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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

アベノミクス 崩れたシナリオ② 物価下落も、家計“素通り”

2016-09-10 15:39:34 | 経済・産業・中小企業対策など
アベノミクス 崩れたシナリオ② 物価下落も、家計“素通り”

「デフレ脱却」を目指して安倍晋三政権と日銀が進めてきた「異次元金融緩和」のシナリオは狂い、物価が下落し始めています。
総務省「消費者物価指数」によると、7月の消費者物価指数は総合で前年同月に比べ0・4%の減。4カ月連続で前年同月を下回りました。前年同月に比べて物価の下落が目立つ費目は7・7%減の光熱・水道代や2・6%減の交通・通信です。家具・家事用品も0・8%減でした。



店先で商品をじっくり選ぶ買い物客=東京都内

食品など負担増
光熱・水道代で下がったのは電気代やガス代です。交通・通信ではガソリンの下落が目立ちます。電気やガス、ガソリンの価格下落は原油価格の下落が大きく影響しています。
家具・家事用品では炊飯器や冷蔵庫など家庭用耐久財が下落しました。ただ、炊飯器や冷蔵庫などモデルチェンジのある製品の場合、実際の価格変動に加えて、モデルチェンジにともなう性能向上を加味して消費者物価指数を算出します。調査対象となっている製品の後継機が同じ価格でも機能向上した場合、以前にはより高価格帯の製品でしか得られなかった機能がより安く購入できることになり、消費者物価指数は下落します。
総合指数が下落する一方で前年同月に比べ上昇した費目もあります。1・6%上昇の教育、1・1%上昇の食料、0・9%上昇の保健医療などです。
教育では高校や大学の学費などを含む授業料等の値上げが目立ちます。7月は1・7%増で64カ月連続で前年同月を上回りました。
食料品価格の上昇はアベノミクスによる「円安加速」と消費税増税の影響です。とりわけ円安の影響は深刻です。日本の場合、食料品の多くは輸入に頼ります。円安によって輸入品価格が上がれば、食料品価格も上昇するからです。
保健医療では診察代など保健医療サービスが前年同月を上回りました。社会保障の削減で医療費の窓口負担が増えていることが背景にあります。




経済低迷に直結
ガソリン代や電気・ガス代などで物価下落の恩恵を受けたとしても、毎日消費する食料品が上昇しているため、家計は楽になりません。しかも電力大手6社は10月の電気料金を引き上げると発表しています。
炊飯器や冷蔵庫はひんぱんに買い替える商品ではありません。しかも実際の価格が安くなっているわけではないので、家計への貢献はほとんどありません。また、学費や診察代は高いからと言って払わないわけにはいかない性格を持ちます。
安倍政権が進めた「円安加速」、消費税増税、社会保障の切り捨てで家計が深刻な打撃を受けたことは明らかです。しかも、家計への打撃は日本経済の低迷に直結します。
2016年4~6月期の国内総生産(GDP)は2次速報値で実質0・2%増にとどまりました。GDPの6割を占める個人消費は同0・2%増とわずかながらも上昇したことになっています。しかし、生活実感に近い名目値で見ると、個人消費は0・1%減です。
国民は生活を切り詰めているのに、それ以上の「物価下落」が、個人消費を実質プラスに押し上げたにすぎないのです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年9月9日付掲載


物価は全体としては下がっているとしても、食料品、医療費や学費などはむしろ増えています。
生活実感としては物価増。生活は苦しくなっている。
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