、いくらかつての故地近辺であるとはいえ、何世代も経て別の種族が住んでいる「外国」に「帰還」したイスラエル人が、神の支援を受けて!女子供も皆殺しにして武力で侵略し占領するなんて、到底平和を愛好する神と民とは思えないこと。

その傍若無人な姿は、ちょうどその子孫であるイスラエルが、旧住民のパレスチナ人を暴力で弾圧して屈服させる今の姿と二重写しになる。

アロンとモーセ兄弟も、せっかく神から選ばれて指導者になったにもかかわらず、最後の最後のところで神を信じなかったというて、まず兄のアロンから命を取られてしまう破目に陥るのは、まことに身勝手極まりない処置だし、どこから眺めても好きになれない旧約の神ではある。  


 後援会をどっさり招いて公金で接待するや安倍蚤糞 蝶人
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岡野玲子著「陰陽師11白虎」を読んで

2020-01-09 11:54:24 | Weblog


照る日曇る日 第1335回



安倍晴明は師匠である保憲と共に温明殿の霊剣を修理することになるのだが、本巻にはその周到なる準備と、双方のヘゲモニー争いがいと物々しく描かれる。下位にあったはずの晴明は、いつのまにか上位者の保憲を上回る実力と声望を手に入れていくようになるのである。



 いざ行かむ死地に向かうは我ら1億2000万人 蝶人
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シノーポリ指揮・ドレスデン・シュターツカペレの「シェーンベルグ、ベルグ、ヴェーベルン作品集」8枚組を聴いて

2020-01-08 13:15:18 | Weblog


音楽千夜一夜第443回


2001年4月20日、ジョゼッペ・シノーポリはベルリン・ドイツ・オペラで「アイーダ」第3幕を指揮している最中に心筋梗塞の発作に襲われ、54歳の若さで夭折した。

この録音はそれに先立つこと数年前にドレスデン・シュターツカペレと録れた初期現代音楽の作品集で、マエストロの音楽愛と世界の名器の芳醇な音色に酔いながら、カラヤン、ブーレーズとは一線を画した、より親しみやすく、いうなればあまり肩を張らないごく普通の、美しいゲンダイオンガクを楽しむことができる。

私はこの傑作の森を繰り返し耳にしながら、1987年にフィルハーモニア管弦楽団と来日したジョゼッペ・シノーポリが、開館間もないサントリーホールでマーラーの5番を振った時のことを思い出していた。

サントリーホールに光文社の並河氏と私を招待してくれたのは、サントリー宣伝部の鈴木理雄さんだったが、あいにく私はその前日に「新宿ロフト」の酸欠ライヴ’(たぶん「有頂天」のケラの)で、アルテックの左スピーカーに左耳を押しつけられて身動きもならず、ほとんどて聴力を失っていたから、聴きどころのアダージェットも、幽かな音波としてしか聴き取れず、泣く泣く赤坂1丁目を後にしたのであった。

茫々30余年、あの鈴木さんも、並河さんも、そして好漢シノーポリも最早この世の人ではなく、ただ私だけが生き残って、こうして彼の音楽を聴いているのが面妖なこととも思えてくるのである。


意に満たぬマグロは捨てて一穫で千金狙う漁師を見たり 蝶人
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大島真寿美著「渦」を読んで

2020-01-07 13:18:02 | Weblog


照る日曇る日 第1334回


傑作「妹背山婦女庭訓」をモノした浄瑠璃作者、近松半二の生涯をば、渾身の力で描き尽くした大島選手の力作なりい。

どれだけ史実に即しているのか私などには分からないが、道頓堀界隈をうろつきながら操り浄瑠璃の底なしの魔力にとりつかれた若者の姿が、ぼおおと浮かび上がってくるから大したもんだ。

親友の並木正三、恩人の吉田文三郎の面影も忘れ難いが、「妹背山婦女庭訓」のヒロインお三輪をはじめ、半二を取り巻く女性たちの姿が生き生きと描かれ、そこがこの文楽小説の楽しみを倍加させている。

第161回直木賞を受賞したのも、当然だろう。


群衆ぐああ群衆雪崩群衆ぐああが群衆雪崩世界崩壊 蝶人
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岩波文庫版プルースト著「失われた時を求めて14見出された時Ⅱ」を読んで

