村上春樹のねじまき鳥クロニクルは満州とこれをめぐるソ連との戦いについての描写が詳しく、ソ連やモンゴルの軍人によるによる残虐行為が描かれ、蒙古によるキエフ侵攻の話というのもある。もちろん、日本軍による残虐行為も描かれており、戦争ではだれしも50歩100歩。人間は最も進化した動物というが、それは大脳の働きだけで、結果としての道具の発達は、自らを助ける一方、互いを殺し合いのためになった。そういう意味では人間の進化は全ての動物の中で最も愚かな方向に向かったといえる。
大小あらゆる情報が世界中で共有され、世界の人がそれらの多くを判断することができるようになった。世界中が不安視する中、やるぞやるぞと脅しながら、本当に一方的に攻め込み、殺戮をおこなってしまったロシアによるウクライナ侵略は、戦争と呼べるような代物ではなく、ロシアの行為を理解する余地はない。日本にしても、北の守りを強固にして備えた上で世界の民主主義を守る国家群の一員としての覚悟が必要だ。
世界を牽引する大国を目指していた中国もロシアがまさかこんなことをするとは思っていなかったのではないか。さらには、今度のことで民主主義国家群による全面的な経済制裁がわずか一週間でこれほどのダメージをもたらすものとも予想していなかっただろう。デジタル元によって通貨危機を回避するシステムを作ろうとしているようだが、グローバル化した世界で、金融という経済の循環システムを失うことは中国といえども恐ろしいことだと目の当たりにしたに違いない。今後、ロシアとともに悪の枢軸呼ばわりされかねない道を選ぶのは耐え難いことだろう。今、身を挺してでもロシアの暴走を止めたらその存在感を世界に知らしめ、さらには尊敬を集める国となることができるだろうに、残念ながらそんなことはできそうにない。このままでは、漁夫の利を得るどころか、しょせん二流の成り上がり国家だと嘲笑されるのが関の山だ。
今回は、少しネタバレがあるのでご注意ください。
2月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:1320
ナイス数:69
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)の感想
これ以降の村上長編作品をすべて読んだあと、やっとこの作品にたどり着いたので、なんだか不思議な感じだ。村上の一つの長編作品を読み終えると、次の作品を待ち遠しく思っていたが、この作品がその後の長編小説群の出発点だった。綿谷家の秘密が最後までわからなかった。ナツメグと僕が持っていた癒しの能力とはなんだったのだろう。"想像することのできない"私にはわからず、とても残念。想像することのできる人にはわかるのだろうか?
読了日:02月20日 著者:村上 春樹
みんなの園芸店 春夏秋冬を楽しむ庭づくり (福音館の単行本)の感想
可愛らしい絵に惹かれて手に取り中を読んでみたらわかりやすい言葉で、でも実はとても専門的に説明が書かれていて購入。傍らに置いて季節ごとに読み返しながら、お庭と共に楽しく過ごしたい。
読了日:02月11日 著者:大野 八生
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)の感想
猫に続いて妻がいなくなり、やっと物語が動き出した。1Q84や騎士団長殺しに通じる人物や描写があり興味深い。加納姉妹の妹の方が霊媒師だったということの説明がやや唐突。スマホに発信者番号不明の電話がきたら出るかな?何度も鳴ったら一度くらい出てしまうか。こんなところで世界を動かすあなたはかえるくん? 何はともあれ、いよいよ最終巻へ。
読了日:02月11日 著者:村上 春樹
読書メーター
旗色は鮮明にして
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