2017年予算概算要求の焦点⑧ 地方財政 集約化で切り捨ての危険
2017年度予算の概算要求で、地方の一般財源総額(地方税や地方交付税など自治体が自由に使える財源)は、「仮置き」の数字として「16年度の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」を前提に、16年度比0・7%(4000億円)の微増にとどめ、62・1兆円程度と見込んでいます。交付税は、地方税が増収するとして同4・4%減の16兆円、その不足を補う臨時財政対策債(赤字地方債)は24・5%増の4・7兆円としています。「地方再生」というなら、国の責任で一般財源総額の抜本的増額が必要です。
現行割合を維持
交付税の総額算定の内訳となる「まち・ひと・しごと創生事業費」は、横ばいの1兆円。うち6000億円の「人口減少等特別対策事業費」は、国が自治体の取り組みの「成果」と「必要度」に応じて1対5の算定比率で配分するものです。成果算定の比率を引き上げ、必要度と同じにしようとしていますが、条件不利地域や財政力の弱い団体へ配慮を求める地方の声を受け、17年度は現行割合を維持するとしています。
16年度創設の地方創生推進交付金は、自治体の「先駆的」な事業計画を国が審査・認定するもので、16年度当初比170億円増の1170億円(事業費ベース2340億円)。16年度第2次補正予算案では、地方創生拠点整備交付金として900億円(同1800億円)を計上し、産業振興のための施設整備などハード事業を対象としています。
総務省は「集約化」の名で、中心都市に近隣市町村の施設・サービスを集約する「連携中枢都市圏」など「新たな圏域づくり」に同6・9億円増の12・2億円、国交省は「コンパクトシティ施策の推進」に95億円をそれぞれ求めています。サービス縮小と、周辺地域を切り捨てる危険性を抱えています。
総務省は「行政サービス改革」の名で、自治体の窓ロサービスの集約・外部委託や、人事・給与など庶務業務の集約化のモデル事業に1億円、全国50カ所の行政評価事務所の集約・整備に1・6億円を要求。「公共サービスの産業化」と称して、公共施設の民間企業によるビジネス拠点化に1・3億円を盛り込むなど、公共サービスを縮小し、産業化=営利化を進めます。
安定的財政運営に必要な地方一般財源総額の確保などを求めた全国知事会議=7月28日、福岡市
強まる国民管理
マイナンバー(共通番号)制では、自治体の情報連携の開始を17年7月に控え、番号力ードを国民に押し付けるため、交付事務を担う自治体への補助金などを323・6億円に倍増しています。
クレジット会社や航空会社のポイントを番号カードにまとめ、商店街などで使えるようにするシステムの導入(実証事業は来夏)など、個人情報の一元的把握による国民の管理や、情報漏えいの危険がいっそう強まります。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年9月23日付掲載
「地方再生」と言いながら、地方交付税は現状維持。コンパクトシティ化や住民サービスの民営化でなく、国土保全の面からも、津々浦々で住民サービスが受けられるようにすべき。
2017年度予算の概算要求で、地方の一般財源総額(地方税や地方交付税など自治体が自由に使える財源)は、「仮置き」の数字として「16年度の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」を前提に、16年度比0・7%(4000億円)の微増にとどめ、62・1兆円程度と見込んでいます。交付税は、地方税が増収するとして同4・4%減の16兆円、その不足を補う臨時財政対策債(赤字地方債)は24・5%増の4・7兆円としています。「地方再生」というなら、国の責任で一般財源総額の抜本的増額が必要です。
現行割合を維持
交付税の総額算定の内訳となる「まち・ひと・しごと創生事業費」は、横ばいの1兆円。うち6000億円の「人口減少等特別対策事業費」は、国が自治体の取り組みの「成果」と「必要度」に応じて1対5の算定比率で配分するものです。成果算定の比率を引き上げ、必要度と同じにしようとしていますが、条件不利地域や財政力の弱い団体へ配慮を求める地方の声を受け、17年度は現行割合を維持するとしています。
16年度創設の地方創生推進交付金は、自治体の「先駆的」な事業計画を国が審査・認定するもので、16年度当初比170億円増の1170億円(事業費ベース2340億円)。16年度第2次補正予算案では、地方創生拠点整備交付金として900億円(同1800億円)を計上し、産業振興のための施設整備などハード事業を対象としています。
総務省は「集約化」の名で、中心都市に近隣市町村の施設・サービスを集約する「連携中枢都市圏」など「新たな圏域づくり」に同6・9億円増の12・2億円、国交省は「コンパクトシティ施策の推進」に95億円をそれぞれ求めています。サービス縮小と、周辺地域を切り捨てる危険性を抱えています。
総務省は「行政サービス改革」の名で、自治体の窓ロサービスの集約・外部委託や、人事・給与など庶務業務の集約化のモデル事業に1億円、全国50カ所の行政評価事務所の集約・整備に1・6億円を要求。「公共サービスの産業化」と称して、公共施設の民間企業によるビジネス拠点化に1・3億円を盛り込むなど、公共サービスを縮小し、産業化=営利化を進めます。
安定的財政運営に必要な地方一般財源総額の確保などを求めた全国知事会議=7月28日、福岡市
強まる国民管理
マイナンバー(共通番号)制では、自治体の情報連携の開始を17年7月に控え、番号力ードを国民に押し付けるため、交付事務を担う自治体への補助金などを323・6億円に倍増しています。
クレジット会社や航空会社のポイントを番号カードにまとめ、商店街などで使えるようにするシステムの導入(実証事業は来夏)など、個人情報の一元的把握による国民の管理や、情報漏えいの危険がいっそう強まります。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年9月23日付掲載
「地方再生」と言いながら、地方交付税は現状維持。コンパクトシティ化や住民サービスの民営化でなく、国土保全の面からも、津々浦々で住民サービスが受けられるようにすべき。