2020-01-06 13:52:41 | Weblog


照る日曇る日 第1333回


「失われた時」を求める著者の飽くことなき追究はついに最終段階に達し、さしもの長大な大小説も最後の時の時を迎える。

その末尾の言葉の世界のありようとは、1)己が幾千、幾万夜を費やして孜孜として書き連ねてきた1万以上の原稿の内容と書法自体を総括するものであり、2)その冒頭へ蛇が蛇を呑むがごとく再帰するものであり、3)さらには、「本作を超える新作」の登場を予知するものでもあった。したがってこの作品は、3重の意味で「小説の小説」と呼ぶべき記念碑的な大作なのである。

本巻を読んで改めて痛感したことは、著者18番の「無意識的記憶」の跳梁ではなく、時が生者を死に追いやる老衰の影の無慈悲なまでに精確綿密な描写で、それは彼自身が51歳の若さで死ぬことを予感していたからこそ描けたのだろう。

末尾ながら吉川一義氏畢生の翻訳がとうとう大団円を迎え、つつがなく最終巻に到達したことは、一読者である私にとっても大いなる喜びであった。


いつの間にガムを噛むようになったのかNYヤンキースの田中投手 蝶人

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「夢は第2の人生である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」 第83回 

2020-01-05 12:54:32 | Weblog


西暦2019年長月蝶人酔生夢死幾百夜

母とり名人Aの元のBよりすぐにチョットコイと鳴かせ上手の犬だった。9/1

悪の権化のような現政権に忠義立てしたお陰で、思いがけず立身出世した私は、高官を退任したあとも、某民間企業の参与となって、何の働きもしないのに高給を支給され、それこそ、濡れ手に粟の人生を送っていたが、何故か虚しかった。9/2

主人公と、おばあさんは、死んでいるのに、みるみる甦っていく。9/3

500円のオカキと、千円のオカキの、どちらが総合的に美味しくて、お買い得かを厳しく問うたはずの私の修士論文は、次第に論考の切っ先が厚い岩盤を外れて、回転が鈍くなり、ついには論旨自体もあやふやとなって、空中分解してしまった。9/3

たった2人だけの美人幹部社員が、マムシに咬まれて青白い顔で息を引き取っていくのを、社長の私は、ただ見守ることしかできなかった。あんなに若くて美しかったのに!
9/4

S君とB君は、オオニシ・マネージャーの元で、新規巻きなおしの最出発をするというので、いろいろアドバイスをしてから、市ヶ谷で別れた。どうやら私は、彼らとは別にマルキン担当になるらしい。9/5

その男は、施設で暮している息子の食事の中に、覚せい剤を入れて、鈍い脳の働きを、活性化しようと企てたのだが、あえなく捕まってしまった。9/6

セイさんの詩集を作成した、シゲハラ印刷の社長のシゲハラ氏は、セイさんが、亡くした父親を悼む詩を読みながら、思わず落涙したのであった。9/7

新橋駅のプラットフォームのごみ箱の中の日経を探している姿を、電通のヨシタケ氏に目撃され、翌日その話を聞いた上司から、私は嫌みを言われたが、その悪癖は、依然として毎朝続けられた。9/8

くの字の姿をした黒い木だけが茂っている緑の大草原を、私たちは、黙々と歩んでいた。その半年後には、北陸の厳寒のニシン棟に押しこめられ、一人ひとり引きずりだされて、全員斬首される運命にあると知る者もなく。9/9

誰かに後をつけられているのではないか、という気がしたので、それをマクようにしながら、横浜市内のあちこちを逃亡していた私だが、突然カマキリのような顔をした男にぶつかった。カマキリが眼で合図すると、彼の手下たちが私を取り囲む。ヤバイ、北朝鮮へ送りこまれるのではないだろうか。9/10

イケメンを愛した処女は、手に手をとって南洋の離島へ駆け落ちし、たった一夜の情交で一児を孕んだが、誰ひとり、それを知る者はなかった。9/10

構想10年、私は抗争するヒロセ派とヨシダ派の和平を願って、一言では尽くせぬ苦労を重ねてきたのだが、ついに昨日、両者の手打ちの会を開催することができたので、「もういつ死んでも構わない」というに気持ちになりました。9/11

私が入社した会社の会長は、キンボウ教という新興宗教の教祖だった。私は、いきなりその会社の広報室長に任命されてしまったので、やむをを得ず朝晩の勤行を共にしていた。9/12

胸の袋に小さな小さな赤児を包み、白いパンツスーツをまとった背の高い娘が、駅の売店へ入っていく。もはやこの国の女には見られなくなった、長い緑なす黒髪を微かに揺らしながら。9/13

