安倍政権補完勢力 おおさか維新② 戦争法廃止の共闘を非難
「(野党が)よってたかって廃止法案を出しているが、そういうことにくみする気は全くない」(おおさか維新の会・馬場伸幸幹事長)
日本共産党や民主党(現・民進党)など5野党共同の戦争法(安保法制)廃止法案(2月19日提出)に、おおさか維新は敵対姿勢を強め、安倍政権にすり寄っています。
核武装必要も
松井一郎代表(大阪府知事)は29日、米大統領選挙予備選で「優勢」が伝えられる共和党・トランプ候補が日米同盟関係に疑問を持っているとし、「日本を守るときにだけ、米軍が攻撃された場合、われわれもたたかいに参加しますよでは、トランプさんは不十分といわれるでしょう」「安保法制については(限定なしの集団的自衛権を認めるよう)議論を重ね、変えていかねばならない」と発言。さらに「完壁(無制限)な集団的自衛権の方向に行くのか、それとも自国でまかなえる軍隊を備え、最終兵器(核兵器)が必要になってくる」などと、核武装容認ともとれる考えまで明らかにしています。
おおさか維新の会の党大会であいさつする松井一郎代表=3月26日、大阪市内のホテル
おおさか維新が、維新の党(3月27日に民進党に合流)から分離したのは昨年10月です。昨年夏の戦争法案審議の中で、日本共産党や民主、生活、社民各党とともに、維新の党が戦争法案廃案を求める野党共闘に取り組む動きに対し、維新の国対委員長だった馬場氏は「なぜ廃案をめざす政党と協議しなければいけないのか。そういった野党連合は烏合(うごう)の衆だ」との非難をあびせました。その背景には安倍晋三首相と協力関係を強めようとする橋下徹、松井一郎両氏の思惑が働いていました。
戦争法案が審議入りして間もない昨年6月14日、橋下、松井両氏は安倍首相との会談を行いました。橋下氏はその直後、ツイッターに「憲法解釈が時代とともに変遷するのは当然」「最後の責任を負うのは内閣であり、最高裁」などと投稿し、インターネット上で安倍政権の憲法解釈変更の擁護に熱中しました。
戦争法案廃案を求める世論が大きく盛り上がる中、橋下氏は党内でも孤立を深め、8月末、松井氏とともに維新の党を離党。10月になって橋下氏は「民主、共産と(共闘の)話をするなんて信じられない」と吐き捨て、おおさか維新の結党に至りました。
「特殊な存在」
いま開会中の通常国会では、同党は政府の追及ではなく野党攻撃を展開しています。足立康史衆院議員は「プラカードを掲げてデモに参加するというのは国会議員にあるまじき行為」などと、国会議員と市民との連携まで攻撃しています。
5野党の書記局長・幹事長が選挙協力に向けて協議(3月4日)を行うと、馬場幹事長は緊急会見で「野合のそしりは免れない」と5野党を攻撃。「与党側が受け止めている感覚と全く同じ思いだ」とまで述べ、安倍首相や自民党執行部による「自公対民共の対決だ」「民共合作の野合」との非難に同調しました。
こうしたおおさか維新の動きに、自民党議員の一人は「おおさか維新は特殊な存在。野党ではない」と語ります。共同通信の世論調査で同党支持率は、昨年11月の5・1%から今年3月には3・3%へと下落しています。安倍政権打倒の野党共闘が広がる一方、安倍政権“補完勢力”ぶりを際立たせ、存在意義を失っています。(おわり)
(この連載は中川亮が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年4月1日付掲載
「おおさか維新」は、自民党も言われないような反動的な発言をしている。
「日曜討論」などで野党側の席に座られては困りますよね。民進党や共産党。後ろから鉄砲を撃たれるようなものです。
「(野党が)よってたかって廃止法案を出しているが、そういうことにくみする気は全くない」(おおさか維新の会・馬場伸幸幹事長)
日本共産党や民主党(現・民進党)など5野党共同の戦争法(安保法制)廃止法案(2月19日提出)に、おおさか維新は敵対姿勢を強め、安倍政権にすり寄っています。
核武装必要も
松井一郎代表(大阪府知事)は29日、米大統領選挙予備選で「優勢」が伝えられる共和党・トランプ候補が日米同盟関係に疑問を持っているとし、「日本を守るときにだけ、米軍が攻撃された場合、われわれもたたかいに参加しますよでは、トランプさんは不十分といわれるでしょう」「安保法制については(限定なしの集団的自衛権を認めるよう)議論を重ね、変えていかねばならない」と発言。さらに「完壁(無制限)な集団的自衛権の方向に行くのか、それとも自国でまかなえる軍隊を備え、最終兵器(核兵器)が必要になってくる」などと、核武装容認ともとれる考えまで明らかにしています。
おおさか維新の会の党大会であいさつする松井一郎代表=3月26日、大阪市内のホテル
おおさか維新が、維新の党(3月27日に民進党に合流)から分離したのは昨年10月です。昨年夏の戦争法案審議の中で、日本共産党や民主、生活、社民各党とともに、維新の党が戦争法案廃案を求める野党共闘に取り組む動きに対し、維新の国対委員長だった馬場氏は「なぜ廃案をめざす政党と協議しなければいけないのか。そういった野党連合は烏合(うごう)の衆だ」との非難をあびせました。その背景には安倍晋三首相と協力関係を強めようとする橋下徹、松井一郎両氏の思惑が働いていました。
戦争法案が審議入りして間もない昨年6月14日、橋下、松井両氏は安倍首相との会談を行いました。橋下氏はその直後、ツイッターに「憲法解釈が時代とともに変遷するのは当然」「最後の責任を負うのは内閣であり、最高裁」などと投稿し、インターネット上で安倍政権の憲法解釈変更の擁護に熱中しました。
戦争法案廃案を求める世論が大きく盛り上がる中、橋下氏は党内でも孤立を深め、8月末、松井氏とともに維新の党を離党。10月になって橋下氏は「民主、共産と(共闘の)話をするなんて信じられない」と吐き捨て、おおさか維新の結党に至りました。
「特殊な存在」
いま開会中の通常国会では、同党は政府の追及ではなく野党攻撃を展開しています。足立康史衆院議員は「プラカードを掲げてデモに参加するというのは国会議員にあるまじき行為」などと、国会議員と市民との連携まで攻撃しています。
5野党の書記局長・幹事長が選挙協力に向けて協議(3月4日)を行うと、馬場幹事長は緊急会見で「野合のそしりは免れない」と5野党を攻撃。「与党側が受け止めている感覚と全く同じ思いだ」とまで述べ、安倍首相や自民党執行部による「自公対民共の対決だ」「民共合作の野合」との非難に同調しました。
こうしたおおさか維新の動きに、自民党議員の一人は「おおさか維新は特殊な存在。野党ではない」と語ります。共同通信の世論調査で同党支持率は、昨年11月の5・1%から今年3月には3・3%へと下落しています。安倍政権打倒の野党共闘が広がる一方、安倍政権“補完勢力”ぶりを際立たせ、存在意義を失っています。(おわり)
(この連載は中川亮が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年4月1日付掲載
「おおさか維新」は、自民党も言われないような反動的な発言をしている。
「日曜討論」などで野党側の席に座られては困りますよね。民進党や共産党。後ろから鉄砲を撃たれるようなものです。