10年後無くなっている仕事、というのが挙げられるようになって久しい。曰く、その仕事に従事している人は、AIに仕事を奪われる、とのことだが果たしてそうだろうか。
人間には人間にしかできないことがある。たしかにそろばんをはじくだけをやっていた人は、電卓の出現とともに仕事は無くなっただろうが、はじき出された結果をどう使うかを考えていた人は、電卓を使うようになってより高度な仕事をすることができるようになった。
この前、板金の熟練工の仕事をAIに覚えこませ、ロボットアームで処理をするということをやらせていた。この先、熟練工の技術はAIが覚えて、人間でそれができる人はこの先消えてしまうだろう。でも、そのAIが覚えた技術の先の展開が人類の目の前に出現しつつあるのだと思う。
医療技術にしても、症状と検査データを入れたら、AIが相当の部分まで診断してくれるだろう。いくら記憶力のいい医者が頑張ったところで、AIの有する医療知識には遠く及ばない。医者の仕事の多くはAIが暴走していないかの確認と、AIの判断に対する承認だけになるかもしれない。それだけにこの先、医者のできることは大きく広がっているともいえる。
AIの知識はこれまでの人間の経験の積み重ねであって、これまでに誰かが経験してきたことだ。スタートの時点でそれが効率の悪い、間違っていたとしたら、どんどん悪い方向に向かっているともいえることを忘れてはいけない。人類に求められているのは、AIの力を基礎にはするものの、これまでとは別の観点がないかを考えながら発展していくことではないか。
恐れずに使う