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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

シリーズ ウソのミックス③ TPP 農産物輸出1割に満たず

2016-04-02 17:45:12 | 経済・産業・中小企業対策など
シリーズ ウソのミックス③ TPP 農産物輸出1割に満たず

安倍晋三政権は、環太平洋連携協定(TPP)の交渉妥結を受けて、その経済効果分析を発表しました。農林水産分野の生産減少額が1300億~2100億円にとどまり、食料自給率が維持でき、国内総生産(GDP)が約14兆円拡大し、雇用が約80万人増えるとしました。


「TPP批准させない」とアピールする人たち=3月30日、東京都千代田区

恣意的見積もり地方は独自試算
政府が農林水産物1885品目(81%)の関税撤廃を約束したにもかかわらず、「経済効果分析」は、現行関税率10%以上かつ国内生産額10億円以上の農産物19品目、林水産物14品目のみを対象にしています。また、輸入品に押されて国産品の価格が下がっても生産量は減少しないという恣意(しい)的な見積もりや、失業が起きないなどの前提に立っています。
その上で、TPP発効後「わが国が新たな成長、経路(均衡状態)に移行した時点」で、あるべき状態を描いたにすぎません。一方、TPPの経済効果は、農林漁業者などがTPPを活用し、意欲的に努力することで現実になると説明。TPPは手段にすぎず、その効果を出すには、積極的な行動が不可欠だというのです。




多くの道県が政府の試算に満足せず、独自に試算しています。特に、青森、福井、熊本の3県は、政府が影響額ゼロと見積もったコメについて、外国産との競合で地元産が減ると予測。3県合計で減少額が年51・8億円になりました。地元特産品への影響を算出した道県もあります。
政府は、TPP対策として「攻めの農林水産業」を掲げ、農林水産物・食品輸出目標額の1兆円規模(2020年)を前倒し達成すると強調。それで農家の所得が増えるかのように吹聴しています。
しかし、内訳では、国産でない原料を多く使う加工食品が5000億円(50%)も占めます。農産物では、主な品目とされる青果物、コメ・コメ加工品、牛肉、緑茶、花きの合計で1400億円にすぎません。15年の輸出実績について、政府は7452億円を達成したと誇ります。そのうち、農産物の主な品目の合計は729億円(9・8%)です。他方、加工食品が2258億円(30%)を占めます。政府がバラ色に描く輸出も、TPPの影響への対策で“切り札”になりません。

関税ゼロ向けて見直し協議約束
自民党は12年12月の総選挙で「TPP断固反対」を掲げました。しかし、政権復帰3カ月後、安倍首相は「TPPは聖域なき関税撤廃を前提としない」と強弁して、交渉参加を決定しました。
しかも、米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の農産物重要5項目を「除外または再協議」とし、交渉の対象にしないよう求めた国会決議に反して交渉。その結果、重要5項目のうち30%の品目の関税撤廃を約束しました。関税が残った品目でも、関税削減や特別輸入枠設置を約束。重要農産物でも、手付かずの品目は皆無です。
国会決議に関して、安倍政権は「関税撤廃の例外」を確保したと弁解しています。しかし、TPP発効から7年たつと、米国など5力国の要求に基づき、日本の輸入を増やす目的で日本の約束を見直す協議を行うとされています。関税ゼロへ向けたレールが敷かれているのです。
(北川俊文)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年4月2日付掲載


「攻めの農業」「輸出を増やす」なんて言われます。
食料自給率が落ちたといいますが、それでも一定の生産をしています。輸出で増える分はしれた額。
輸出で農業を立て直すよりも、国内の自給率を高めるべき。
コメント
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