きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

日本経済を読む 日本経済は回復軌道に乗ったのか②

2013-08-30 13:08:43 | 経済・産業・中小企業対策など
日本経済を読む 日本経済は回復軌道に乗ったのか②
的を得ていない政策


桜美林大学教授 藤田実さん

安倍晋三首相は自らの経済政策(アベノミクス)の効果を自画自賛していますが、本格的な経済回復の軌道には乗っていません。それは当然で、アベノミクスは的を射ていないからです。

消費増の中身
アベノミクスの公共事業拡大政策は需要不足を短期的に公共事業の拡大で解消し、市場に大量の資金を流し込めば、インフレ期待で消費が盛り上がるので、設備投資が増大するだろうという想定の下でなされています。異常な金融緩和政策も、円安効果により輸出が拡大し、それにより企業は収益を拡大させるので、設備投資と雇用を増大させます。そのことによって消費の増大と連関し、経済は成長軌道に乗るというように想定しているのです。
4~6月期のGDP速報で、家計最終消費支出は0・8%増で、3期連続でプラスとなりました。これだけ見ると消費は拡大しているように見えますが、「家計消費状況調査」(季節調整値、名目、2010年=100)によれば、消費支出は4月から6月まで、10年水準を下回っています。
また7月の「消費動向調査」によれば、消費者心理を表す消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)は前月から0・7ポイント低下の43・6と、2カ月連続で悪化しています。マスコミでも、宝石や高級車などの高額消費の増加が報道されましたが、これは株価上昇などの恩恵を受けた高所得層を中心とした消費行動であって、一般消費者にまでは波及していません



店頭で商品を選ぶ買い物客=東京都内

構造的な不足
このように公共事業の拡大や異常な金融緩和政策を行っても、設備投資や個人消費は持続的に拡大する傾向にはありません。なぜでしょうか。それは日本経済の停滞は短期的な需要不足によるのではなく、日本経済の構造変化と企業行動に起因する構造的な需要不足によるものだからです。
一つは少子高齢化が進み、旺盛(おうせい)な消費行動が見られなくなったからです。いわば、日本市場自体が縮小しているのです。第二には、社会保障の切り下げなどで将来不安が高まり、消費を抑制するようになったからです。第三にリストラによる雇用の不安定化や非正規雇用の増大、長時間労働の蔓延(まんえん)などによって、労働者が安定的に消費できない環境にあるからです。第四には家電品などの物的な需要は飽和状態に陥る一方、新しい商品開発やサービスが停滞していることです。第五には内需が停滞していることで、企業は海外展開を強めており、国内での設備投資が落ち込んでいることです。
こうした構造的な要因と企業行動により、日本経済は内需が拡大しない状態にあり、そのため需要不足に陥っているのです。
ですから、公共事業や金融緩和で企業収益を高めても、実体経済停滞の原因で艦ある消費と内需の拡大につながるような政策を打ち出さない限り、日本経済の本格的な回復はありません。
その上、消費税増税を決定すれば、賃金は増加しない一方、物価上昇と消費税負担で家計消費そのものを縮小させ、日本経済に大きな打撃を与える危険性があります。
(この項おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年8月22日付掲載


消費増の内訳が眉唾だって話しだけでなくって、個人消費不足の構造的な問題だって言われれば、ここ数年で解決できる問題ではないなあ…。
確かに、消費高齢化、社会保障の切り捨てによる将来不安などで、消費市場そのものが小さくなっている。
ここを解決するために政治の力が必要です。

日本経済を読む 日本経済は回復軌道に乗ったのか①

2013-08-30 12:48:44 | 経済・産業・中小企業対策など
日本経済を読む 日本経済は回復軌道に乗ったのか①
公共事業と輸出頼み


安倍晋三政権は、足元の日本経済の状況を判断して消費税増税を強行しようとしています。政府が宣伝するように景気は「回復」してきているのでしょうか。日本経済の現状と構造的問題について、専門家に語っていただきました。シリーズで掲載します。

桜美林大学教授 藤田実さん

12日に発表された2013年4~6月期の国内総生産(GDP)成長率は実質で0・6%増で、3期連続のプラスとなりました。この発表を受け、安倍首相は「景気は順調に回復している」との見方を示しました。



自動車輸出日本一の名古屋港にあるトヨタ自動車の積み出し基地

家計消費低迷
しかし、GDP成長率を項目別にみると、内需のうち家計最終消費支出は実質0・8%増で、1~3月期と同じでした。民間住宅はマイナス0・2%、民間企業設備投資はマイナス0・1%でした。これに対して、公共事業とほぼ同義である公的固定資本形成は1・8%増、財貨・サービスの輸出は3・0%増でした。
GDPが3期連続プラス成長といっても、結局、公共事業費と輸出頼みだったわけです。公共事業は、1月に緊急経済対策として3兆8000億円を計上し、特別に国が予算を支出する地方公共団体の分まで含めると5兆5000億円、13年度の当初予算の5兆2853億円の公共事業費と合わせると、約10兆円になります。輸出は、アメリカと自動車に依存するものでした。2013年上期のアメリカへの輸出額は、前期比で11・5%増と地域別で最大の伸びとなっています。
品目別では、自動車などの輸送機器が前期比23・5%増と最大です。公共事業の大盤振る舞いとアメリカへの輸出と自動車輸出がGDPを押し上げたのです。
こうした公共事業の拡大と円安を受けて、4~6月期の企業収益は拡大しています。日本経済新聞によれば、13年4~6月期の上場企業の連結経常利益は前年同期に比べて42%増加し、自動車などの輸出企業だけでなく小売りや運輸といった内需関連も好調で、非製造業の利益は金融危機前を上回って最高水準となりました。

非正規77万増
他方で、雇用と賃金は増加したでしょうか。雇用者数は13年1月から6月までに69万人ほど増加していますが、正規雇用者は同時期に10万人減少する一方、非正規雇用者は77万人増加しています。雇用者報酬(季節調整値、名目)は1~3月期で0・6%増、4~6月期で0・3%増と、ある程度増加傾向にありますが、これは雇用者が増加したこと、一時金が増加したことによります。「毎月勤労統計調査」によれば、所定内給与は1月から6月まで連続してマイナスとなっており、基本給は上がっていません。
以上のようなGDPと企業収益、雇用と賃金の指標をみれば、大幅な財政支出と異常な金融緩和により、力ずくで一定の経済成長を実現し、企業収益は拡大しました。しかし、雇用や賃金などの労働指標はほとんど改善していません。
公共事業と輸出に依存した経済成長では、本格的な回復軌道に乗ったということはできません。本来の経済成長は、輸出や公共事業を起点とするものであっても、国内設備投資の増加と雇用増・消費増と連動することで、はじめて安定的な経済成長となるからです。
公共事業は基本的に財政支出に依存したものですから、持続的に経済を成長させるものではありません。
また輸出は、輸出国と世界経済の動向に左右されるものなので、これまた経済成長を持続させるものではありません。
4~6月期といった短期的な経済情勢と政府の経済政策で、安倍内閣は消費税増税の環境を整えようとしていますが、雇用と賃金の指標をみても本格的な経済成長とはいえず、消費税増税を行う環境にないのは明らかです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年8月21日付掲載


GDPが3期連続で増えたっていっても、結局、公共投資と輸出頼みなのですね。また、雇用者報酬も基本給が上がっていません。
これで景気したからって、消費税増税されたら、たまったもんじゃありませんね。