韓国総選挙 変革求める人々(下) 青年の一票 政治動かす
「私の一票が効いてよかった」(22歳女子大生)「青年が変わったから、与党が敗北した」(24歳女性)―。選挙後、こんな声が青年たちから聞かれました。
政府・与党に反感
韓国メディアによると、今回20代の投票率は49・4%で、30代は49・5。全体の投票率58%よりは低いものの、それぞれ2012年の総選挙を4・4ポイント、7・7ポイント上回りました。
ソウルに住む多くの青年が、小選挙区で野党第1党の「共に民主党」に、比例は「国民の党」に入れたとも伝えられており、議席数で与野党を逆転させる力になりました。
韓国青年ユニオンの鄭俊永(チョン・ジュンヨン)政策局長(28)は投票率が上がった要因として、「人命より利益を優先したセウォル号沈没事故への対応や国定教科書の押しつけ、就職難や家賃の高騰など、悪政をつづけたために政府と与党は反感を買った」「『国民の党』の出現で、二大政党に入れたくないと棄権してきた人も投票行動に出たのではないか」と分析します。
「国民のみなさんが落胆していたほど、青年はあきらめていません。セヌリ党は前回の公約より後退した政策を出した。労働問題や生活に基づく公約を破ったり、後退させたりすると、どういう評価を受けるのか身にしみたと思う」と語ります。
韓国青年ユニオンの鄭俊永政策局長(栗原千鶴撮影)
「総選挙青年ネットワーク」が企画した投票を呼び掛ける行動(同ネットワークのフェイスブックから)
ソウル労働権益センターの金星煕所長(栗原千鶴撮影)
青年雇用の悪化
韓国での青年失業率(15~29歳)は今年2月、過去最悪の12・5%を記録しました。ソウル労働権益センターの金星煕(キム・ソンヒ)所長(53)は、「潜在的な若者の失業率として37%まで把握できると考えている」といいます。統計の取り方としてアルバイトや派遣社員は含まれていないためです。
金所長は、仁川国際空港を例に挙げて話します。「シャトルバスの運転や機内清掃など、空港で働く87・3%の労働者が非正規職です。パイロットなどを除いて、目に見えている労働者はすべて非正規職です」
同センターは、こうした非正規職が労働人口の約45%を占め、850万人に上るとみています。その数は増加傾向だといいます。
若者たちは就職ができない、就職ができても上司からのいじめや性差別などにも苦しんでいます。青年ユニオンに寄せられる労働相談件数は増加傾向だと鄭さんはいいます。
今回の選挙で、青年ユニオンをはじめ、学生自治会など約20の青年団体が「総選挙青年ネットワーク」を結成しました。労働分野や生活問題に関して各党政策を比較する資料を提供したり、街頭で投票を促したりする活動を展開しました。
鄭さんはいいます。
「今回の選挙で、青年のネットワークが発展しました。今後の選挙でも手を結んで運動ができる契機になったと思います。来年の大統領選挙でも、若者の声を反映できるように頑張りたい」(ソウル=栗原千鶴)(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年4月19日付掲載
「青年が動くとき、すでに光あり」と、よく言われるもの。
日本でも、安保法制に反対して、シールズやママの会などが立ち上がっています。
韓国と日本の青年も連帯したいものですね。
「私の一票が効いてよかった」(22歳女子大生)「青年が変わったから、与党が敗北した」(24歳女性)―。選挙後、こんな声が青年たちから聞かれました。
政府・与党に反感
韓国メディアによると、今回20代の投票率は49・4%で、30代は49・5。全体の投票率58%よりは低いものの、それぞれ2012年の総選挙を4・4ポイント、7・7ポイント上回りました。
ソウルに住む多くの青年が、小選挙区で野党第1党の「共に民主党」に、比例は「国民の党」に入れたとも伝えられており、議席数で与野党を逆転させる力になりました。
韓国青年ユニオンの鄭俊永(チョン・ジュンヨン)政策局長(28)は投票率が上がった要因として、「人命より利益を優先したセウォル号沈没事故への対応や国定教科書の押しつけ、就職難や家賃の高騰など、悪政をつづけたために政府と与党は反感を買った」「『国民の党』の出現で、二大政党に入れたくないと棄権してきた人も投票行動に出たのではないか」と分析します。
「国民のみなさんが落胆していたほど、青年はあきらめていません。セヌリ党は前回の公約より後退した政策を出した。労働問題や生活に基づく公約を破ったり、後退させたりすると、どういう評価を受けるのか身にしみたと思う」と語ります。
韓国青年ユニオンの鄭俊永政策局長(栗原千鶴撮影)
「総選挙青年ネットワーク」が企画した投票を呼び掛ける行動(同ネットワークのフェイスブックから)
ソウル労働権益センターの金星煕所長(栗原千鶴撮影)
青年雇用の悪化
韓国での青年失業率(15~29歳)は今年2月、過去最悪の12・5%を記録しました。ソウル労働権益センターの金星煕(キム・ソンヒ)所長(53)は、「潜在的な若者の失業率として37%まで把握できると考えている」といいます。統計の取り方としてアルバイトや派遣社員は含まれていないためです。
金所長は、仁川国際空港を例に挙げて話します。「シャトルバスの運転や機内清掃など、空港で働く87・3%の労働者が非正規職です。パイロットなどを除いて、目に見えている労働者はすべて非正規職です」
同センターは、こうした非正規職が労働人口の約45%を占め、850万人に上るとみています。その数は増加傾向だといいます。
若者たちは就職ができない、就職ができても上司からのいじめや性差別などにも苦しんでいます。青年ユニオンに寄せられる労働相談件数は増加傾向だと鄭さんはいいます。
今回の選挙で、青年ユニオンをはじめ、学生自治会など約20の青年団体が「総選挙青年ネットワーク」を結成しました。労働分野や生活問題に関して各党政策を比較する資料を提供したり、街頭で投票を促したりする活動を展開しました。
鄭さんはいいます。
「今回の選挙で、青年のネットワークが発展しました。今後の選挙でも手を結んで運動ができる契機になったと思います。来年の大統領選挙でも、若者の声を反映できるように頑張りたい」(ソウル=栗原千鶴)(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年4月19日付掲載
「青年が動くとき、すでに光あり」と、よく言われるもの。
日本でも、安保法制に反対して、シールズやママの会などが立ち上がっています。
韓国と日本の青年も連帯したいものですね。