こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

手と紙を使って考えよう

2013年12月05日 | 電脳化社会
私はあまりキレない。というか、キレがない。とくに50を目前に控えた最近はそうだ。

だが、ある局面によってはキレるときもある、ということをわからせてもらえるようなことがあった。

というのも、先日、病理診断のコンサルテーションの依頼を引き受けるということがあったのだが、標本を診ておどろいた。

やや大げさな言い方になるが、定説と違う所見があったのだ。
顕微鏡を通して見えている所見は全く間違いないのだが、なぜそんなことになっているのか、病理組織学的に説明がつかない。

これは困ったと思って、あれこれ思案していたのだが、なかなかいい考えが出てこない。もちろん、論文も探してみたが、ない。
一晩考えたが、やっぱりダメであきらめかけていたところで、ヒントが浮かんだ。

明日からの学会の準備のための原稿を読んでいたときに、この疑問に関することを思い出した。
ちょうど紙と万年筆をもっていたので、図を書いたりしていたら、昔、似たような症例を経験していることを思い出し、それをもとに考えを進めることができたのだ。


最近、何をするにもキーボードを叩いて、文章を書き、わからないことがあったら検索して、忘れそうなことは写真に撮って、というようなことをして、何でも機械に任せていた。
だが、これがよくなかった。

私の頭は機械の一部ではない。

機械から解放されるには、自分で手を動かし、紙などに働きかけねばならない。
人間はアナログであり、そうあり続けることは大事である。
手を動かして、頭のキレを取り戻すことができた。

人間は機械のせいで、いくつもの大切な能力、機能を失いつつあるのではないかと心配になる。


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