城主は、自分の長男と次男を自分の城に招き入れ、3日3晩にわたって接待していたが、最後の夜に、私を呼び寄せ、「これから長男の城に同行して、謀反の疑いがあるかどうかを報告せよ」と命じた。9/14

新入生になったばかりの僕は、廻りの女性がみんな大人の美人に見え、目移りがしてどうしようもなかったのだが、ある日ある女性から、「あなたはマゾだから、サドの私と組むとベストよ」と誘われて、以来ドツボに嵌ってしまった。9/15

私のまわりには優れたアーティストたちが大勢いるのだが、それらの大半が、3度の食事にも事欠くようなルンペンプロレタリアーティストなので、いったい誰をどのように支援すればいいのか分からなかった。9/16

私が鏡の前で、目も鼻も口も眉も耳も、いったん全部回収してから、改めて碁石を置くように置き直すと、たちまち、今まで見たことも無いような斬新な顔が出来上がった。9/17

東京の、いや日本中の散髪屋は、わたしの汚職疑惑のために全店閉鎖中なので、困り果てたが、ふと思いついてボーマルシェに頼んだら、セルビアから腕利きの理髪師を寄越してくれたので大助かりだった。9/19

K君と一諸に一膳飯屋に入ったら、消費税値上げゼロの超格安魚メニューがたくさん並んでいたので、どんどん発注してみたら、外国から輸入した名前も知れない青い熱帯魚とか腐臭を放つ馬鹿貝などばかりで、私はゲロを吐いていたがK君は美味そうに平らげた。9/21

山奥の土地が塩漬けになってしまったので、ヤクザに頼んで転売してもらったら、そのヤクザにだまし取られてしまったので、仕方ないから親分に頼んで、一家で身売りして組員になってしもうたんや。9/22

4月4日と7日の日に、一緒に四つ尾山に登って、分かれ道でギフチョウを見ようということになった。9/23

東京行きの最終電車に乗り遅れたので、次の新宿行きの鈍行に乗り込んだら、どの車両のどの座席も、ぐうたれたリーマン野郎どもが座席を占拠して、眠りこけていたので驚いた。9/24

小町通りを歩いている赤瀬川原平氏の隣には、朝顔の柄の浴衣を着たこおろぎ嬢が歩いていて、右の耳にだけ青い色をしたピアスをつけていた。9/25

私がちょっと油断していると、ガラスの中の水の中に浮かべている鉄器が、ドスンと落ちて、器を壊して水浸しになってしまうので、もう朝まで寝ていられないのだ。9/26

東京教育大の就職課に革マルが乱入して、企業や団体からの就職票を、あたりにぶちまけた。彼らが思いっきり乱暴狼藉を働いて立ち去ったあと、なぜか地べたにリカちゃん人形、ペコちゃん人形、マルちゃん人形、エースコック人形が横たわっていた。9/27

青山の高級マンションで独り暮らしをしていたモデルが、酔っぱらったまま浴槽に入り、眠りこけている間に、どんどん高温になり、ようやく発見された時には、白骨入りのスープと化していたのだ。9/28

「ともかく、おらっちはとても疲れたから、会社は休む。なんかあったら家に電話してくれ」と、私はカド君に頼んだ。9/29

「念願叶って、とっても良いところに就職できました」と大喜びしている学生がいるので、「どこに決まったの?」と訊ねたら「ベルギーのアントワープの小学校です」というのであるが、私はなんというてよいのか分からなかった。9/30

  「100引く7」すぐに出来たがその次の「93引く7」で躓く 蝶人
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すべての言葉は通り過ぎてゆく 第76回

2020-01-04 11:31:11 | Weblog


蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話第332回


「フェーバーさん、12月になりましたが、何か一言。」「何もないね。」12/1

最近では殆ど見かけなくなった沢蟹が道端を這っていたので、道路の下を流れる滑川の土塊の上に投げ落としたのだが、そのまま数日間動かず、やがて姿を見なくなってしまった。そういう日常の些事がいつまでも気になる。12/2

