きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

平和産業への転換① 米コネティカット州の挑戦 軍需依存脱却へ委員会

2013-08-15 18:37:32 | 平和・憲法・歴史問題について
平和産業への転換① 米コネティカット州の挑戦 軍需依存脱却へ委員会
「武器しかつくれない州では未来がない」


「武器製造でなく平和のものづくりの州へ」―。軍需産業で栄えてきた米北東部コネティカット州では、国防支出の自動削減が進むなか、武器製造への依存をやめて生活に役立つ産業を重視した経済へ転換しようという議論が始まっています。今年5月には「州の将来を考える委員会」の設置を決める法案が成立しました。
(コネティカット州ニューヘイブン=島田峰隆 写真も)



コネティカット州
米国北東部にあり、英国から最初に独立した13州の一つ。州都はハートフォード。州ホームページによると面積は約1万3000平方キロ(長野県とほぼ同じ)、人口は約340万人。ニューヘイブンは人口約12万人で、ブリッジポートに次ぐ州第2の都市。



コネティカット州グロトンにある米海軍基地のそばに展示されている世界初の原子力潜水艦ノーチラスを見学する市民=7月31日


近隣の州も注目
「軍需産業に依存する経済構造を本格的に変えようという委員会は全米でも珍しい。隣のマサチューセッツ州などからも問い合わせが来ていますよ」
「将来委員会」の設置法案を州議会に提出したトニ・ハープ同州上院議員(民主党)がうれしそうに話します。法案は州南部ニューヘイブンの平和団体や環境保護団体、州の機械・航空労働者の労働組合などとともに起草しました。委員会は今年10月に第1回会合を開きます。
コネティカット州は第1次世界大戦のころから軍需産業を基幹産業として発展してきました。航空機用エンジン製造会社プラット・アンド・ホイットニーなど大小の軍需企業が工場や施設を置き、冷戦時代は戦闘機のエンジン、原子力潜水艦、レーダーなどを製造。世界初の原子力潜水艦ノーチラスは同州のエレクトリック・ポート社が建造しました。
しかしソ連の崩壊を機に国防総省からの発注は減り始め、特に最近は国防支出の自動削減で発注が増える見込みはあまりありません。
州の失業率は8%台で高止まりが続いています。ニューヘイブン市内を歩くと「フードスタンプ(低所得者向けの食料援助制度)利用可能」と張り出した商店が軒並み並び、生活の苦しさをうかがわせます。
「最近は政府の予算の都合で戦闘機エンジンの発注が急きょ撤回されることもあった。この10年余り解雇が相次ぎ労働者の数が6分の1になった工場もある。武器しかつくれない州では未来がないことを多くの市民が懸念している」
こう語るのは州内の軍需企業で働く労働者など8000人を組織する労働組合、機械・航空労働者国際委員会のジョン・ハリティ委員長。「『将来委員会』の設置は市民が必要としているものだ」と強調します。



トニ・ハープ議員

持続可能を重視
委員会の最大の目的は「州の経済刷新」を図ることです。「地球環境にとって持続可能で民間に役立つ製品の生産を奨励することを重視し、軍需産業を転換すること」を研究し、来年12月までに報告書をまとめます。
委員会には、行政の関係者だけでなく平和組織、環境団体、労組、軍需産業、金融機関の代表者や学者なども参加します。具体的な議論はこれからですが、労組などは、武器製造で培ってきた技術を用いて、雇用増が見込める自然エネルギー分野の開発などに力を入れたいとしています。
ハープ議員は「実現できれば環境分野での技術革新を訴えるオバマ政権の政策にこたえたものにもなる」と指摘します。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年8月13日付掲載


コネティカット州の取り組みは、沖縄などで「基地がなくなると経済が成り立たなくなる」って論理に打ち勝って、基地を撤去して、基地に依存しない経済をつくっていく闘いに大いに励みになりますね。