「維新」政治どうみる Q&A⑤ 大阪でやってきたこと その3 独裁的手法と破綻
Q 「独裁」というけれど、改革のスピードがちがう?
「維新」の特異さが際立つのは、その中身とともに、手法です。前代表の橋下徹氏が著書『体制維新―大阪都』で「『独裁』マネジメントの真相」として取り上げているとおり、その手法は批判の的になり、破綻に直面します。
大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想の住民投票をめぐり、法定協議会で協定書案が否決されると、突然、市長を辞職して「出直し市長選」の挙に出ました。この“独り相撲”に「勝利」すると、法定協委員を差し替え、「維新」だけで可決します。当然、府議会、大阪市議会が否決すると、安倍政権にすがって公明党の態度を変えさせ、無理やり、住民投票(2015年5月17日)を強行します。
中身とともに、こんなやり方に市民が「ノー」の審判を下したのは当然でした。
司直の断罪を受けたのは、橋下市長による大阪市職員への、「アンケート」という名の「思想調査」でした。市長の「業務命令」として、「あなたを組合や演説会に誘ったのは誰か」などを答えさせるものでした。勇気ある市職員の告発をはじめ大阪、全国から批判が湧き起こり、労働委員会、大阪地裁、大阪高裁ともに「憲法上の権利を侵害」していると断じ、橋下市長を謝罪へと追い込みました。

「思想調査アンケート」は違憲との判決を喜ぶ原告、弁護団、支援者の人たち=3月25日、大阪市・大阪高裁前
旧WTC(ワールドトレードセンター)ビルを85億円で購入し、大阪府咲洲(さきしま)庁舎としたものの、東日本大震災でも大揺れ。耐震補強が迫られる一方、空家率は3割。大手前の府庁との二重庁舎をこのまま持ち続けると30年間で1201億円かかると試算されています。
「公務員改革」の名で強行した幹部の「原則公募」も失敗続きです。校長は初年度採用11人のうち、6人がセクハラや経歴詐称などで任期途中で辞め、最近は元公募校長が横領容疑で逮捕されました。大阪市の公募区長もセクハラなどの不祥事で5人が任期途中で交代しています。
13年5月に飛び出した橋下氏の「『慰安婦』制度は必要だった」との発言は、大きな批判を浴びました。橋下氏は謝罪も撤回もせず、「マスコミの大誤報」と居直りました。しかし、姉妹都市サンフランシスコへの訪問ができなかったことをはじめ、いまなお内外の大きな批判にさらされています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年9月21日付掲載
なんでも民営化の最たるものが、公募校長や公募区長。
現場でたたき上げの人でなく、名誉職欲しさに品性のない人が入ってくる。許せないことです。
Q 「独裁」というけれど、改革のスピードがちがう?
「維新」の特異さが際立つのは、その中身とともに、手法です。前代表の橋下徹氏が著書『体制維新―大阪都』で「『独裁』マネジメントの真相」として取り上げているとおり、その手法は批判の的になり、破綻に直面します。
大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想の住民投票をめぐり、法定協議会で協定書案が否決されると、突然、市長を辞職して「出直し市長選」の挙に出ました。この“独り相撲”に「勝利」すると、法定協委員を差し替え、「維新」だけで可決します。当然、府議会、大阪市議会が否決すると、安倍政権にすがって公明党の態度を変えさせ、無理やり、住民投票(2015年5月17日)を強行します。
中身とともに、こんなやり方に市民が「ノー」の審判を下したのは当然でした。
司直の断罪を受けたのは、橋下市長による大阪市職員への、「アンケート」という名の「思想調査」でした。市長の「業務命令」として、「あなたを組合や演説会に誘ったのは誰か」などを答えさせるものでした。勇気ある市職員の告発をはじめ大阪、全国から批判が湧き起こり、労働委員会、大阪地裁、大阪高裁ともに「憲法上の権利を侵害」していると断じ、橋下市長を謝罪へと追い込みました。

「思想調査アンケート」は違憲との判決を喜ぶ原告、弁護団、支援者の人たち=3月25日、大阪市・大阪高裁前
旧WTC(ワールドトレードセンター)ビルを85億円で購入し、大阪府咲洲(さきしま)庁舎としたものの、東日本大震災でも大揺れ。耐震補強が迫られる一方、空家率は3割。大手前の府庁との二重庁舎をこのまま持ち続けると30年間で1201億円かかると試算されています。
「公務員改革」の名で強行した幹部の「原則公募」も失敗続きです。校長は初年度採用11人のうち、6人がセクハラや経歴詐称などで任期途中で辞め、最近は元公募校長が横領容疑で逮捕されました。大阪市の公募区長もセクハラなどの不祥事で5人が任期途中で交代しています。
13年5月に飛び出した橋下氏の「『慰安婦』制度は必要だった」との発言は、大きな批判を浴びました。橋下氏は謝罪も撤回もせず、「マスコミの大誤報」と居直りました。しかし、姉妹都市サンフランシスコへの訪問ができなかったことをはじめ、いまなお内外の大きな批判にさらされています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年9月21日付掲載
なんでも民営化の最たるものが、公募校長や公募区長。
現場でたたき上げの人でなく、名誉職欲しさに品性のない人が入ってくる。許せないことです。