10月24日早朝、今井和也氏、肺炎にて卒す。齢八十八。余のリーマン時代の比類なき上司なりき。深甚なる感謝と哀悼を捧げます。12/3

立教大の倉田徹氏語れり「香港は希望に満ちた絶望の場所」
さすれば、我らが住むのは「絶望に満ちた絶望の場所」なるか。12/4

アフガニスタンで1600本もの井戸を掘るなんて、他の誰が出来るだろう。そんな傑出した偉大な人物をこの世から抹殺するとは!12/5

クラシックの演奏会で(協奏曲の独奏者に対してもだが)、もうプログラムが終わっているのに、執拗にアンコールをせがむ客はみっともない。さっさと引き上げていた吉田秀和氏夫妻の姿が、懐かしく思い出される。12/6

突如始まった公凶放送の「大震災予告番組」。確かにいつやって来てもおかしくはないのだが、いま鳴り物入りで放送する番組でもない。お前が公共放送なら「桜を見る会大特集番組」をやるべし。12/7

是枝裕和監督の最新作「真実」の製作ドキュメンタリーを衛星放送でみたが、撮影を振り回し演出に口を出す「大女優!?」カトリーヌ・ドヌーヴの高慢さに頭にくる。黒澤や大島渚なら前夜の撮影が遅いと翌朝遅れるなどの俳優の我儘は許さないだろうな。12/8

アフガンの民草の生存のために灌漑工事の先頭に立つ中村哲医師の在りし日の姿を映像でみているうちに、それが旧約聖書に出てくるモーセの英姿と重なってきた。12/9

カール・ベーム指揮ウイーンフィルによる「第9」の演奏を、家も潰れよという大音響でCDで聞いたら、無事にお祓いと年越しが出来たような気持ちになりました。12/10

天皇とか天皇家の誰それが伊勢に行ったとか陵に参拝したとか大嘗祭とかに参加したとかいうてるけど、これらの行為は「象徴天皇」の行事と無関係。まして我々が生存して悪戦苦闘している世界とは何の関係も無いなあ。12/11

「負ける建築」の隅研吾が、コンペで勝ちまくる不思議。指揮者のドダメルと同様、いったいどこがいいのかさっぱりわからんずら。12/12

今から誰かに恋をして、一緒になって、子を育てながら、死ぬまで生きていくなんて、想像しただけで胸蓋がる。歳をとるというのはそういうことだ。12/13

べルリン・フィルの「デジタル・コンサートホール」でテオドール・クルレンティスが指揮するヴェルディの「レクイエム」を視聴する。途中でソプラノのザリーナ・アバーエフがムジカ・エテルナ合唱団の中に入って歌い出したのには驚いたが、何も起きない普通の演奏だった。12/14

11日、フランス映画社の柴田駿さん、慢性閉塞性肺疾患で卒す。齢78歳。世界の名画を紹介し、若い才能を発掘、支援した功績は大きい。もういちど試写会であの懐かしい笑顔と会いたかった。哀悼。12/15

それにしてもコンマスはじめオケのメンバーはかなり居るのに、小澤、佐渡以降ベルリン・フィルに日本人指揮者が客演しないのはどういうわけだろう。彼ら以上の演奏ができる男女のマエストロはたくさんいると思うのだが。12/16

アンナ・カリーナも死んじまったかあ。79歳だったかあ。まだJLGは生きているけど、やっぱりそのうちに死ぬんだろうなあ。そして実際に死なれてみると寂しいだろうなあ。12/17

テレ朝「やすらぎの郷」は世にも珍しい後期高齢者専用番組。棺桶に両足を突っ込んだ老俳優をじゃんじゃん登場させ、亡くなったらただちに「徹子の部屋」で追悼してもらいつつエンドレスで放送してもらいたいずら。12/18

冷たい雨がシトシト降って、あんまり生きていく気分になれないなあ。いつものようにベートーヴェンのV協奏曲の出だしの太鼓が鳴るとこ、交響曲4番の「出だしを聞いてみたがあんまり効き目がないのう。コウチャン、ケンチャンはどないしとるんやろな。12/19

NHKのFMで毎年恒例のバイロイト音楽祭の放送をやっている。今夜はティーレマンの指揮で「トリスタンとイイゾルデ」だが、イゾルデ役のヘトラ・ラングの声に違和感がある。火曜日は同じティーレマンの「ローエングリーン」だったが司会の林田理沙がローエンの「エン」を一音下げて発音するのが気になって、集中できなかった。12/20

1992年3月31日のベルリンフィル&チェリビダッケの一期一会の演奏を視聴す。ブルックナーの7番の交響曲の第2楽章の後半が、こんなに精妙極まり無い音楽だったとは夢にも思わなかったなあ。12/21

