鵜という鳥は魚を噛まずに丸呑みする。そんな鵜の習性から、意味をよく考えずにそのまま受け入れることを鵜呑みにするという。他人の言うことをなんでも鵜呑みにしていたら大変なことになる。
ロシアのプーチン大統領のロシア国内での支持率は80%を超えているそうだ。インターネットの内容に制限がかかっている上、テレビでロシア国営放送ばかり見ていたらそうなってしまうのもむべなるかな。そうかといって、NHKにしてもロシア側からの報道は、ウクライナ、欧米からのそれらと比べると少ない。ロシアの言い分を見聞きして勘違いする人が出てくることを危惧してのことだろうか。マスメディアで流される各種の情報を何も疑うことなく盲目的に信じてしまう、すなわち鵜呑みする人はたくさんいるし、そういう人たちがそんなものを見てロシアに肩入れしてしまったら、欧米の一員として行動している日本としてはたしかに困る。
一事が万事、物事には裏と表があり、それぞれの立場の人により見方、捉え方はまったく異なる。そして、他人の書いたことや言ったことというのはある立場から見れば正しくても、別の立場からすれば大嘘にもなる。プーチン大統領は4月12日ウクライナの首都キーウ近郊ブチャの民間人殺害は「フェイク(偽情報)」と主張した、さらに(ウクライナでの)悲劇に選択肢はなかったとも。こちらからだと、欧米の垂れ流す情報はすべて嘘だと大嘘をついているように見える一方で、彼の見ている世界のなかでは、自身の言っていることそのすべてが真実だ。
そんなプーチン大統領を今世紀最悪の虐殺者にしたのは、ある意味ロシア国民である。プロパガンダに少しずつ慣らされいつの間にか独裁者に仕立て上げていた。これは何もよその国や地域の問題ではない。日本だって、ときどき長期政権が現れることがあるのだから油断はできない。
世界の平和が危機に瀕している今こそ世界の一人一人が自らの力で物事を考えなくてはいけないところに差し掛かっている。幸い日本の情報統制は今のところそれほど厳しいものではない。その分、インターネットでさまざまな意見を読み、情報を集めることができる。誰かが押しつけてくる情報を鵜呑みにしてばかりいるうちにいつの間にか何も知ることのできない世の中なっていたなんてことにならないようにしたい。
いよいよ病理学会