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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

GDP大幅減 日本経済の現局面① 反動減超す落ち込み

2014-09-02 20:43:02 | 経済・産業・中小企業対策など
GDP大幅減 日本経済の現局面① 反動減超す落ち込み

消費税増税が強行され成長率が落ち込む日本経済の現局面をどうみるのか。東京工科大学教授の工藤昌宏さんに寄稿していただきました。

2014年4~6月期の国内総生産(GDP)成長率(速報値)は、消費税増税直前の1~3月期に比べて、実質でマイナス1・7%(年率でマイナス6・8%)と大幅な落ち込みを記録しました。落ち込みは、消費税増税の影響によるものであることは間違いありません。
しかし、マイナスの大きさと中身をみると、単純に消費税増税のせいとするわけにはいきません。政府・日銀にとっても、落ち込みは想定以上であったらしく、相変わらず強気の姿勢を保ってはいますが、慌てて景気対策の強化に乗り出しました。



道路は駐車場、人通りが少ない商店街=山口県下関市

家計消費減大きく
今期のGDP統計に示される経済実態の特徴は、まず第一にGDPを構成する各項目が消費税増税の影響を受けにくいものも含めて軒並み大幅に落ち込んでいることです。前期(1~3月期)と比べると、輸出はマイナス0・4%、設備投資はマイナス2・5%、家計消費支出はマイナス5・0%(いずれも実質)と、いずれも大幅なマイナスを記録しています。このような落ち込みは、駆け込み消費の反動減の域を超えています。
また、今回の前期比年率換算マイナス6・8%という落ち込みは、前回の消費税増税時(1997年4~6月期)のマイナス3・5%と比べても異様であることがわかります。
第二の特徴は、家計の消費支出(個人消費)が大きく落ち込んでいることです。これは、増税前の駆け込み消費の反動にもよりますが、根底には雇用・所得環境が依然として悪いこと、さらに雇用、所得、年金、医療などについての将来不安が高まっているせいだと考えざるを得ません。このことは、駆け込み消費がさほど盛り上がらなかったこと、また消費税増税の影響を受けやすい耐久消費財に限らず、あらゆる商品の消費が全体的に落ち込んでいることからも容易に推測されます。
雇用環境は改善しているといっても、非正規労働者についてのものです。正社員に限った有効求人倍率は6月段階で、0・68にすぎません。
労働者の現金給与総額は今年になってわずかに増大していますが、これはパート労働者の時給単価の上昇によるもので、物価上昇分を差し引いた実質賃金は6月には前年同月比でマイナス3・8%となり、12カ月連続で下落しています。このように所得が低迷する中で、円安によるガソリン価格などの上昇、消費税増税が重なるわけですから、消費が落ち込むのはいわば当然のことです。

あらゆる面で疲弊
個人消費が落ち込むわけですから、生産、投資も伸び悩み、それが雇用、所得の停滞となって跳ね返ることになります。このことは、需給ギャップのマイナス幅の拡大となって表れます。供給と消費のバランスを示す需給ギャップは、内閣府の発表で4~6月期では前期(1~3月期)のマイナス0・3%(約1兆円の需要不足)から一気にマイナス2・2%(約10兆円の需要不足)に拡大するとともに、24四半期(6年間)連続でのマイナスを記録しました。マイナスは、内需不足を通じて経済が停滞傾向にあることを示しています。
いずれにしても、国民生活が雇用、所得環境の悪さの中で、負担増に苦しみ、さらに将来不安を抱えるなど、あらゆる面で疲弊し、やむなく生活防衛に向かわざるを得なかったことを今期の速報値は示しています。
(つづく)(3回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月28日付掲載


日本経済の落ち込みは、単に消費税増税によるものではなく、それを受け止めるだけの体力がなくなっている事です。
大きいのは不安定雇用と所得減ですね。