南米政権与党幹部に聞く① ブラジル さらなる変革求める国民
選挙を通じて変革の道を歩む中南米の左派・革新政権。この秋、大統領選挙がブラジル(10月5日)、ボリビア(同12日)、ウルグアイ(同26日)で行われます。昨年11月の国会選挙を経て政権入りしたチリ共産党を含め、4力国の与党幹部にインタビューしました。
(ラパス=松島良尚 写真も)
労働党国際関係責任者
モニカ・バレンテさん
ルラ前大統領とルセブ大統領の12年間で、私たちは大きな変革を実現してきました。貧困世帯向け手当「ポルサ・ファミリア」などを通じて3000万人以上が貧困から脱して中間層入りしました。大学の新設や奨学金の援助などで高等教育に進学する学生数はかつてなく増えています。
経済支える内需
今日、ブラジルはほぼ完全雇用の状況が続いています。最低賃金の大幅引き上げで国民の収入は増え、増大した内需が経済を支えています。
選挙を前にして民間企業が投資を控える傾向が経済に影響していますが、この間のインフラ整備などを背景とする「成長加速計画」が今後生きてくると確信しています。高いといわれるインフレ(約6・5%)は完全に管理されており、かつてのどの政権の時よりも安定しています。
昨年、公共サービスの改善などを求める抗議行動が起きました。その背景にあるのは、長い間進まなかった生活水準の向上が実現し、ならば「もっと改善を」という当然の願いです。いっそうの変革をもっと急げという国民の声です。
公共交通を整備
この抗議行動から改めて学んだことがあります。革新政権の実績は、住宅や所得増にせよ、いわば個々の家庭内の問題に関するものが中心ですが、都市交通などは地方自治体に属する問題が多いということです。デモの発端となった地下鉄料金の値上げも、サンパウロ市の問題でした。
ルセブ政権は、抗議行動を受けて、公共交通などの改善を急がせるためおもな自治体に予算を割り当てました。
私たちの今後の課題はいっそうの変革ということにつきます。なかでも生産力を強化し、地域統合の中で生産分野のつながりを構築していくことです。
インフラ整備では、施設の営業権を民間企業に与える「コンセッション方式」を積極的に活用していきます。新自由主義に立つ政権下でもこの方法が行われていましたが、私たちの場合は、利益の大半を手にするのは民間企業ではなく政府の側です。
民間企業の運営や施設を管理するための公的企業も創設しました。
野党陣営は「政府が経済に口を出している」「社会政策に関わる負担がある」などと攻撃しています。きびしい選挙情勢ですが、私たちは必ず勝利します。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年9月4日付掲載
完全雇用の状況。最低賃金の大幅引き上げで国民の収入は増え。どこぞの国とは真逆の事が出来ているのですね。
選挙を通じて変革の道を歩む中南米の左派・革新政権。この秋、大統領選挙がブラジル(10月5日)、ボリビア(同12日)、ウルグアイ(同26日)で行われます。昨年11月の国会選挙を経て政権入りしたチリ共産党を含め、4力国の与党幹部にインタビューしました。
(ラパス=松島良尚 写真も)
労働党国際関係責任者
モニカ・バレンテさん
ルラ前大統領とルセブ大統領の12年間で、私たちは大きな変革を実現してきました。貧困世帯向け手当「ポルサ・ファミリア」などを通じて3000万人以上が貧困から脱して中間層入りしました。大学の新設や奨学金の援助などで高等教育に進学する学生数はかつてなく増えています。
経済支える内需
今日、ブラジルはほぼ完全雇用の状況が続いています。最低賃金の大幅引き上げで国民の収入は増え、増大した内需が経済を支えています。
選挙を前にして民間企業が投資を控える傾向が経済に影響していますが、この間のインフラ整備などを背景とする「成長加速計画」が今後生きてくると確信しています。高いといわれるインフレ(約6・5%)は完全に管理されており、かつてのどの政権の時よりも安定しています。
昨年、公共サービスの改善などを求める抗議行動が起きました。その背景にあるのは、長い間進まなかった生活水準の向上が実現し、ならば「もっと改善を」という当然の願いです。いっそうの変革をもっと急げという国民の声です。
公共交通を整備
この抗議行動から改めて学んだことがあります。革新政権の実績は、住宅や所得増にせよ、いわば個々の家庭内の問題に関するものが中心ですが、都市交通などは地方自治体に属する問題が多いということです。デモの発端となった地下鉄料金の値上げも、サンパウロ市の問題でした。
ルセブ政権は、抗議行動を受けて、公共交通などの改善を急がせるためおもな自治体に予算を割り当てました。
私たちの今後の課題はいっそうの変革ということにつきます。なかでも生産力を強化し、地域統合の中で生産分野のつながりを構築していくことです。
インフラ整備では、施設の営業権を民間企業に与える「コンセッション方式」を積極的に活用していきます。新自由主義に立つ政権下でもこの方法が行われていましたが、私たちの場合は、利益の大半を手にするのは民間企業ではなく政府の側です。
民間企業の運営や施設を管理するための公的企業も創設しました。
野党陣営は「政府が経済に口を出している」「社会政策に関わる負担がある」などと攻撃しています。きびしい選挙情勢ですが、私たちは必ず勝利します。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年9月4日付掲載
完全雇用の状況。最低賃金の大幅引き上げで国民の収入は増え。どこぞの国とは真逆の事が出来ているのですね。