2017年予算概算要求の焦点② 公共事業 借金頼みで環境破壊加速
公共事業関係費(国土交通省分)は2016年度当初予算比16%増の6兆183億円です。
そのうち1兆4179億円は、大企業の利益優先の「日本再興戦略2016」(6月2日閣議決定)などを踏まえて予算を重点化する「新しい日本のための優先課題推進枠」での要求となっています。
東京外かく環状道路(外環道)建設工事=東京都世田谷区
リニアを前倒し
一方、国が民間事業者に低利で融資する財政投融資(財投)が、121%増の3兆8524億円に膨れ上がりました。財投の財源は国債の一種である財投債の発行などで調達した資金。16年度第2次補正予算案と合わせて計3兆円(1兆5千億円ずつ)をJR東海への融資に充て、リニア中央新幹線の全線開業(45年予定)を最大8年前倒しする計画です。
リニア推進は安倍政権の経済対策の目玉の一つ。採算のとれない環境破壊事業を借金頼みで加速するものです。
一般会計でも整備新幹線の推進に755億円の国費を要求しました。
「国際競争力の強化」やオリンピック・パラリンピックへの対応を口実にした大型開発への要求も増やしています。緊急性の薄い国際コンテナ戦略港湾などの機能強化に18%増の961億円。首都圏空港の機能強化として羽田空港の増強などに101%増の305億円を求めました。
主な大型公共事業の概算要求額
住民が反対運動
安倍政権が羽田空港の増便を理由に住宅密集地の上空を低空飛行する新航路を計画しているのに対し、騒音被害などを懸念して住民の反対運動が広がっています。
「効率的な物流ネットワークの強化」にも25%増の2974億円を求め、東京外環道(練馬-世田谷間)など大都市圏環状道路を整備するとしています。地下40層以深を掘る外環道は総事業費が1兆6千億円に膨張。地下水枯渇や大気汚染も懸念されています。
大企業の海外進出を後押しするインフラシステム輸出への支援にも20%増の39億円を要求。現地住民の農地を奪うなどの問題を引き起こしています。
住宅の確保が困難な子育て世帯や高齢者世帯が増える中で、市町村が実施する空き家の活用などへの支援を強化するとし、29%増の95億円を求めました。
深刻化する水害や土砂災害への対策には25%増の5673億円を要求。南海トラフ巨大地震や首都直下地震の対策にも46%増の2235億円を求めました。
東日本大震災復興特別会計は、15年度までと定めた「集中復興期間」が終わり、19%減の5599億円となっています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年9月14日付掲載
公共事業でも、首都直下地震への対策、水害や土砂災害への対策など切実で緊急を要するものこそ重点的に行う必要があります。
公共事業関係費(国土交通省分)は2016年度当初予算比16%増の6兆183億円です。
そのうち1兆4179億円は、大企業の利益優先の「日本再興戦略2016」(6月2日閣議決定)などを踏まえて予算を重点化する「新しい日本のための優先課題推進枠」での要求となっています。
東京外かく環状道路(外環道)建設工事=東京都世田谷区
リニアを前倒し
一方、国が民間事業者に低利で融資する財政投融資(財投)が、121%増の3兆8524億円に膨れ上がりました。財投の財源は国債の一種である財投債の発行などで調達した資金。16年度第2次補正予算案と合わせて計3兆円(1兆5千億円ずつ)をJR東海への融資に充て、リニア中央新幹線の全線開業(45年予定)を最大8年前倒しする計画です。
リニア推進は安倍政権の経済対策の目玉の一つ。採算のとれない環境破壊事業を借金頼みで加速するものです。
一般会計でも整備新幹線の推進に755億円の国費を要求しました。
「国際競争力の強化」やオリンピック・パラリンピックへの対応を口実にした大型開発への要求も増やしています。緊急性の薄い国際コンテナ戦略港湾などの機能強化に18%増の961億円。首都圏空港の機能強化として羽田空港の増強などに101%増の305億円を求めました。
主な大型公共事業の概算要求額
国際コンテナ戦略港湾 | 961億円 | 18%増 |
首都圏空港の機能強化 | 305億円 | 101%増 |
物流ネットワークの強化 | 2974億円 | 25%増 |
インフラシステム輸出 | 39億円 | 20%増 |
住民が反対運動
安倍政権が羽田空港の増便を理由に住宅密集地の上空を低空飛行する新航路を計画しているのに対し、騒音被害などを懸念して住民の反対運動が広がっています。
「効率的な物流ネットワークの強化」にも25%増の2974億円を求め、東京外環道(練馬-世田谷間)など大都市圏環状道路を整備するとしています。地下40層以深を掘る外環道は総事業費が1兆6千億円に膨張。地下水枯渇や大気汚染も懸念されています。
大企業の海外進出を後押しするインフラシステム輸出への支援にも20%増の39億円を要求。現地住民の農地を奪うなどの問題を引き起こしています。
住宅の確保が困難な子育て世帯や高齢者世帯が増える中で、市町村が実施する空き家の活用などへの支援を強化するとし、29%増の95億円を求めました。
深刻化する水害や土砂災害への対策には25%増の5673億円を要求。南海トラフ巨大地震や首都直下地震の対策にも46%増の2235億円を求めました。
東日本大震災復興特別会計は、15年度までと定めた「集中復興期間」が終わり、19%減の5599億円となっています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年9月14日付掲載
公共事業でも、首都直下地震への対策、水害や土砂災害への対策など切実で緊急を要するものこそ重点的に行う必要があります。