”病理”という言葉をインターネットで検索すると病理検査という言葉ばかりか出てきて参る。
そこで、”検査”をググってみると『(何らかの基準に照らして)異状や悪い所がないかどうか調べること。』と説明される。
私たち病理医が日常行なっているのは、検査ではなくて診断業務だ。診断とは『一般的に診断とは、医療においては健康状態あるいは病気を患者の徴候や他方向の結果から見分ける診断手続きである。結果に達するこの過程を診断と呼ぶ。 診断と言うプロセスは、いくつかの分析で検査する広い範囲を扱う。このような検査はいくつかの推論の上に基づいており、これは診断方法と呼ばれる。(ウィキペディア)』であって、正常組織からのはずれ具合を目で見て測定しているわけではない。もちろん、診断技術内には腫瘍細胞の核異型の有無や構造異型といったものの判断があるけれど、これらはいわば病理診断内での検査(確認)項目だ。診断とは、病気の本態そのものを見極めることであり、病理医が行なっているのは病理診断だ。
”病理検査”というような場合は、いわば”見た目、何もないところから”組織を取ってきて標本を作って調べるようなこととなる。でも、こういうことはまずない。なぜなら、病理診断のために組織を取ってくるということは、体の一部を切り取ってくる、ということで患者さんにとって侵襲が加わることだからだ。
病理組織学的検索、というのはまず誰かのどこかに”病気”が存在していることが前提で、そこから組織を生検を含む”手術”をして取ってきたものを病理医がその病気を診断するということなのだ。
(里見弴邸)
健診の延長で病理医が関わることもある。代表的なのが”婦人科細胞診”だ。子宮頸癌の診断のために行う細胞診は病気の有無に関わらずスクリーニングとして行うものだ。細胞検査士という資格を持った人(臨床検査技師もしくは衛生検査技師資格が必要)が異常細胞の有無を判定する。ここまでは、検査となる。異常細胞があった場合は、生検診断に進む。
乳癌健診も同じで、画像検査などで異常を示す病変が見つかったら、生検診断に進む。大腸がん検診なら、血便の有無を検査して、血便があったら内視鏡検査を行い、そこでポリープ(病変)が見つかったら、生検を行なって診断に進むのだ。
医学教育を受けた病理医による”病理診断”を行なわれてはじめてその病変がどのようなものか確定される。だから、病理診断は”医行為”と言われるのだ。
では、なぜ病理は検査と言われてしまうのだろう。
(こんがらがっちゃってきたので、続きは明日)
検査と診断は異なる