朝日の「文化・文芸」欄に、フランス映画社の柴田駿氏を悼む蓮寶重彦氏の「ゴダールの旗のもと出会った」と題する感動的な文章が掲載された。しかし映画担当の石飛記者はなんでもっと早く映画欄で自らの弔文を載せないのか甚だ疑問なり。12/22

「М-1グランプリ」は、「ミルクボーイ」や「かまいたち」より3位の「ポコパ」の方が斬新かつ魅力的で、圧倒的に面白かった。特に松陰寺太夫が左向きになって、シュウペイが「こっちが正面だったのか」と言うた時、コント55号の衝撃と重なった。彼らを審査員が1人も支持しないのは謎だ。12/23

いま一番面白い番組はNHK-BSの「ガイロク-街頭録音」かなあ。それにしてもあんな乱暴ともいうべき取材に応じて、自らの過去をあけすけに語る行き擦りの民草の人世模様に驚く。12/24

NHK-BSの「空港ピアノ」をみていると、この楽器が人世の喜びや悲しみと深く結びついていること、そして世界には、私たちの知らない数多くの人々が、実に様々な思いを抱きながら暮らしていることが如実に窺い知れて、殊の外印象深いものがある。12/25

古くはチベット、最近は香港人への弾圧も酷いが、中国のウイグル人へのそれは、かつてのナチスヒトラーの民族皆殺し政策を思わせる。その元凶たる習近平を「国賓」待遇で迎えるという安倍蚤糞は頭がおかしいのではないか。12/26

IR)とはIntegrated Resortの略称で邦訳すると「統合型リゾート」で、それは何かというと「国際会議場・展示施設などのMICE施設、ホテル、商業施設(ショッピングモール)、レストラン、劇場、映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などと一体になった複合観光集客施設のことで、カジノとは何の関係もない。12/27

おぎゃあと誕生する赤ちゃんの数が、とうとう90万人を切った。私腹を肥やし専横を極める超右翼ファシスト安倍蚤糞の夜郎自大への絶望と反発が、この数字に象徴されている。12/28

群衆雪崩で群衆崩壊して安倍蚤糞が政権丸ごと押し潰され、地獄の底に呑みこまれれば万々歳ずら。12/29

こないだこけて手足に出来た傷に、阿蘇製薬の防水・防菌の「クイックパッド」を貼ったら水泡が潰れず、カサブタも出来ず、速やかに治った。広島・長崎に原爆が落とされた時に、せめてこれがあったならと、詮無いことを思った。12/30

京都の立命館大学の理想は、卒業生がアメリカ大統領になることだそうだ。この国が完全な米属州になることを、人材のグローバル化と意識的、無意識的に取り違える底抜けの愚かさと時代錯誤には呆れるほかはない。12/31


人死なばただちにそれを記入するウイキペデイアは閻魔大王 蝶人
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西暦2019年師走蝶人花鳥風月狂歌三昧

