きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

15年度予算 概算要求の焦点 雇用④ 非正規増、残業代ゼロも

2014-09-19 23:11:45 | 働く権利・賃金・雇用問題について
15年度予算 概算要求の焦点 雇用④ 非正規増、残業代ゼロも

厚生労働省の2015年度概算要求のうち、雇用対策予算は、安倍晋三政権が6月に決定した「新成長戦略」に盛り込んだ「働き方改革」の実現を狙う内容となっています。大企業・財界の要求に沿って、非正規雇用の増加や「残業代ゼロ」の法制化を図ります。

「限定正社員」
厚労省は「正社員実現加速」を掲げますが、実際は非正規雇用の拡大です。「キャリアアップ助成金」の名目で「勤務地・職務限定正社員」制度を新たに導入した企業への助成などに194億円を要求しました。「限定正社員」は勤務地や職務を限定され、正社員に比べて賃金が低く、労働条件が劣悪です。
就業中の職場、職務が企業の都合でなくなれば解雇されます。「正社員」とは名ばかりです。正社員を非正規雇用に置き換える「多様な正社員」の普及活動にも6億1000万円を要求しました。
「時間ではなく成果で評価される制度」の法制化に向けて2100万円を要求しました。この制度では、労働者を何時間働かせても残業代を払いません。経済財政諮問会議で財界代表が提案し、「新成長戦略」に盛り込まれました。「新成長戦略」は次期通常国会に法案を提出すると明記しており、これを推進する予算です。
「労働者派遣制度の見直し」も15億円を計上しました。今年の通常国会で政府は、「常用雇用の代替禁止」「臨時的・一時的業務に限定」の原則を投げ捨てる改悪法案を提出しましたが、労働者・国民の反対の前に廃案となりました。予算要求では「必要な法制上の措置を講ずる」としています。



職場へ向かう労働者=東京都内

「新成長戦略」の「働き方改革」と概算要求
「新成長戦略」概算要求
「限定正社員」など「多様な正社員」の導入が実際に拡大するような政策的支援を2015年度から実施・「限定正社員」制度を導入した企業への助成金など194億円
・「多様な正社員」の普及活動6.1億円
労働時間の長さと賃金を切り離した「新たな労働時閻制度」を創設。次期通常国会で法的措置労働時間法制の見直し2100万円


リストラ支援
労働者を転職させた場合に要した費用などを事業主に助成する労働移動支援助成金の拡充に363億円を要求しています。14年度予算は301億円でした。人員削減のため労働者を放出する企業を助成するリストラ支援です。
雇用の安定や労働者保護を切り崩す一方、長時間労働解消の取り組みは不十分です。異常な長時間労働を根絶するためには、労働基準監督官を増員し、ブラック企業を取り締まることですが、増員は要求していません。
「最低賃金引き上げに向けた中小企業支援」に38億円を盛り込みましたが、支援対象は機械の導入など「生産性向上」です。
「外国人材の活用」に20億円を要求したほか、人権侵害として国際的に批判を浴びている外国人技能実習制度の「抜本的な見直し」に18億円を計上しました。実習生を受け入れている事業所を監督する新たな法人を法務省と共同で設立します。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年9月12日付掲載


「キャリアアップ」とか「時間ではなく成果で評価される制度」とか言って、「非正規雇用」を増やし、いつでも解雇できる「限定正社員」の制度を作るための予算なんて許せません。