広島土砂災害 問われるもの① 遅れた勧告・指示
72人の死者をだし、現在も2人の行方不明者の捜索が続いている広島市北部の土砂災害。1999年6月に広島県内各地で起きた土砂災害で、32人の死者・行方不明者をだしました。15年前の教訓は生かされたのか。今回の土砂災害から浮かび上がったものは―。
(原田浩一朗)
近年、これまで経験したことがない局地的な集中豪雨が各地で起きています。
今回と同様、あるいはより大きな土砂災害が起きる危険性は、全国いたる所にあるといっても過言ではありません。
今回の土砂災害では、行政が最初に住民に避難勧告を出したのは、8月20日午前4時15分(広島市安佐北区の5地区対象)。しかし、その約1時間前の3時21分には、最初の土砂災害が安佐南区内で起きていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/78/3813f526bae82c1c987c6093c23bd7ca.jpg)
行方不明者を捜索する消防隊員ら=9月1日、広島市安佐南区八木地区
想定していない
土田孝広島大学教授(地盤工学研究室)は、「今回の土砂災害を引き起こした雨は、局地的に、きわめて急激に降りました。近年こうした局地的豪雨が全国各地で起きていますが、現在の避難勧告・指示の発令の手順は、このような雨の降り方を想定していません」といいます。
これまでに降り続いた雨の量(2週間程度)と直近1時間の降雨量から、今後を予測するのが基本であり、「過去の状況の延長として、今後を予測する方式」(土田教授)といえます。
ところが、今回、土砂災害が集中して起きた地域のなかにある気象庁の観測所(安佐北区三入〈みいり〉)の時間雨量の推移は、午前2時から3時に80ミリ、同3時から4時に101ミリという猛烈な雨が2時間集中して降ったことを記録しています。(グラフ)
「このような降り方には現在の方式では対応できず、後手にまわってしまう」と土田教授は説明します。
気象予測技術がこの10年くらいで急速に進歩し、比較的狭い地域ことに、どんな雨が降るかを、1時間とか2時間前に、かなり正確に予測できるようになり、降水短時間予報として気象庁から提供されている、と同教授。「予測(可能性)を基礎に、先手をとって対策をとることを、避難勧告・指示を発令する手順にしっかり組み込む必要がある」と指摘します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/98/c021813e1875497dbca34003fe5667ec.jpg)
住民に伝わらず
今回、ようやく出された避難勧告や指示ですが、被害の大きかった安佐南区八木地区には、スピーカーで屋外に放送できる防災無線が設置されておらず、同区緑井地区には1カ所だけで、設置されている地域でも雷のためにほとんど聞こえなかったなど、住民への伝達にさまざまな弱点があったこともわかってきています。これらの詳しい検証が求められます。
同時に、避難勧告がうまく住民に伝わり、避難しようとしても、激しい雷と豪雨の中、深夜に、何百メートルも離れた避難所の小学校まで移動できたかという問題もあります。
土田教授は「隣近所の頑丈な建物などに、まず避難するなどの対策を考える必要があるのではないか」といいます。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年9月7日付掲載
ゲリラ豪雨など、予測技術が進歩していると言います。防災や避難情報などをピンポイントでネットで携帯やスマホなどに配信する事は可能だと思います。
それと普段の避難の段取りが大事ですね。
72人の死者をだし、現在も2人の行方不明者の捜索が続いている広島市北部の土砂災害。1999年6月に広島県内各地で起きた土砂災害で、32人の死者・行方不明者をだしました。15年前の教訓は生かされたのか。今回の土砂災害から浮かび上がったものは―。
(原田浩一朗)
近年、これまで経験したことがない局地的な集中豪雨が各地で起きています。
今回と同様、あるいはより大きな土砂災害が起きる危険性は、全国いたる所にあるといっても過言ではありません。
今回の土砂災害では、行政が最初に住民に避難勧告を出したのは、8月20日午前4時15分(広島市安佐北区の5地区対象)。しかし、その約1時間前の3時21分には、最初の土砂災害が安佐南区内で起きていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/78/3813f526bae82c1c987c6093c23bd7ca.jpg)
行方不明者を捜索する消防隊員ら=9月1日、広島市安佐南区八木地区
想定していない
土田孝広島大学教授(地盤工学研究室)は、「今回の土砂災害を引き起こした雨は、局地的に、きわめて急激に降りました。近年こうした局地的豪雨が全国各地で起きていますが、現在の避難勧告・指示の発令の手順は、このような雨の降り方を想定していません」といいます。
これまでに降り続いた雨の量(2週間程度)と直近1時間の降雨量から、今後を予測するのが基本であり、「過去の状況の延長として、今後を予測する方式」(土田教授)といえます。
ところが、今回、土砂災害が集中して起きた地域のなかにある気象庁の観測所(安佐北区三入〈みいり〉)の時間雨量の推移は、午前2時から3時に80ミリ、同3時から4時に101ミリという猛烈な雨が2時間集中して降ったことを記録しています。(グラフ)
「このような降り方には現在の方式では対応できず、後手にまわってしまう」と土田教授は説明します。
気象予測技術がこの10年くらいで急速に進歩し、比較的狭い地域ことに、どんな雨が降るかを、1時間とか2時間前に、かなり正確に予測できるようになり、降水短時間予報として気象庁から提供されている、と同教授。「予測(可能性)を基礎に、先手をとって対策をとることを、避難勧告・指示を発令する手順にしっかり組み込む必要がある」と指摘します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/98/c021813e1875497dbca34003fe5667ec.jpg)
住民に伝わらず
今回、ようやく出された避難勧告や指示ですが、被害の大きかった安佐南区八木地区には、スピーカーで屋外に放送できる防災無線が設置されておらず、同区緑井地区には1カ所だけで、設置されている地域でも雷のためにほとんど聞こえなかったなど、住民への伝達にさまざまな弱点があったこともわかってきています。これらの詳しい検証が求められます。
同時に、避難勧告がうまく住民に伝わり、避難しようとしても、激しい雷と豪雨の中、深夜に、何百メートルも離れた避難所の小学校まで移動できたかという問題もあります。
土田教授は「隣近所の頑丈な建物などに、まず避難するなどの対策を考える必要があるのではないか」といいます。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年9月7日付掲載
ゲリラ豪雨など、予測技術が進歩していると言います。防災や避難情報などをピンポイントでネットで携帯やスマホなどに配信する事は可能だと思います。
それと普段の避難の段取りが大事ですね。