2020-01-03 15:30:33 | Weblog


ある晴れた日に 第593回


人も世もたそがれてゆく師走なり泣くも笑うもこの時なるぞ

「卑弥呼観光」なるバスとすれ違うスンゴイ名前をつけたものなり

立教大の倉田徹氏語れり「香港は希望に満ちた絶望の場所」

横須賀の大滝町の「朝廷」のラーメン美味しスープもみな飲む

今すぐに死んでもよさげな奴は生き死んではならない人が死ぬ冬

アメリカを78年のその昔騙し撃ちにした日曜日今日

 愛犬ムク死んでのちはご近所のタロウ、ジロウ、ゴンちゃんを可愛がるのみ

国蝶のオオムラサキと共に滅びるや民主主義絶滅危惧国ニッポン

宇宙にも存在すると人はいうわが心底の暗黒物質

民草は嘆き悲しみ憤るされど独裁者は知らん顔なり

耕君がナチスドイツに生まれていたら障害者ゆえ殺されていたかも

石橋の「非武装中立論」を非現実的と難じし中曽根死にたり 

中曽根も石橋も死んで遺されし「非武装中立論」なお非現実的か
 
シューベルトの「未完成」を聴き思うこといかなる生も未完成なり 

八千草薫と同年生まれの今井さん彼女と同じ10月24日に死んだ

佐々木家の紋付の柄も消え失せて下駄のてらこは店を閉じたり

鎌倉の銀座アスターを尋ぬれば美形のウエイトレスが給仕するなり

あれほどの赤子を死なせたのだから土下座くらいで済むはずはない

君の名を唱えつつ死んだ兵のため土下座のひとつもするべきだった

時ならぬ時に雲古がしたくなる海外旅行はだから行かない

夜が来て朝になっても寝られない海外旅行はだから行かない

谷底のデクノボーどもせりあがり世界一列高山砕け

常連が7割いちげんさんが3割で収支とんとんと武ちゃん語れり

カトリーヌ・ドヌーヴに指摘され長いセリフを短くしちゃう是枝裕和

ピアニストとしては一井流だが指揮者としては二流半のアシュケナージ

格下にとめどなく負ける錦織を己のごとく哀れに思う

お馴染みの定番映画をぐるぐると2年周期で廻すBS3
 
GUの大バーゲンで身の回り豪華絢爛に装えば王侯貴族になりし気分か

子が腹に居ると知りてメトからの招きを固辞した佐藤しのぶよ

知らぬ間に大人になりし後藤久美子ゴクミに似たる娘生みたり

30年務めし気象庁を辞めてテレビ局のお天気キャスターになりし61歳

アパレルで30年務めて福島で被災者に尽くす59歳

6時過ぎて起きてこぬ妻よもしかして一人寂しく死んでしまったか

万歳を48唱したならばさすがの右翼も疲れただろう

緒方さんも中村さんも居なくなり暗くて寒い日本の冬です

   陋習に腐り果てたる帝国の喉元を撃つ怪人ゴーン 蝶人




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なにゆえに第71回~西暦2019年師走蝶人花鳥風月狂歌三昧

ある晴れた日に 第594回

なにゆえにかくまで心虚しいどこかで臓器が死んでいるのか

なにゆえに我らはかくも死に急ぐ生まれたからには死ぬ他ないので

なにゆえに我らの疑惑に答えない最低最悪の政治家アベ

なにゆえに香港人はあくまで戦う自由と自立に目覚めたゆえに

なにゆえに中村医師は殺された1600の井戸を掘りしを

なにゆえに「豊かな国」のシンゾーはトランプの言いなりに支払う

なにゆえにこの頃コウ君は絵を描かなくなったもう45歳だもんな

なにゆえにシンゾーは「桜の会」の幕引きを図るお前の罪は許されないぞ

なにゆえに伊藤恵の解説は素晴らしかったバックハウスに心底惚れ込んでいた

なにゆえに中村医師が惜しまれる誰にも出来ないことをやった

なにゆえに門札を出さない家が増えた世に棲む日々を隠れて過ごす

なにゆえに我らは歌をうたっている福島原発事故の後でも

なにゆえに車屋商店は潰れてしまった消費税値上げのレジ対応できずに

なにゆえに広島長崎福島の後でも楽しい歌を詠む

なにゆえにレクイエムをCDにして商売にすることができるのか

なにゆえに小泉はCOP25で恥をかくそれがシンゾーの狙いだから

なにゆえに県道でバッタリ転ぶ両手両肘から血が出て痛い

なにゆえに中村医師は灌漑に乗り出した「医は仁なり」を地で行った

なにゆえに安倍蚤糞は逃げ回る捕えて針を千本呑まそ

なにゆえに池江璃花子は頑張ったパリ五輪には絶対出たい

なにゆえに佐藤しのぶはメトを固辞した可愛いわが子をしっかり産むため

なにゆえに師走も終わりに近づいていく今年も何も出来なかった 

なにゆえに朝日歌壇は掲載しない滑って転んだ血塗れの葉書

なにゆえに停め方が悪いとイチャモンつけるお前のお陰でバスが出ない

なにゆえに聖夜聖夜と騒がなくなったもともと日本人には関係がない

なにゆえに請求権は解決済み?企業は個人に払ってよいのだ

なにゆえに紅谷の「クルミっ子」は大人気たちまち歯がとろけちゃうのに

なにゆえにするべきことが捗らず徒に日々が過ぎてゆく

なにゆえに保険年金がとろけゆく安倍蚤糞の無策のゆえに

なにゆえにタヌサブローに口笛を吹くムクの仲間と思うがゆえに

なにゆえにコウ君はハンカチをトイレに捨てる濡れたものをポッケに入れたくない

なにゆえに君も僕も閉塞してゆく今は黒の時代なるや

  肥りたる豚のみ激しく跋扈して痩せたソクラテス絶滅したり 蝶人
コメント
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